襖をひっかく音

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

080502-1

僕の親友の小学校時分の話。

今から二十年も前のある日。両親が共働きだった彼は、学校から帰ると一人、居間でテレビを見ていた。

しばらくすると玄関の引き戸が開く音がするので、母親が帰ってきたと思った彼は、驚かせてやろうと居間の入口の引違い襖のそばにしゃがみ、足音がよく聞こえるようにと襖に耳を押しつけて母親を待ちかまえた。

足音は玄関を上がり、板敷きの廊下を居間に向かって近づいて来て、彼が身を潜める襖の前に来た。

しかし、その足音は入口まで来たものの、襖を開けようとしない。おかしいと思った彼は外の様子を窺おうと、いっそう強く襖に耳を押しつけた。すると…。

「……ガリ……ガリ……ガリ…」

廊下の向こう側からゆっくりと爪で襖をひっかく音がする。

驚いた彼はしばらくその場で硬直したが意を決して襖を開けると、ものすごい勢いで廊下を玄関に向かって走るハイヒールの音だけがしたそうだ。

その後、彼は自宅で幾度となくその女の幽霊のような存在に悩まされることになる。作り込み一切なしの本当の話。

関連記事

電話

ダレモイナイヨ

ある年の夏の終わり頃の事でした。 私が住宅街の中にポツンとあるカフェバーで働いていた時の話です。 その店はあまりお客も来ず、私と友人達の恰好の溜り場となっていました。 …

不気味なタクシー運転手

Fさん(女性・29歳)が深夜勤務の帰り、タクシーを拾った。 ドアが開き、Fさんはタクシーに乗り込んだが、その運転手は何も言わず、ただ黙ってFさんの顔をじっと見ていた。 ちょ…

夜道

散々な彼女

高校時代の彼女H美の話。 H美の家は、少し長めの道路の中間ぐらいに位置していた。夜になると人影も車もまばらになる薄暗い道路だ。 ある時期から、大して人通りもないその道路で事…

ビル(フリー画像)

やっぱり連れて行かれたんだな…

この話は私がまだ大学生の頃、とある7階建ての貸しビルで夜間警備員のバイトをしていた時の話です。 そのビルは警備室が1階の正面玄関脇にあり、各階のエレベーター前に監視カメラが付いて…

踏切(フリー素材)

留守電に残された声

偶にニュースで取り上げられる、『携帯電話に夢中で、踏切を気付かずに越えて電車に轢かれてしまう』という事故があるじゃないですか。 巻き込まれた本人もさる事ながら、電話の相手も大変で…

海の朝日

バイクの若者

母の同僚のおじさんが釣りに行った時のこと。 朝早く車で出掛けて行き、朝日が昇るまで車の中で焼酎を飲んで暖まっていた。 いつもは待機用の小屋のような所で過ごすのだけど、その…

花(フリー素材)

無念のアザ

妹が小学生の頃、家族ぐるみで仲良くしていた母子家庭のAさん親子がいました。 うちも母子家庭だったので、すぐ仲良くなったみたいです。 私は当時高校生だったので、学校やバイトで…

動物霊

動物霊をご存知だろうか。 その名の通り動物の霊なのだが、民間伝承でもよく知られているものは狐狸の類であろう。 これらに限らず、特に畜産や水産に関わる動物への信仰は強く、墓や…

機関車(フリー写真)

電車の幽霊

埼玉の三郷に操車場跡という所があります。地図にも載っています。 心霊スポットとしては途中のお化けトンネル(化けトン)が有名ですが、体験したのはその近くの建物です。 操車場は…

和紙人形

雨夜に訪れた『舞姫』

7年ほど前、タクシーの運転手さんから聞いた話です。 当時、私は六本木にある会社に勤めていました。仕事は夜遅くまでかかることが多く、終電を逃すたびにタクシーで帰るのが日常でした。…