変り種の相棒

公開日: 心霊ちょっと良い話

ひよこ(フリー写真)

12年前、近所の社の祭でヒヨコを釣ったんだわ。体が歪んでいて、少し変わった形をしていた。

それでも懸命に俺の後を付いて来る姿がいじらしくて、散々甘やかし、可愛がって育てた。

俺が学校から帰って来るとすぐ膝の上に乗ってきてさ、うとうとし始めるんだよな。

でもな。寿命ってあるんだよな。どんなヤツにもさ。冷たくなって行くアイツを抱えて、すっげぇ泣いたよ。

でも月日が流れると忘れるんだよな。忙しさなんかに負けて。

その頃は仕事で散々悩んでいて、精神的に切羽詰まっていた。限界が来ていたんだと思う。

ある日、熱を出して寝込んでいたら、胸の上に軽い重みを感じてさ。それと同時に何かがぺったりと喉にへばり付くんだよ。

その瞬間、思い出せた。アイツの重みと鶏冠の感触。甘えるようにいつもそうやって俺の上に乗ってきていたヤツの重みだ。

涙が止まらなかった。そんなに心配をかけていたのかと思うと。

俺は思い切って転職した。今、別の会社で頑張っている。

多分、あれは幻覚だと思う。結構熱が高かったから。

それでも俺はもう忘れない。変り種の相棒の事だけは。

関連記事

犬(フリー素材)

犬の気持ち

俺が生まれる前に親父が体験した話。親父がまだ若かった頃、家では犬を飼っていた。散歩は親父の仕事で、毎日決まった時間に決まったルートを通っていたそうだ。犬は決まっ…

キャンプ場

少女のお礼

この話は僕がまだ中学生だった頃、友人の家に泊まりに行った時に聞いた話。友人と僕が怪談をしていると、友人の親父さんが入って来て、「お前たち幽霊の存在を信じてるのかい? 俺…

台所(フリー写真)

おばあちゃんの料理

十年以上寝たきりで、最後の方は痴呆になってしまっていたおばあちゃん。帰省してお見舞いに行った時、私の名前も分からなくなった祖母の傍にいるのが辛くて、「もういいよ」…

雑炊

妻の愛

ようやく笑い飛ばせるようになったんで、俺の死んだ嫁さんの話でも書こうか。嫁は交通事故で死んだ。ドラマみたいな話なんだが、風邪で寝込んでいた俺が夜になって「みかんの缶詰食…

雨(フリー写真)

涙雨

親父の葬式の時の話。告別式の最中、心の中で親父に語りかけていた。『親父、まだ上には行ってないだろ。側に居るなら蝋燭を揺らしてみてくれ』すると壇上の蝋燭が激しく…

妹を守るために

これは知り合いの女性から聞いたマジで洒落にならない話です。一部変更してありますが、殆ど実話です。その女性(24歳)と非常に仲の良いA子が話してくれたそうです。A子には3…

結婚式のブーケ(フリー写真)

夢枕

私が幼い頃、母と兄と私の三人で仲良く暮らしていました。しかし兄が14歳になる頃、母が事故死してからは親戚をたらい回しにされ、私はまだ4歳でその時の記憶は殆ど無いのですが、兄はか…

ソファー(フリー写真)

人の想い

俺は出張マッサージを生業にしているのだけど、十何年か前、名前を言えば誰でも知っている会社の会長さんのお宅に仕事でお伺いした時の事。いつものように呼び鈴を押して返事を待っていた…

登山(フリー素材)

謎の救助隊

登山サークルに所属していた3人の男性が、冬休みを利用してある山に登ることを決めました。彼らのレベルではまだ早いと言われましたが、若さにかまけて無理やり登山を決行することにしまし…

優しい抽象的模様(フリー素材)

兵隊さんとの思い出

子どもの頃、いつも知らない人が私を見ていた。その人はヘルメットを被っていて、襟足には布がひらひらしており、緑色の作業服のような格好。足には包帯が巻かれていた。小学生にな…