じじ犬との会話

犬(フリーイラスト)

ウチのじじ犬オンリーだけど、俺は夢で犬と会話できるっぽい。

じじ犬と同じ部屋で寝ていると、大抵じじ犬と喋っている気がする。

「若いの、女はまだ出来んのか?」

「うるさいよ、じーさん。去勢されとる奴に言われたかないわ」

「やかましい。お前に種無しになる辛さが分かるか」

「知らんね」

「なら教えてやるわ」

「まあ待て、落ち着けじじい」

「お、宅配便が来おったぞ」

「マジで? 起きるわ」

これが一番新しい会話。この日の会話は全部覚えていなかった。

それで起きた時、ちょうどチャイムが鳴ってクロネコの宅配が来ていた。

俺は近所の人が知っている以上に近所の事について詳しい。

じじ犬に教えてもらった事をうっかり喋って近所の人が解雇された事を暴いてしまい、エラい事になった時もあった。

俺が大学に行っている間の事も何もかも知っているし、犬だから誰も警戒しないんだろうな。

確か高校2年生の時くらいからだった気がする。じじ犬の言葉が解るようになったの。

部活から帰って来て、畳の部屋で寝ていたら声を掛けられたんだよな。

歳なのは解るけど、「若いの」と呼ばれるのはちょっとアレな気がする。

皆んな妄想だとか言うけどねー。

クビ発覚事件

以下がその切っ掛けになったじじ犬との会話。

「若いの、知っとるか」

「何が?」

「斜向いのデカイのがおるだろう」

「田中さん(仮名)か?」

「そうそう。あいつは怪しいぞ」

「何でなん?」

「あいつ、朝に家を出た後、山師野町(仮名)で見かけた」

「別にえーやん。仕事中やったかも」

「有り得ん。ここ4日ほど見てたがおかしい」

「…最近、昼飯も食わずに家を出ていると思えば、出歯亀やってたんか」

「そう言うな。お前だってワシをほっといて大学に行ってるだろう。暫くは様子見だなぁ」

それから一ヶ月くらい経った頃かな。また声を掛けられて…。

「若いの。判ったぞ」

「何よ?」

「斜向いのデカイの、仕事が失くなったようだな」

「マジで?」

「何もせずぼーっとしとる。ありゃ確実だ」

「はー。なるほど」

「お前もああなってはいかんぞ」

その日の晩、おかんとメシを食っていた時うっかり、

「田中さん、クビなったらしいなぁ」

「そうなん!? あらー、ホンマぁ~。嫌やわ~」

というような会話をしてしまい…。

その次の週くらいに、おかんが田中さん家の嫁さんに、

「ご主人お仕事失くされたらしいですなぁ? お気の毒に…何でも力になるわぁ!」

と親切心バリバリで言ったところ、嫁さんはそんな事は知らず、その日の晩は罵声と怒号が飛び交いましたとさ。

その後の投稿

結構みんな喜んでいて嬉しい私とじじ犬の話ですが、何かエピソードと言われましてもあんまり無いんですよねぇ…。

何と言うか普通にじいさまとダラダラ喋っているのとさして変わらないというのがその理由なのかな。

偶に『あー、このじじいはやっぱり犬だな』と思う事があるけど。例えば「肉が食いたい」と言われた時とか。

正直クビ発覚事件くらいしか書く事が無いんですよ。

霊が見えたりすりゃネタにはなるんですが…生憎普通の犬だし。

そもそも何で俺は毎度犬と喋っている夢を見るんかね?

でも最近、意外な発見はあったな。犬を飼っている人向け。

ほねっこ

ほねっこってあるでしょ? アレの話なんだけど。

「若いの」

「何よ?」

「毎度貰ってるメシに注文付けて悪いんだが」

「うん」

「骨が欲しい。偽物の奴は嫌だ」

「あー、ほねっこ?」

「何というか知らんが昨日食べた奴」

「あー、ほねっこだわ」

「そのほねっこな、何か悲しいから本物の方にしてもらいたいんだが」

「ほう。でもあんた、喜んで食べてたやん?」

「何か噛み付かずにはいられんというか。それでも騙された感があって空しいのだ」

「さいかー。でも俺らもそんな感じやで?」

「そうなんか? 毎度色々美味そうに食ってるように見えるが」

「いや、そういう偽モン系よくあるで。カニカマとか」

「何じゃそれは」

「カニっぽいけど魚な食べ物」

「ほー。若いの。それよく食べとるのか?」

「割とよく食うなぁ。小腹減った時とか」

「ほう。みんなそれなりに苦労を抱えてるんだなぁ。我慢する」

「苦労ってほどやあらへんけど…まあ、おかんに言うとくわ」

「よろしゅうたのむ」

だそうで、ほねっこは空しいらしいです。

出来るだけ本物の骨をあげてください。個人差はあると思うけど…。

鳥の骨はダメですよ?

田舎(フリー写真)

魚のおっちゃん

曾祖母さんから聞いた話。 曾祖母さんが子供の頃、実家近くの山に変なやつが居た。 目がギョロッと大きく、眉も睫も髪も無い。 太っているのだがブヨブヨしている訳でもなく、…

恋人(フリー写真)

本当の霊視

とある心霊系のオフ会に参加した時の話です。 私は霊感がある(手品も上手い)Tさんの車に乗せてもらい、スポットを幾つか回りました。 不思議なのはその人の会話です。 話題…

世にも珍しいポジティブな神隠し

日本のみならず世界の各所で起きる「神隠し」。 超自然的なものから人為的なものまで様々なものがあるが、基本的にネガティブなものである。 しかし、とある地方では世にも珍しいポジ…

Qualeは物質に干渉する

僕は東京の杉並区に住んでいます。今は恥ずかしながらフリーターです。 昨日は友人四人と駅近くの居酒屋で飲み、ほろ酔いで自宅まで帰っていました。駅から自宅までは歩いて10分ほどです。…

不思議な手紙と異常な部屋

去年の暮れ、会社に一通の手紙が届いた。 編集プロダクションに勤めている俺への、名指しの手紙だった。 中を読むと自分のエッセイを読んで添削して欲しい事、そして執筆指導をして欲…

捕まった口裂け女

1979年6月21日午前3時頃、「兵庫県姫路市野里の路上に、腰まで垂れる長い髪で、真っ赤な口が耳元まで裂け、白い長襦袢をまとって出刃包丁を持った女がいる」と姫路署にタクシー運転手から1…

京都のお寺(フリー写真)

ミルクキャラメル

小学1年生の頃、よく自分の家のお墓があるお寺で一人遊んでいた。 池の鯉を見たり、お寺に飼われていた猫のミケと遊ぶのが楽しかった。 じいちゃんのお墓参りをして、周りに生えて…

宇宙は数字でできている(長編)

不思議な体験をした。 簡単に説明すれば、幽体離脱をして宇宙を覗いたら、螺旋状に永遠に伸びる、うねうねとした膨大なカラフルな数字から成る道を高速スピードで飛んでいた。 あまり…

瀬戸内海

送り船

二年前の夏休みの話。 友達の田舎が四国のど田舎なんだけど、部活のメンバー四人で旅行がてら泊めてもらうことになった。 瀬戸内海に面する岬の先端にある家で、当然家の真横はもう、…

お婆さんの腕(フリー写真)

幽霊が見える祖母の話

俺の婆ちゃんの話。 婆ちゃんは不思議な人で、昔から俺だけに、 「お婆ちゃんは幽霊が見えるとよ。誰にも言っちゃいかんけんね」 と言っていた。 実際に俺が霊体験を…