兄が消えた朝

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

水たまり

私がまだ小学校に上がる前のことです。ある朝、目を覚ますと、隣で寝ている兄以外、家の中には誰もいませんでした。家中を探しましたが、どこにも家族の姿は見えません。

不安になり、兄を起こそうとしましたが、いくら声をかけても、いくら肩を揺すっても、兄は目を覚ましませんでした。どんなに激しく揺さぶっても、彼の体はぐにゃりとしただけで、まるで生気がないかのようでした。

怖くなった私は、雨が降る中を家の外に飛び出しました。薄暗い外でも、人の気配はどこにもありませんでした。泣きながら家の周りを歩き回りましたが、誰もいません。

再び家に戻ると、突然両親が現れました。「どこに行ってたの?」と聞いても、「お父さんはここにいるよ」「お母さんはここにいるよ」としか答えてくれませんでした。理由は教えてくれず、ただ戻ってきたことに安心しました。

その時、兄が現れましたが、何かがおかしいと感じました。目の前にいる兄の顔は、昨日までの兄、さっきまで隣で寝ていた兄とは明らかに異なっていました。目付きが鋭く、鼻が細く高く、頬がこけ、髪がぺたんとしていました。

この不思議な出来事はその日限りで終わりましたが、その日から兄はずっと以前の兄ではなくなってしまいました。何があったのか、真実はわかりませんが、それからの兄は別人のようでした。

関連記事

でちゃいかん!

小学校の低学年の時、風邪ひいて学校を休んでいた時のこと。 インターホンが鳴ったので出ると「警察の者です。お父さんが交通事故にあって助からないかもしれない。すぐに病院に来て欲しいので、出て…

柿の木(フリー写真)

拝み屋の不思議な子

うちの母方の家系はいわゆる拝み屋。元は神社だったのだけど、人に譲ってから拝み屋をやっていた。 拝み屋と言っても儲からない。お金は取っちゃいけないから兼業拝み屋。 でもひいじ…

地下鉄(フリー写真)

目に見えない存在の加護

その日はいつも通りに電車に乗って会社へ向かった。 そしていつものようにドアに寄り掛かりながら外の景色を眺めていた。 地下鉄に乗り換える駅(日比谷線の八丁堀駅)が近付いて来て…

新聞受けから…

これは俺が2年前の6月14日に体験した本当の話です。俺が前住んでたアパートでの出来事。 その日、俺はバイトで疲れて熟睡していた。 「ガタガタッ」という異様な音で俺が目を覚ま…

神秘的な山(フリー素材)

山の少年

中学時代、夏休みを利用して友達と川釣りに行こうという話になりました。 夜中の午前3時頃に集合し、市街地から自転車をひたすら漕いで約3時間、目的の川に到着しました。 ※ 早速、…

呼び寄せられた仲間

僕が大学生のころ。あれは確か昭和63年12月の出来事でした。 同じ高校の友達と2人で神戸三宮に出ていたら、別の高校卒業以来の友達と出くわした。 「おお、久々じゃないか」となって…

油絵の具(フリー素材)

風景画の中の女性

心霊写真の話はよく聞くけど、風景画に霊が入り込む事もあるのだろうか。 定年退職後の祖父の趣味は油絵だった。 描いているものは人物画だったり、風景画だったり、祭事を描いたりと…

ドライブイン

奇妙なドライブイン

この話はオカルトや怪談に入るものなのか少し微妙なところなのだが、個人的には非常に怖かった体験です。 それと、もう何ヶ月も前の事なので会話はうろ覚えの部分が多く、『当時こんな感じだ…

犬と結婚した男

現在、インドには日本の人口の約10倍となる約12億人が暮らしている。ゆえに、それだけ人がいれば変わり者も多い。 2012年に『犬と結婚した男がインドいる』とネット上で話題になった…

山神様

これは、俺の曽祖父が体験した話です。大正時代の話ですので大分昔ですね。 曾じいちゃんを、仮に『正夫』としておきますね。 正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩り…