コトリバコ(長編)

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暇なときにここを読んでいる者です。俺自身、霊感とかまったくありません。ここに書き込むようなことはないだろうと思ってたんですが、 先月起こった話を書き込もうかと思いここに来ました。一応、話の中心人物たちの許可は取って書き込んでます。ここなら多くの人が信じてくれそうなので。聞いてください。

本題

この話の主人公は霊感の強い友達の話。

その友達は中学生の時からの付き合いで、三十手前になった今でもけっこう頻繁に飲みに行くような間柄。

そいつん家は俺らの住んでるところでもけっこう大きめの神社の神主さんの仕事を代々やっています。普段は普通の仕事してるんだけど、正月とか神事がある時とか、結婚式とかあると、あの神主スタイルで拝むっていうのかな? そういった副業(本業かも)をやってるようなお家。普段は神社の近くの住居に住んでいます。

で、その日も飲みに行こうかってことで、とりあえず俺の家に集合することになったんです。先にそいつと、そいつの彼女が到着して、ゲームしながらもう一人の女の子を待ってたんです。その神社の子をM、遅れてくる子をS、俺のことをAとしますね。Mの彼女はKで。

しばらくゲームしながら待ってたら、Sちゃんから電話がかかってきたんです。

Sちゃん「ごめんちょっと遅れるね、面白いものが納屋から見つかって、家族で夢中になってた。Aってさ、クイズとかパズル得意だったよね?面白いものもって行くね! もうちょっと待ってて」

ってな感じの内容でした。

で、40分くらいしたころかな、Sちゃんがやってきたんです。その瞬間…というかSちゃんの車が俺ん家の敷地に入った瞬間かな。

Mが「やべぇ。これやべぇ。やべ…どうしよ…父ちゃん今日留守だよ」

って言ったんです。

俺「どうしたか?また出たんか?」

K「またなん?」

M「出たってレベルのもんじゃねぇかも…Aやべぇよこれ、Sちゃん…まじかよ」

Mは普段は霊感あるとかオバケみるとか神社の仕事とか、あまり話題には出さないんですが、たまにこうやって怯えてるんですよ。俺もSもKも、そのことは知ってるんですが、Mが突っ込んだ話されるのを嫌がるので普段はあまり話題にしません。

Sちゃんが俺の部屋まで上がってきました。Mは顔面蒼白ってかんじで、

M「Sちゃんよ…何持ってきたん?出してみ…」

S「え?え?もしかして私やばいの持ってきちゃった…のかな?これ…来週家の納屋を解体するんで掃除してたら出てきたん…」

そういってSちゃんは木箱を出したんです。20センチ四方ほどの木箱でした。電話でパズルって言ってたのはこのことだろう、 小さなテトリスのブロックみたいな木が組み合わさって箱になってたと思う。

M「それ触んなや!触んなや!!」

その瞬間、Mはトイレに猛ダッシュ。「ゲエエエエ」 嘔吐が聞えてきました。 Kがトイレに行ってMの背中をさすってやってるようでした。

一通り吐き終えたMが戻ってきて、ふらふらと携帯を取り出し電話をかけました。

M「とうちゃん…コトリバコ…コトリバコ、友達が持ってきた。…俺怖い。じいちゃと違って俺じゃ、じいちゃみたくできんわ…」

Mは泣いてました。とうちゃんに電話かけて泣いてる29歳…それほど恐ろしいことなんでしょう。

M「うん付いちょらん、箱だけしか見えん。跡はあるけどのこっちょらんかもしらん。…うん、少しはいっちょる、友達のお腹のとこ。シッポウの形だと思う…シッポウだろ?中に三角ある…シッポウ…間違いないと思う、だって分からんが!俺は違うけん!」(なにやら専門用語が色々でてたけど、繰り返していってたのはコトリバコ、シッポウという言葉でした)

M「分かったやる。やる。ミスったら祓ってや、とおちゃん頼むけんね」

Mはここで電話を切りました。それからMは2分ほど思いっきり大泣きして、しゃくりあげながら「よし」と正座になり、自分の膝のあたりをパシっと叩きました。もう泣いてませんでした。なにか決意したようで。

M「A…カッターか包丁貸してくれや」

俺「お、おい、何するん?」

M「誰か殺そうっちゅうじゃない、Sちゃん祓わないけん。Sちゃん、俺みて怯えるなっちゅうのが無理な話かもしらんが、怯えるなよ。KもAも気を強くもて!とにかく怯えるな!怯えるな!負けるか!負けるか!俺がおる!怯えるな!怯えるな!なめんな!俺だってやってやら!じいちゃんやってやら!見てろよ!くそぉおおおおお!」

