人の想い

公開日: 心霊ちょっと良い話

ソファー(フリー写真)

俺は出張マッサージを生業にしているのだけど、十何年か前、名前を言えば誰でも知っている会社の会長さんのお宅に仕事でお伺いした時の事。

いつものように呼び鈴を押して返事を待っていたところ、着物姿のお手伝いさんが門から出て来た。

そして手招きをして

「こちらの居間へどうぞ」

と居間に通され、ソファに腰掛けていた。

するとそこの奥様が来て、驚いた様子で

「どうやって家に入ったの?」

と聞いてきたので、

「お手伝いさんに案内されましたが」

と言ったら、

「家にはお手伝いは居ない」

と言う。

こういう感じの人でしたよと説明した後、奥様がいきなり

「ああ…また出たのね~」

どうやら以前雇っていた方だったらしく、亡くなっても尽くしているお手伝いさんに感動してしまった。

後日談

あの一件の後、そのお宅の旦那さんが奥様からお手伝いさんの話を聞き、

「まだ逝ってないのか、解った」

と言い、お手伝いさんが眠る墓地に赴き、墓前に線香と花を添えてから、

「もう向うに逝きなさい。お前は充分に働いてくれたじゃないか」

と言葉を掛け、墓地を後にしたのでした。

次の日の夜中、旦那さんの枕元にお手伝いさんが正座して、

「お坊ちゃま、お世話になりました。これからアチラに参ります」

と頭を下げて消えたそうです。

その話を後で奥様から伺い、

「もう出ませんよ」

と言われた時は、一抹の寂しさを感じてしまいました。

死後の世界があるのかどうかは分からないけど、人の想いはこの世に残るものですね。

中学校の教室(フリー写真)

このまま行くところ

小学5年生の頃に転校して来た友達と仲良くなって、中学時代も変わらず仲良しだった。 でも彼は中学2年の昼休み中に意識を失い、二度と学校には来なかった。 原因は白血病で、よく…

庭に咲く花(フリー写真)

光る玉

私の母は私を産む前に二度流産しており、三度目(私)の時も、何度か駄目になりかけていたそうです。 妊娠4ヶ月頃の時も、やはり体調を崩して流産しかけたらしいのですが、その時、庭で二人…

小綺麗な老紳士

駅構内の喫煙スペースで私はタバコを吸っていました。 喫煙スペースと言っても田舎の駅なので、ホームの端っこにぽつんと灰皿が設置してあるだけの簡易的なものでした。 すると小綺麗…

見覚えのある手

10年前の話だが、俺が尊敬している先輩の話をしようと思う。 当時、クライミングを始めて夢中になっていた俺に、先輩が最初に教えてくれた言葉だ。 「ペアで登頂中にひとりが転落し…

お花畑(フリー写真)

まだ来るな

僕には四つ下の弟が居て、彼はバイクで通勤していました。 ある日、彼が出勤途中に事故に遭い、救急車で病院に担ぎ込まれました。 僕にも連絡があり、急いで駆け付けましたが、彼は意…

飲み屋街(フリー素材)

常連客

学生時代、叔父が経営する小さな小料理屋(居酒屋)で手伝いをしていた。 常連客の中に、70代のMさんという真っ白な頭の爺様が居た。 ほぼ毎日、開店時間の16時から24時くらい…

犬(フリー素材)

犬の気持ち

俺が生まれる前に親父が体験した話。 親父がまだ若かった頃、家では犬を飼っていた。 散歩は親父の仕事で、毎日決まった時間に決まったルートを通っていたそうだ。 犬は決まっ…

渓流(フリー写真)

川辺で会ったおじさん

小学5年生の頃、隣のクラスに関西からの転校生S君が来た。 ある日の昼休み、体育館の片隅でS君がクラスの野球部数名から小突かれたりして虐められているのを発見した。 俺は当時、…

空(フリー写真)

爺さんの教え

学生の時、爺さんが末期癌でこの世を去った。 悲しかった。ただ、葬式では泣かなかった。泣けなかった。 「人前で泣くな」 が爺さんの教えだったから。 ※ 数日後、母か…

綺麗な少女

夏が近くなると思い出すことがある。 中学生の時、ある夏の日のことだ。俺は不思議な体験をした。 夏休みを迎えて、同世代の多くは友達と遊んだり宿題をやったりしていただろう。 …