護衛機
公開日: 心霊ちょっと良い話
爺ちゃんから聞いた話。
俺の爺ちゃんは戦争中、爆撃機で司令官を運ぶパイロットだった。
もちろん護衛に戦闘機を引き連れてだけど。
戦争で戦友が次々死んで行く中で、爺ちゃんの一番親しい友達も死んでしまった。
戦局が悪化して護衛の戦闘機が乏しくなった中、護衛が一機という悲惨な状態に。
そんなある日、突然米軍の戦闘機二機に襲われた事があった。
その時、死んだ筈の友達の声で「オイ!!」と聞こえ、咄嗟に旋回してギリギリ銃撃をかわしたらしい。
米軍の一機は護衛機が追い払ったが、もう一機はどこから来たのか分からない友軍機が火を吹きながら追い掛け、米軍機は勝手にジャングルへ墜落した。
その後、友軍機は爺ちゃんと護衛機と並行して飛んでいたのだが…。
機体のナンバーが死んだ友達のものだった。
全てを察して爺ちゃんが敬礼をすると、友軍機は火を吹きながら上昇し、雲の中へ消えたそうだ。
爺ちゃんは今でもその友達の墓参りに行っている。
※
余談
爺ちゃんは勿論まだ健在。85歳だけど元気過ぎて困る。
戦後長らくバスの運転手をしていて、現在も頼まれればボランティアでバスの運転手をしている。
爺ちゃんは現在も死んでしまった友達の家とは交流がある。
その友達の家は広大な山を持つ家だそうだけど、戦時中資源調達の為にはげ山になり、男衆が殆ど死んでしまった。
だからその家のために、友の恩に報いるために、復員後、暇を見つけては植林をしていた。森になるまで30年も!
馬鹿な孫(俺)はそんなことなど知らず、その山で走り屋ごっこして遊んでいました。
あの立派な木々が、爺ちゃんが植えたものだったと知って感動した。
出来れば爺ちゃんの精神の一部でも受け継ぎ、立派な人間になりたいと心から思う。