Mは自分の怯えを吹き飛ばすかのように咆哮をあげていました。Sちゃん半泣きです…怯えきってました。俺もKも泣きそうです。ほんとにちびりそうだった…。

S「…分かった、分かった、がんばってみる」

俺もSもKもなにやら分からないけど、分かった分かったって言ってました。

M「A、包丁かカッター持ってきてくれや」

震える手で包丁をMに渡しました。

M「A、俺の内腿、思いっきしツネってくれや!おもいっきり!」

もう、わけ分からないけど、Mの言うとおりにやるしかありません。

Mの内腿をツネり上げる俺。俺に腿をつねり上げられながら、Mは自分の指先と手のひらを包丁で切りつけました。たぶん、その痛みを消すためにツネらせたのかな。

M「Sちゃん!口開けぇ!」

MはSちゃんの口の中に、自分の血だらけの指を突っ込みました。

M「Sちゃん飲みぃ、まずくても飲みぃ」

S「あっ…ぁぐッ…」

Sちゃん大泣きです。言葉出てなかったです。

M「…ノテンジョウ、ノリオ、シンメイイワト アケマシタ、カシコミカシコミモマモウス…」

なにやら祝詞か呪文か分かりませんが、5回、6回ほど繰り返しました。呪文というより浪曲みたいな感じでした。

S「うぇええええええええええ」

MがSちゃんの口から指を抜くとすぐ、SちゃんがMの血の混じったモノを吐きました。

M「出た!出た!おし!大丈夫!Sちゃんは大丈夫!…次…!」

Mは血まみれの手を、Sちゃんの持ってきた木箱の上にかぶせました。

M「コトリバココトリバコ…いけん…いけん…ちゃんとやっちょけばよかった」

Mがまた泣きそうな顔になりました。

M「A!とおちゃんに電話してくれ」

言われたとおりにMの携帯でMのとおちゃんに電話をし、Mの耳元にあてました。

M「とおちゃん、ごめん忘れた、一緒に詠んでくれかな?」

Mは携帯を耳にあて、右手を小箱添えて、こちらも4回か5回。また呪文みたいなものを唱えてました。やっぱり唄ってるみたいな感じでした。Mは自分に言い聞かせるようにゆっくりと、ゆっくりと唄っていました。やがて、

M「終わった。終わった…おわ…ったぁ…うぅえぇえええ」

Mは泣き崩れました。Kによしよしされながら、20分くらい大泣きしてました。俺とSとKも号泣で、4人でわんわん泣いてました。その間も、Mは小箱から決して手を離さなかったような気がします。

すこし落ち着いてから、Mは手と箱を一緒に縛れる位のタオルかなにかないか?って聞いてきたので。薄手のバスタオルでMの手と木箱を縛り付けました。

M「…さて、ドコに飲みに行く?」

一同「は?」

M「って冗談じゃ。今日はさすがに無理だけん、A送ってくれよ」
(どういう神経してるんだろ…ほんと強い奴です)

その日は皆へとへとで、俺が送って行って、お開き。

それから8日ほどMは仕事を休んだようです。そして昨日Mと会い、そのときのことを聞いてみたんですが。

M「あーっとなぁ。Sちゃんところは言い方悪いかもしらんが、◎山にある集落でな。ああいうところには、ああいったものがあるもんなんよ。あれはとおちゃんが帰ってきてから安置しといた。まぁあんまり知らんほうがええよ」

なにやら言いたくない様子でした。 それ以上は、いくら聞こうとしても教えてくれない。

ただ最後に。

M「あの中に入っちょるのはな、怨念そのものってやつなんよ。まぁ入ってるモノは、けっこうな数の人差し指の先とへその緒だけどな…差別は絶対いけんってことだ、人の恨みってのはこわいで、あんなもの作りよるからなぁ。アレが出てきたらな、俺のじいちゃんが処理してたんだ。じいちゃんの代であらかた片付けた思ってたんだけど、まさか俺がやることになるなんてなぁ。俺はふらふらしてて、あんまり家のことやっちょらんけぇ、まじビビリだったよ。ちょっと俺も勉強するわ。まぁ才能ないらしいが。それとな、集落云々とか話したけど…Sちゃんとも今までどおりな。そんな時代じゃないしな。あほくせぇろ」

