白いマフラー

公開日: 心霊ちょっと良い話

戦闘機(フリー写真)

俺のじいちゃんは昔、パイロットだった。

若い頃のじいちゃんの写真は、白のマフラーを巻いて格好つけていて、でも本当に格好良かった。

俺もじいちゃんみたいな戦闘機乗りになりたかったけど、適性がなく結局は整備員になってしまった。

それで腐っていた俺にじいちゃんは、

「整備員はパイロットの命を預かってるんだからな、しっかりやれよ」

と励ましてくれた。

そんなじいちゃんも亡くなり、俺が初めて整備担当の飛行機を持った時、俺が整備した飛行機が空中で故障した。

パイロットから「コントロールが効かない」との連絡が入り、緊急着陸することになった。

でも着陸は一番難しい操作なので、大丈夫かと心配していたが、案外すんなりと着陸した。

飛行機を収容して不良箇所を探したが、異常な所はなく首を捻っていると、パイロットが来て言った。

「操縦が効かないって言った後に、俺の隣に人が居たんだ。

お前によく似て、パイロットみたいな格好してて、白のマフラー巻いてた。

その人が『大丈夫、ワシの孫の整備した飛行機じゃ。必ず無事に降りる』って言うんだよ」

それを聞いて、俺は持ち歩いているじいちゃんの写真を見せたら、

「ああ、この人。お前、いいお祖父さん持ったな」

と言ってくれた。

それ以降、

「あいつの整備した飛行機は落ちない」

と評判になり、パイロットからの信頼も得ることが出来た。

お陰で今も整備士やっています。

関連記事

小綺麗な老紳士

駅構内の喫煙スペースで私はタバコを吸っていました。喫煙スペースと言っても田舎の駅なので、ホームの端っこにぽつんと灰皿が設置してあるだけの簡易的なものでした。すると小綺麗…

お茶(フリー写真)

寂しがりなじいちゃん

母方のじいちゃんが何年か前に亡くなったのだけど、家によく出るらしい。殆どの場合はばあちゃんが目撃するのだが、対応が実に大らかだ。ある日、ばあちゃんが台所仕事をしていると…

坂道(フリー写真)

坂道と父

5年ほど前に父を亡くしました。体を壊して働けなくなり、自棄になってアルコールやギャンブルに走って借金を作り、最後は「飲んだら死ぬよ」と医者に言われながらも、飲み…

教室と黒板(フリー写真)

最後の宿題

俺の友達は、昔風に言えばヤンキーだった。高校もろくに行かず、友達と遊び回っていたそうだ。先生達は皆サジを投げていたそうだが、友達の担任の教師だけはそうではなかった。 …

合格祈願の絵馬(フリー写真)

母の四十九日まで

私が中学生の時の話です。受験の真っ只中の時期に、母がくも膜下出血で入院。そのまま亡くなってしまいました。その日の夜、「最後に家族みんなで一緒に寝よう」と…

犬(フリー写真)

お爺さんとの絆

向かいの家の犬が息を引き取った。ちょうど飼い主だったお爺さんの一周忌の日だった。お爺さんは犬の散歩の途中、曲がり角で倒れ込み、そのまま帰らぬ人となった。脳出血だったら…

体温計(フリー写真)

太いお姉ちゃん

去年の話なのだが、5歳の娘が急に高熱を出し、慌てて近くの病院へ連れて行った。そして風邪と診断され、処方された薬を3日間飲ませていたが、症状は一向に良くならず。『ひょっと…

四つ葉のクローバー(フリー素材)

おじさんの予言

あれは11年前、某ビール会社の販促員のパートをしている時に、ある酒屋に伺った時のことです。二回目にその酒屋へ訪問の際、お店の娘さんに「あなたに膜のようなものが掛かって見…

零戦(フリー写真)

身代わり

今年大往生した母方の祖父ちゃんは、零戦乗りだった。戦中予科上がりだけど特乙や特丙よりも前に出たので、それなりに操縦士の中でもエリート意識はあったらしく、飛行時間をよく自慢して…

犬(フリー写真)

埋葬した子犬

心霊体験になるのか分かりませんが、子供の頃に不思議な経験をしました。小学5年生の時、私は凄い田舎で暮らしていました。小学校は統合され、登下校はスクールバスでないと通え…