動物霊

公開日: 心霊体験 | 怖い話

anger_01

動物霊をご存知だろうか。

その名の通り動物の霊なのだが、民間伝承でもよく知られているものは狐狸の類であろう。

これらに限らず、特に畜産や水産に関わる動物への信仰は強く、墓や碑も多く存在する。

これは、その動物霊に関する話である。

私が幼少時代に育った村では当時から米や果物の生産が盛んだった。

今でこそ極力殺傷は控えるものの、その農作物を荒らす猿や猪を駆除することがあった。

そして、小高い山の上には猿の墓と碑があった。我々は、その山を「山西の山」と呼んだ。

その理由は、そこを管理しているのが神事関係者ではなく、農民の山西一家であったからだ(供養は、年に一度神社の神主が担当する)。

山西家では、息子の正太郎が小学校中学年になると、猿の埋葬の一切を彼に任すようになった。

正太郎は、私の同級生であった。

彼は猿の死骸が出ると、それを持って山西の山に登って行った。

時には、罠によって頭部が潰れ脳味噌が飛び出したものや、腸がだらんと垂れたものを担いでいった。

猿と人間で差異はあるとはいえ、形や構造はまるで変わりないので、正太郎はガキ大将の俊介とその取り巻きにいじめられるようになった。

彼が、また猿の死骸を担いで山西の山に向かっている時だった。

「や~い、猿殺しの正太郎!」

「また殺したんか、俺たちも殺されるわ!」

「寄るな寄るな!」

正太郎は、ただ黙って山に登った。

そんな時期から、彼は変わってしまったように思う。

「おい、猿殺し!」

俊介が正太郎の首を捕まえて因縁をつけていた。

「ギャー!」

正太郎は急に奇声を発し、口を開いて威嚇した。その姿はまるで猿のそれであった。

驚いた俊介はその手を放し、後ずさった。正太郎は、なんと四つん這いで走って逃げたのである。

それからというもの、正太郎の奇行は村で知られることとなった。

ある時は道を歩く老人に飛びかかり、ある時は掃除に使うバケツの水を異常に怖がった。

噂では、お祓いも試したそうだが “強い動物霊が憑依している” とのことで、手の施し様がないのだという。

ある時、俊介たちが山道を歩いている時だった。

道の端のしげみに、正太郎がいるのだ。

俊介は正太郎の奇行をよく知っていたので、相手にするつもりはなかった。

しかし、取り巻きの一人が言い出した。

「じゃんけんで負けたやつが、正太郎にちょっかいを出そう」

負けたのは俊介であった。俊介は気付かれないように正太郎に近づくと、後ろから軽く小突いた。

すると、正太郎は急に振り返り「ギャー!」と叫びながら俊介に飛びかかった。

正太郎は頭に噛みつき、顔面を爪で引っ掻いた。

血だらけになった俊介を見た取り巻きは必死の思いで逃げ出した。

しかし、この時の正太郎の執念は異常であった。背を向けた俊介に飛びかかると、何度も爪を立てたのである。

それでも俊介はなんとか逃げ延びられた。

ただし、いじめの代償は大きく、彼の左目に光が差し込むことはなかった。

この事件をきっかけに、山西家は当時では珍しい精神科医に診せるという名目で、どこか違う土地に越していった。

それから、数十年経った今、正太郎のことを記しているのには理由がある。

当時、俊介の取り巻きであった一人が亡くなったのである。

首を噛まれ死亡しているのが発見された。警察は猟奇殺人として捜査している。

正太郎が生きていて、我々に復讐しているとは考えたくない。

あの時、私が正太郎にちょっかいを出そうなどと言い出さなければ、こんなことにならなかった。

水の中の女

今から20数年前、私がまだ高2の時の事だ。 当時私は部活に励んでいて、その日は梅雨真っ只中。 薄暗い夕暮れ時に、いつものように部活から帰っていた。 私はその頃奇怪な体…

抽象画(フリー素材)

夢が現実に

最近になって気付いた不思議な事。 俺は普段眠ってもあまり夢を見ない。というか実際は見ていても忘れているんだと思う。 でも、偶に夢を覚えていたりする。しかも覚えているやつに限…

魚(フリー画像)

魚の夢

俺は婆ちゃん子で、いつも婆ちゃんと寝ていたんだが、怖い夢を見て起きたことがあった。多分5歳くらいの時だったと思う。 夢の内容は、『ボロボロの廃屋のような建物が三軒くらいあって、そ…

飼い猫

色々あるけど、子供の頃の話。7歳だった自分は母と一緒の部屋で毎晩寝ていた。 ある晩、ふと布団を捲りあげたら鬼のような形相の人のようなものが2つ。 びっくりして布団から這い出て電気をつけ…

オートロック

幽霊がいるって信じてないんだけど、一度だけ不思議な経験をしたことがある。今思ったら怖い体験なんだけど…。 4年前、神戸に住んでいた時、警備会社でアルバイトしてた。 大概夜勤…

赤模様

赤いシャツの女

二年前の今頃の話。 その日、来週に迎える彼女の誕生日プレゼントを買いに、都内のある繁華街に居た。 俺はその日バイトが休みだったので、昼過ぎからうろうろとプレゼントを物色して…

ワイン倉庫(フリー素材)

海外ホテルの心霊体験

20年くらい前かな。俺がフリーターをやっていた頃の話なんだけど、その当時ヨーロッパの方へ海外旅行に行ったんだよ。 観光目的ではなく労働者ビザを取って2年くらい居たのかなあ…。 …

倉庫(フリー背景素材)

曰く付きの絵画

一つ俺の体験談をば。 秋口の頃だったか、俺の勤めている会社の社長の菩提寺が建物の一部を修復するとかで、俺も含めて若い社員が5、6人と、監督役の係長が一人、荷物の運搬を手伝いに行か…

マリエ

うちの近所にまことしやかに囁かれている「マリエ」というお話です。 オッチャンは焦っていた。今日も仕事の接待で深夜になってしまった。いつものT字路を曲がるとそこには古びた神社があっ…

手(フリー写真)

死者の夢

俺の友人Aは、小さい頃から長い休みになると毎回父方の田舎に一人で帰省していた。 Aが中学2年生の時、数日前から体調を崩して寝込んでいた爺ちゃんが、Aと叔母さん(A父の姉)にこん…