俺「あたりめぇじゃん!それよりさ、この楽しい話誰かに話してもええの?」

M「お前好きだなぁ幽霊すら見えんくせにw」

俺「見えんからこそ好きなんよ」

M「ええよ別に、話したからって取り付くわけじゃないし。どうせ誰も信じねぇよ、うそつき呼ばわりされるだけだぞ、俺はとぼけるし」

 

以上、私が体験した奇妙な出来事の一部始終です。

 

後日談

[この投稿後、かなりの反響があり、投稿者が再び書き込みを行った]

おまたせしました。いやはや、なんだか大事になってますね、単独スレまでたってるとは。俺の住んでるとことはど田舎で、地域限定されて見物客とか来られたらさすがに俺も怖いので、あまり地域は追求しないでください。

さすがに大事になっており、やばいかなって思ったのでさっきMとSに電話してこの経緯を伝えました。
Mいわく「別にここがどこか分かったって詳細なんかわかりゃしないよ、安心しろビビリ」とのことです。

電話ついでにというか、昨日Mに聞きそびれた事を質問してみました。

1.あの場にいたS以外の人間、つまり俺とKは大丈夫なのか
2.俺の家に来る前に、件の小箱で遊んでたという家族は大丈夫なのか
3.まじアレはなんだったのか

以上3点です。以下、Mの回答。

1と2について

アレは子供と子供を生める女にしか影響なし。 Sの父と弟は問題外、母は…閉経してるんじゃないか? Sのばあちゃんもな。もちろんA(俺)も大丈夫。 Kについては危ないかなと思ったけど、触れた時間が短かったため問題なしだろう。 いざとなったらとおちゃんがいるし大丈夫。とのこと。

3について

実はM自身も詳細は知らないらしい。ただコトリバコは「子取り箱」だそうです。本当かどうかは不明です。俺を何とか反らそうとウソついたのかもしれないですが… 。昨日の会話の口ぶりからして、知らないはずがないと思ってます。ただ、そこまでして隠すほどのことだってことでしょうか。怖いけどなおさら気になります。

Sちゃんとの電話での会話

要約するとあの後、業者が納屋を解体しにきたのですが、そのときお隣のおじいさんと一騒動あったそうで、そのときの内容を明日3人に話しておきたいと。S曰く、自分も恐怖より好奇心が勝ってるということ。当事者として、何があったのか、アレはほんとに何だったのかを知りたいということでした。

で、Mと話し合った結果、明日4者で会談開催します。Kは来るか分からないけど。

Mのお父さんに話を聞ければ一番いいのでしょうが、さすがにMが渋ってるのにお父さんに直談判って訳にはいかないでしょうね。もし聞くことが出来れば聞いてみます。
ここまで来たら全部知りたいなぁと思ってます。でも、友達なくすようなことはしたくないので、当事者の誰からかストップかかったら投稿は止めますね。現時点では好奇心にかき消されてますが罪悪感もあるので。

全貌

昨日の経緯を書きます。嫌になるくらい長文です。載せようかどうかかなり迷ったんですが、4人で相談しそれぞれ思うところもあり、掲載することにしました。 最後にお願いもあります。

かなり長い話だったので、まとめも時間がかかり、また、俺自身かなり衝撃的なことを偶然聞かされたので混乱してます。また、5時間近く話しをしてたので会話の細部は記憶を頼りにかなり補完して、会話らしくしているということも了承してください。あと伏せてる部分も多々あります。

6日夜の時点では当事者4人、俺の家でSの話を聞くという予定だったのですが、SがSの家族、そして納屋の解体の時に一騒動あったという隣家のおじいさんも交えて話がしたいとのことで、Sの家に行くことになりました。

M、S、K、A(俺)。それと、Sの父は「S父」、母を「S母」、Sの祖母を「S婆」、Sのおじいさんを「S爺」、隣のおじいさんを「J」としましょうか。話の内容は以下のようなものです。

S宅の納屋の解体業者が来た時の話

俺の家での出来事の2日後になります。

5月23日、頼んでいた業者がきて解体用の機械を敷地に入れ作業に入ろうかというときS父に隣家のJが話しかけてきたそうです。

S父がおじいさんに納屋を解体することを伝えると、Jは抗議してきたそうです。S父ともめてたそうで、その声を聞いたSが「もしかしたらあの箱のことを知っているのかも」と思い、Jに聞いてみようと外にでたそうです。この時点でSは家族にあの日のことは話してなかったそうです。

