そこを右

Victoria-Stoyanova-1968---Bulgarian-Abstract-painter---Tutt'Art@

あるカップルが車で夜の山道を走っていた。

しかし、しばらく走っていると道に迷ってしまった。

カーナビもない車なので運転席の男は慌てたが、そのとき助手席で寝ていたと思った助手席の彼女が、

「そこを右」

などと道を案内し始めたのだ。

「なんだ、道知ってるのかよ」

と思った彼だが、助手席から聞こえてくる彼女の案内に従って山道を走り始めた。

「そこを左」

「その道入って」

など彼女の案内は続いた。彼は安心して運転をすることができた。

そして、

「そこを左に曲がって」

彼はハンドルを切って左に曲がった。

「!!!」

彼は急ブレーキを踏んだ。

左に曲がったすぐ先は崖となっていた。落ちたら命はなかったろう。

「なんでこんな道を教えたんだ!」

彼は助手席の彼女に怒鳴った。

「死ねばよかったのに……」

寝ている彼女の口から低い男の声が聞こえた。

関連記事

星空(フリー写真)

光の玉

十数年前、私が6歳、兄が8歳の時の話。私たちはお盆休みを利用し、両親と四人で父の実家に遊びに行った。その日はとても晴れていて、気持ちが良い日だった。夜になっても…

イーッパイおばさん

うちのコンビニに週3回、毎朝5時過ぎにやってくる初老のおばさんがいる。週3回全て俺が入ってる日、決まって俺が店内で一人で作業している時に来る。雨の日でもズブ濡れになりな…

為松の竹林

昔、うちの近くの山の麓に「為松の竹林」と呼ばれていた場所があった。文字通り竹林だったらしいが、戦後は住宅地になり、それを知る年寄りももう殆どいない。竹林になる前、明治・…

白い日傘

今から3年ぐらい前の話になります。僕は内装工事関係の仕事をしているのですが、その会社の社長と僕と同僚の計4人で仕事が暇になると、よくスキーに行ってました。僕達の会社は名…

中古のナビ

8年くらい前の体験を書いてみるよ。中古車屋で店長をやってるダチがいるんだけど、そいつから中古のナビを安く買ったんだ。ちゃんと名の知れたメーカーの、後付けでダッシュボード…

夜道

白い傘を差した人

ある日、友人と遊んだ後、雨が降っているし時間も遅いからということで友人を家に送った帰りの話。今週の漫画をまだ読んでいないなと思い、コンビニへ行った。店内に客は自分だけ。…

呪いの人形

最初は、ほんの冗談だった。うちのクラスには、一人どうしようもない馬鹿がいる。野口と言う奴だけど、みんなはノロ、ノロと呼んでいた。なんでも信用するので、からかって…

行軍

爺ちゃんの従軍時代の話

子供の頃に爺ちゃんに聞いた話を一つ。私の爺ちゃんは若い時、軍属として中国大陸を北へ南へと鉄砲とばらした速射砲を持って動き回ってました。当時の行軍の話を聞くと、本当に辛か…

ベランダの女

俺が小学4年生の時の実体験。俺が初めて学校をサボった時の話です。親にばれると怒られるのは目に見えていたから、学校に行くふりをして家の近くで時間を潰した。姉貴と両親が出か…

赤模様

赤いシャツの女

二年前の今頃の話。その日、来週に迎える彼女の誕生日プレゼントを買いに、都内のある繁華街に居た。俺はその日バイトが休みだったので、昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色して…