不思議なおっさん

癒しの手

自分が小学生の頃、近所で割と有名なおっさんがいた。

いつもぶつぶつ何か呟きながら町を徘徊していた人だった。

両親も含めて、奇妙な人だから近寄らない方が良いと誰もが言っていたので、話し掛けたことはなかった。

当時サッカークラブに通っていたのだが、ある日、思い切り首を打ってしまった。

鎖骨が折れてしまい急遽病院へ。その時、校門からあのおっさんが俺のことを見ていた。

翌日、ギブスで首をガチガチに固定された状態で学校へ。

休み時間に廊下の窓から外を見ると、あのおっさんがいるではないか。

放課後、友人と一緒に家に帰る途中でおっさんは待機していた。

おもむろに俺に近寄ると、首のところにスッと手を当ててくれた。

その間、およそ数分間。おっさんの額は汗でぐっしょり。

さすがに怖くて、おっさんが手を離すと、俺はすぐに家に向かって走った。

家に着いて両親にそのことを話そうとした時、変化に気付いた。

首の違和感が全く無いではないか。

1週間後、経過確認で病院に行ったら医者が驚嘆していた。骨折の跡がまるで無かったらしい。

俺はその話を両親にしたけど、まるで信じない(治ったこと自体は不思議がっていたが)。

俺自身も半信半疑だったが、一応おっさんにお礼を言おうと思ったら行方をくらましていた。

今から思えば、子供には評判が良かったおっさんであった。

元気であって欲しいと思う今日この頃。

温泉街(フリー写真)

山宿の怪

先日祖母の法事があり、十数年ぶりに故郷の山奥の町に帰りました。 法事の後で宴会があり、そこで遠縁の爺さんに面白い話を聞いたので書いてみます。 爺さんはその町から更に車で一時…

オオカミ様のお堂(宮大工1)

俺が宮大工見習いをしてた時の話。 大分仕事を覚えてきた時、普段は誰も居ない山奥の古神社の修繕をする仕事が入った。 だが親方や兄弟子は同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で手…

頼もしい親父

親父が若かった頃、就職が決まり新築のアパートを借りたらしい。 バイトしていた材木店のトラックを借り、今まで住んでいたボロアパートから後輩に頼んで引越しをした。 特に大きい物…

山道

途切れさせてはいけない

俺の嫁が学生の頃の話。 オカルト研究サークルに入っていた嫁の友達K子が、心霊スポットについての噂を仕入れて来た。 東北地方某県の山中に、周囲を注連縄で囲われている廃神社があ…

猫の親子(フリー写真)

魔法の絆創膏

俺がまだ幼稚園生だった頃の話。 転んで引っ掻き傷を作って泣いていたら、同じクラスのミヤちゃんという女の子に絆創膏を貰ったんだ。 金属の箱に入ったもので、5枚くらいあった。 …

ポラロイド写真

不可解な写真

最近、バイト先の店長から聞いた話。その店長の兄が10年ぐらい前に経験した話です。 その兄は当時、とある中小企業に勤めていたんだけど、まだ2月の寒いある日、後輩の女の子が無断欠勤し…

教室の机(フリー写真)

教室に居る子

小学6年生の二学期の途中に地方へ引っ越した。 転校をするのは初めてのことだった。 不安に思っていた僕に最初に話し掛けてきたのは、T君というクラスのリーダー格らしき人で、色々…

綺麗な少女

夏が近くなると思い出すことがある。 中学生の時、ある夏の日のことだ。俺は不思議な体験をした。 夏休みを迎えて、同世代の多くは友達と遊んだり宿題をやったりしていただろう。 …

女性のシルエット(フリーイラスト)

千明姉ちゃん

人間の顔が全く変わってしまうことなんてあるのかね? この前、久しぶりに従兄弟と一緒に親戚に会いに行ったら、親戚のお姉さんの顔が全く別人になっていた。 整形ではない。何故なら…

海から来たるもの

普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。 訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。 ここからは彼の語り。ただし、酔って…