「納屋を壊すな!」というJに対し「反対する理由はあの箱のことかなのか」と聞くと、Jは非常に、非常に驚いた顔で「箱を見つけたのか」「あの箱はどうした?」「お前は大丈夫か?」とあわてた様子で聞いてきたそうで、Sが事件の経緯を話すと、Jは自分の責任だ、自分の責任だと謝ったそうです。

そして「話しておかんかったからこんなことになった」「近いうちにお宅の家族に話さないけんことがある」と言い、帰って行ったそうです。

そしてSはポカンとしてるS父に事件のことを話したそうです。そしてJの話を聞いてから、俺らに話そうと思ってたのですが、Jが話しに来る素振りを見せずイライラしてたところに、昨夜俺から電話があったと言うわけです。

そして、昨日俺の電話を受け、Mも来るなら今日しかないと思い、その「話さないといけないこと」を今日話して欲しいということでJを父と一緒に説得して来ていただいたそうです。

Mの話

S父がJにお話いただけますか?と言うと部外者の俺とKが居ることで話していいものか悩んでいる様子でした。そうした雰囲気の中、

M「先に話させてもらっていいですか?」

そういってMが話し始めました。

M「Jさん…本来、あの箱は今あなたの家にあるはずでは?今の時代、呪いと言っても大概はホラ話と思われるかもしれないがこの箱については別。俺は祖父、父から何度も聞かされてたし実際、祖父と父があれを処理するのを何度か見てきた。箱の話をするときの二人は真剣そのものだった。管理簿もちゃんとある。それに事故とはいえ箱でここの人が死んだこともありましたよね」

「今回俺が箱に関わったってことと、父が少し不審に思うことがあるということで改めて昨夜、父と管理簿を見たんです。 そうしたら今のシッポウの場所はJさんの家になってた。そうなると話がおかしい。父は「やっぱり」と言ってました。 俺の家の方からは接触しないという約束ですが、今回ばかりは話が別だろうと思って来ました。父が行くといったのですが、今回祓ったのは俺なので俺が今日来ました。」

Jさん、そしてその他一同は黙って聞いてました。MとJにしか分からない内容なので。

M「それでですね。Jさん。あなたの家に箱があったのなら、Sのお父さんが箱のことを知らないのは仕方がないし、なんとか納得はできます。 SのおじいさんはT家さんから引き継いで、すぐに亡くなられてますよね」

「管理簿では、T家⇒S家⇒J家の移動が1年以内になってました。Sのおじいさんがお父さんに伝える時間が無かったのだろうと理解はできるんです。それに約束の年数からいって、Sのお父さんに役回りが来ることはもう考えにくい。あなたかT家で最後になる可能性が高いですし。でも、今回箱が出てきたのはSの家だった。これはおかしいですよね。俺、家のことはあまりやってなかったので、管理簿をまじまじと見たことなんてなかったんですが、昨夜父と管理簿をみて正直驚きましたよ。Sの話をさっき聞くまでは、もしかしたら何か手違いがあって、あなたも箱のことを知らなかったのかもしれないと考えてたのですが、あなたは知っていますよね?知っていたのに引き継いでいない。そしてSの家にあるのを知ってて黙っていた」

「俺、今回のこと、無事に祓えたんであとは詮索されてもとぼければ済むかなって思ってたんですよ。何かの手違いでSの家の人みんなが知らなかっただけで結果オーライというか…正直焦りまくったし、ビビリまくったけど…今日だって、昨日父と管理簿見てなかったらここには来てなかったと思います。本来の約束なら、俺の家からこっちに来ることは禁止ですからね。だから今日俺が来たってことは伏せておいて欲しい。でも、そういうわけには行かなくなったみたいです」

「俺は怒ってますよ。俺の父もね。ただ、顔も知らない先祖の約束を守り続けないといけないって言うのは、相当酷な話だというのも分かります。 逃げ出したいって気持ちも。俺だってそうでしたから。俺だってあの日、箱を見ただけで逃げ出したかった。わずかな時間のことだったのに、本気で逃げようかと思った」

「アレを下手すれば十数年、下手すれば何十年保管するなんてどれだけ怖いのかでも。もしこういったことがここ全体で起きてるのだとしたら残りの箱の処理に関しても問題が起きます。Sはたまたま、本当にたまたま箱に近づかなかったっていうだけでたまたま、本当に偶然あの日俺と会うことになってたってだけで…もしかしたらSは死んでたかもしれない。そして、もしかしたら他の箱で被害がでているかもしれない。だから、なぜこういうことになってたのか話していただけませんか? 」

「それとKはその場に居た「女」です。もちろん子供を生める体です。部外者ではないです。被害者です。それとこいつは(俺のこと)、部外者かもしれませんが、そうでもないかもしれません。こいつの名前は◎○です。ここらじゃそうそうある苗字じゃないですよね?」

俺はなんのことやら分からなかったです。ただJさんが俺の方をみて
「あぁ…そうかぁ…」って。

Jさんの話

J「まず、箱のことを説明したほうがいいですかな。チッポウ(シッポウかと思ってましたがチッポウらしい)はS家、J家、そして斜め向いにあったT家の三家で管理してきたものです。三家に割り当てられて箱です。そしてあの箱は三家持ち回りで保管し、家主の死後、次の役回りの家の家主が葬儀後、前任者の跡取りから受け取り、受取った家主がまた死ぬまで保管し、また次へ、次へと繰り返す」

「受取った家主は、跡取りに箱のことを伝える。跡取りが居ない場合は、跡取りが出来た後伝える。どうしても跡取りに恵まれなかった場合次の持ち回りの家に渡す。他の班でも同じです。3家だったり4世帯だったりしますが。そして他の班が持っている箱については、お互い話題にしないこと。回す理由は、箱の中身を薄めるためです」
「箱を受取った家主は、決して箱に女子供を近づけてはいけない。そして、箱を管理していない家は、管理している家を監視する。またMの家から札をもらい、箱に張ってある古い札と貼り替える。約束の年数を保管し、箱の中身が薄まった後Mの家に届け処理してもらう。M神社と昔にそういう約束をしたらしい 」

M「それで、俺の家は昔の約束どおり持ち込まれた箱を処理…供養してたんだ。ここにある全ての箱と、箱の現在の保管者の管理簿つけて」

J「そうです。本来なら、私がS爺が亡くなったときに箱を引き継ぐはずでした。でも、本当に怖かったんです、申し訳ない許して欲しい。Tの父親が死に、引き継いだS爺も立て続けに死に、男には影響ないと分かっていても怖かった。そんな状態で、いつS父が箱を持ってくるのか怯えてたんです。でも、葬儀後、日が経ってもS父がこない。それでTと相談したんです。もしかしたらS父は何も知らないのかもしらない、箱から逃げられるかもしれないと。そしてまず、S父に箱のことをそれとなく聞き、何も知らされていないことを確認しました。そして納屋の監視は続け、S家に箱を置いたままにしておくことTは札の貼り替えをした後、しばらくして引っ越すこと。そうすれば、他班からは「あそこは終わったんだな」と思ってもらえるかもしれないから」
「引き継ぐはずだった私が、S家の監視を続けること。そして、約束の年が来たらJが納屋から持ち出しM神社に届けること。そして…本当に、本当に申し訳ないそれまでに箱にSやSの母が近づいて、死んでしまったとしても箱のことはSの家は知らない、他班の箱のことは触れることは禁止だからばれることは無いだろうと、Tと相談したんです。本当に申し訳ない。だから、他班の箱のことは分からない。こんなことは無いと思う、申し訳ない」

Jさんは土下座して何度も謝ってました。S父さんは、死んだS爺さんに納屋には近づくなとは言われていたそうです。また、実際気味の悪い納谷で、あえて近づこうとは思ってなかったようです。

それで、今回どうせなら取り壊そうという話になり、中の整理をしていてそのときにSが箱を見つけてしまったという経緯でした。S父さん、S母さん、S婆さん、信じられないという感じでしたが、ただS婆さんだけがなにやら納得したような感じで、S婆「納屋はだから近づかせてもらえなかったのか」という風なことをおっしゃってました。

再びMの話

M「なるほど、そういうことでしたか…引継ぎはしなかったとはいえ、監視しなければならず、結局は箱から箱から逃げることは出来なかったんですね。結局苦しんだと決まりの年までたしかあと19年でしたよね?…引き継いでいたとしても結局は俺が祓うことになってたのかな」

「S父さん、S母さん、S婆さん、S…現実味の無い話で、まだ何が何だか分からないと思う。でもこれは現実で、このご時世にアホみたいに思うかもしらんが、現実で。でも、Jさんを怒らないであげてほしい。あの箱が何か知ってるもんにとっちゃ、それほど逃げたいもんだけんまぁ、もう箱はないんだけん安心だが?面白い話が聞けて楽しかったと思ってJさんを許してやって欲しい Jさんを許してやって欲しい」

Jさんうつむいて、うなだれて、見ててなんだか痛々しかったです。

M「それと、たぶんみんなあの箱の中身が何かを知りたいだと思う。ここまで話したら、もう最後まで聞いてほしい。俺も全部は知らんけど、知ってることを話す。ここはもう箱終わったけん、問題ないと思うし正直、残りの箱はあと二つ、たぶん俺が祓わんといけんもんだけん俺の決意ってのもある。それと、S父さんは本来知っておかんといけん話だけんそれとAは、たぶん今話とかんとしつこいけんなぁ」

「あの箱はな、子取り箱っていって間引かれた子供の身体を入れた箱でな作られたのは1860年代後半から80年代前半頃。この集落はこのあたりでも特にひどい差別、迫害を受けた地域なんよ。で、余りにもひどい迫害だったもんで、間引きもけっこう行われていた。吉田(仮の地名です)の管轄にあったんだが、特に吉田家からの直接の迫害がひどかったらしい。で、働き手が欲しいから子供は作るが、まともな給料がなく生活が苦しいから子供を間引くと…これは一応わかるよな? 」

「で、1860年代後半かな?隠岐の島で反乱があったのはしっちょるか? その反乱は1年ほどで平定されたらしいんだけどそのときの反乱を起こした側の一人が、この集落に逃れてきた島帰りってやつだな…。反乱の理由とかは学校で少し習ったろ?隠岐がすごい裕福な土地だったってこととかも。まぁ、それはいいや。で、その島帰りの人間、名前がな…◎○って言うんだよ。 」

(俺の苗字と同じでした。◎○を以下(A)とする)

「(A)は反乱が平定されて、こっちに連れてこられた時に隙を見て逃げ出してきたそうだ、話によるとだけどな。この集落まで逃げてきたと。集落の人らは、余計な厄介ごとを抱えると、さらに迫害を受けると思って(A)を殺そうとしたんだって。で、(A)が「命を助けてくれたら、お前たちに武器をやる」というようなことを言ったそうだ。その武器って言うのがな、小箱だ。小箱の作り方。集落の人はその武器がどのようなものかを聞き、相談した結果、条件を飲むことにしたんだ」

「(A)はもう一つ条件を出してきた。武器(小箱)の作り方を教えるが、最初に作る箱は自分に譲って欲しいということ。飲めるなら教える。どうしてもダメなら殺せと。集落の人はそれを飲んだ。そして(A)は箱の作り方を教えた…。作り方を聞いてからやめてもいい、そして殺してくれてもいいとも(A)は行ったそうだよ。それだけ禍々しいものだけん、この小箱ってのは、(A)も思うところがあったのかもな。ただ「やり遂げたら自分も命を絶つが、それでもやらなければならないことがある」そう(A)は言ってたそうだ 」

「それで、その方法がな、最初に複雑に木の組み合わさった木箱をつくること。これはちょっとやそっとじゃ木箱を開けられないようにするための細工らしい。これが一番難しい作業らしい。お前らもちょっと見ただろ?あのパズルみたいな箱アレを作るんだ。次に、その木箱の中を、雌の畜生の血で満たして、1週間待つそして、血が乾ききらないうちに蓋をする」

「次に、中身を作るんだが、これが子取り箱の由来だと思う。想像通りだと思うが。間引いた子供の体の一部を入れるんだ。生まれた直後の子は、臍の緒と人差し指の先、第一間接くらいまでのそして、ハラワタから絞った血を7つまでの子は、人差し指の先と、その子のハラワタから絞った血を10までの子は、人差し指の先を。そして蓋をする。閉じ込めた子供の数、歳の数で箱の名前が変わる一人でイッポウ、二人でニホウ、三人でサンポウ、四人でシッポウ五人でゴホウ、六人でロッポウ、七人でチッポウ」

「それ以上は絶対にダメだと(A)は念を押したそうだ。そして、それぞれの箱に、目印として印をつける。イッポウは△、ニホウは■といった具合に。ただ、自分の持っていく箱、ハッカイだけは7つまでの子を、八人をくれと。そして、ハッカイとは別に、女1人と子供を1人くれと。ハッカイは最初の1個以外は決して作るな とも言ったそうだ 」

「普通、そんな話まで聞いて、実行なんか出来ないよな。そんな胡散臭い人間の話、ましてやそんな最悪の話。いくら生活苦しくても、自分の子供を殺すのでさえ耐え切れない辛さなのにさらに殺した子供の死体にそんな仕打ち…。でもな、ここの先祖はそれを飲んだんだ、やったんだよ。どういった動機、心境だったのかは全部はわからないけどそれだけものすごい迫害だったんだろうね」

「子供を犠牲にしても、武器を手にしないといけないほどに、すごい迫害…そして、最初の小箱を作ったんだと。各家、相談に相談を重ねて、どの子を殺すかっていう最悪の相談。そして実行されたんだ」

「そして…ついにハッカイが出来上がった」

M「(A)はこの箱がどれほどのもので、どういう効果なのかを説明した。要望にあった子供と女を使ってね。その子供と女の名前は(伏せ字)。そして、犠牲になった8人の子供の名前は(伏せ字)。聞いたことあるろ?」(俺らは知ってる名前です。でも言えません)

「で、その効果は前に話したとおり。女と子供を取り殺す。それも苦しみぬく形で。何故か、徐々に内臓が千切れるんだ。触れるどころか周囲にいるだけでね」

「そして、その効果を目の当たりにした住民は、続けて箱を作ることにした。住民が自分たちのために最初に作った箱はチッポウだった。俺が祓った奴だな。7人の子供の…箱…わずか2週間足らずの間に、15人の子供と、女1人が殺されたんだよ。…ひどいよな…そして、出来上がった箱を、吉田の庄屋に上納したんだ。普通に住民からの気持ち、誠意の印という名目で。庄屋の家は…ひどい有様だったらしい。女子供、血反吐を吐いて苦しみぬいて死んだそうだ」

「そしてな、住民は吉田のお偉方達、吉田以外の周囲地域にも伝えたそうだ。 今後一切集落に関わらないこと。放って置いて欲しいこと。今までの怨みを許すことは出来ないが、ほうっておいてくれれば何もしないということ。守ってくれるのなら、吉田へ仕事に出ている集落の者も、今後吉田に行くこともしないということ。そして、もしこのことに仕返しをすれば、この呪いを再び振りまくということ。庄屋に送った箱は、直ちに集落に返すこと。なぜ放置するのか、その理由は広めないこと、ただ放置することだけを徹底すること。そして…この箱はこれからも作り続けること。既に箱は7つ存在していること。7つあるっていうのは、これはハッタリだったんだろうなと思う。そう思いたい…言い方は失礼なんだけど、読み書きすら出来なかった当時の住民にこれだけのことが思いつくはずは無いと思うんだ…(A)の知恵だったんだろうか」

「吉田家含め、周りの地域は全てこの条件を了承したらしい。この事件はその一時期は周辺に噂としてでも広まったのだろうかな。すぐさま集落への干渉が一切止んだそうだ」

「この集落の大人たちは、それでも作り続けたんだよ。この箱をね。すでに(A)はどこかに行ってたらしいんだが箱の管理の仕方を残していったそうだ。女子供を絶対に近づけないこと。必ず箱は暗く湿った場所に安置すること。そして箱の中身は年を経るごとに次第に弱くなっていくということ。もし必要なくなった、もしくは手に余るようなら、○を祭る神社に処理を頼むこと。寺ではダメ、必ず処分は○を祭るM神社であること」

「そして、住民たちは13年に渡って箱を作り続けたそうだ。ただ、最初の箱以外は、どうしても間引きを行わなければならない時にだけ間引いた子の身体を作り置いておいた箱に入れたということらしい。子供たちを殺すとき、大人たちは吉田を怨め、吉田を憎め、というようなことを言いながら殺したらしい。殺す罪悪感から少しでも逃れたいから、吉田に反らそうとしてたんだろうな」

「箱を作り続けて13年目、16個目の箱が出来上がっていた。イッポウ6つ、ニホウ2つ、ゴホウ5つ、チッポウ3つ。単純に計算しても、56人の子供…作成に失敗した箱もあったという話だから、もっと多かったんだろうな 」

「13年目に事件が起きた。その時、全ての箱は1箇所に保管されてたんだが監視を立ててね。そして事件が起きた。11歳になる一人の男の子が監視の目を盗んで箱を持ち出してしまった。最悪なのが、それがチッポウだったってこと。箱の強さは、イッポウ<ニホウというふうに数が増えれば強くなる。しかも出来上がって間もないチッポウ。箱の外観は分かるよな…Sが楽しく遊んだっていうように非常に子供の興味を引くであろう作りだ。面白そうなおもちゃを手に入れた男の子は家に持ち帰り。その日のうちに、その子を含め家中の子供と女が死んだ」

「住民たちは、初めて箱の恐怖を、この武器が油断すれば自分たちにも牙をむくということを改めて痛感した。そして一度牙をむけば、止めるまもなく望まぬ死人がでる。確実に。そして恐怖に恐怖した住民は箱を処分することを決めたそうだ」

「それからは大体分かるよな。代表者5人が俺の家に来たんだわな。そして、俺の先祖に処理を頼んだ。しかし箱の力が強すぎると感じた俺の先祖は箱の薄め方を提案したんだ。それはJさんの言った通りの方法。そして、決して約束の年数を経ない箱を持ち込まないこと。神社側からは決して集落に接触しないこと。前の管理者が死んだ後、必ず報告をすること。箱ごとの年数は、恐らく俺の先祖が大方の目安…箱の強さによって110年とか、チッポウなら140年ほど。箱の管理から逃げ出せないよう、そのルールを作ったんだ」

「班毎に分かれたあと、一人の代表者を決め各班にその代表者が届けた。そしてどの箱をどの班に届けたかを俺の神社に伝え、俺の祖先が控えた後…その人は殺される…これでどの箱をどの班がどれだけの年数保管するのかは分からない。そして、班内以外の者同士が箱の話をするのをタブーとしたそうだ。なぜ全体で管理することにしなかったのかは、恐らくだがこれは俺のじいちゃんが言ってたんだが、全体で責任を背負って責任が薄まるよりも、少ない人数で負担を大きくすることで逃げられないようにしたんじゃないかな?」

「で、約束の年数を保管した後、持ち込まれた箱を処理したと。じいちゃんの運の悪いところは、約束の年数ってのがじいちゃんとおれのひいじいさんの代に、もろ重なってたってことだ。 箱ごとの約束の年数っていうのは、法則とかさっぱり不明で他の箱はじいさんの代で全部処分できたんだが、チッポウだけはやたら長くて、俺の代なんだよなぁ…まだ先だと思って何もやってなかったけど真面目にせにゃ…」

M「これで全部だ。箱に関すること。俺が知ってること。そして、俺が祓ったチッポウは、最初に作られたチッポウだってこと」

 

お願いしたいこと

以上が昨日の夜の出来事です。

これ、掲載するのどうしようか、本気で迷いました。明らかにタブーなことだろうと思うし、集落の人にとっては絶対外に漏れては困ることでしょうし…。ただ、箱は残りふたつってMが言ってました。チッポウが2つ。これは責任持ってMが処理するって言ってたのと、俺ら4人、話を聞いても謎が多すぎて皆さんの力を借りたいって思ったから掲載することにしたんです。

冒頭で言ってた「お願いしたいこと」って言うのがそれなんです。

この話読んだ後、なにかこれに関する情報があったら教えていただけませんか?詳しい地域とか明かせないし、みんなの名前も怖いから教えられないんですが、俺達の個人的な欲で知りたいんです。

Mの話を聞いても、MとMのとおちゃんにも不明なことは多いらしく、また、Sとその家族、Kも出来うる限り知りたいと。Mも今の時代なら分からない部分が少しは埋まるかもと。オカルトな話で、どこまで本当の話かわかりません。俺も箱を実際見とらんかったら信じてないと思うし。

(A)が誰なのか、もともとは何処から来たのか。
(A)は箱の作り方を何処から知ったのか。
(A)はどういう理由で隠岐に居たのか。
ハッカイとかいう最初の箱はドコに行ったのか。
(A)はその後どうなったのか。
ハッカイ使って(A)は何をしたのか。

隠岐は京都付近の政治犯が送られて来たってのは習ったんで知ってますが、この箱の作り方が、京周辺に由来のあるものなのか、とか。

これは俺のルーツ知れるかなぁっていう個人的な欲も含まれています。父母が生きてた時、父方の先祖は隠岐から来たってのは聞いてたんですが詳しいところは不明なんで。俺がAAと関わりあるのかは不明なんです。妹ももちろん知ってるわけないし、母方のばあちゃんに聞いてもわかるわけねぇし。

歴史に詳しい方、ハッカイとか言う言葉が出てくる郷土史、昔話など、情報でてこないですかね?箱の呼び名の由来も不明ですし。ただ、俺の想像なんですが、イッポウ、ニホウとかは「一封」「二封」で、 ハッカイって言うのは「八開」なのかなとも。

俺らの名前、特に俺自身の苗字を明かせない、地域の名前とか肝心な部分を伏せてるとか、こんな状態でお願いするのはお願いになってないし、失礼だとは思いますが、何か情報があったらぜひお願いします。俺自身も、図書館等で郷土史など調べてみるつもりです。

何か分かったらまたここに書き込むつもりです。

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