サ○○

田舎の風景(フリー素材)

20年程前の実話です。

私の実家のある山間の小さな村で起きた、少し気味の悪い出来事。

実家の近くの山中に○○○○苑という精神薄弱者の施設があるのですが、そこの生徒が偶に脱走するんです。

初めは先生がその辺りを探します。

探しても見つからない場合は、地元の人と消防団が山狩りを決行。

そんな大事は2年に一度くらいで、割とすぐに見つかりました。

20年前の春の事。一人の女生徒が脱走して行方不明に。

かなり大掛かりな山狩りが行われたにも関わらず、女生徒は一向に見つかりませんでした。

ところが半年後、その女生徒は山中の林道で遺体となって発見されました。死後2日程だったと思います。

そこで不思議なのは『半年の間、その女生徒は何処に居たのか?』という事です。

それと、発見された時の服装が行方不明時の物と明らかに違っていた事。

行方不明時には上下のトレーナー(施設の制服)だったのに、発見された時にはブラウスにモンペ、エプロンだったそうです。

『どこかで働かされていたのでは?』との疑問も出ましたが、20年前当時、その辺りには工事現場や作業所などは全く無かったのです。

第一、女生徒が発見された道から奥は、集落はおろか小屋一軒も無い山の中(道もその先、数百メートルで無くなります)。

女生徒の遺体を解剖したところ、胃の中には肉類など食事をしていた形跡があり、体型も以前と全く変化が無い。

彼女はこの半年間、確実に『生活』をしていたと思われました。

ちなみに死因は、心臓麻痺か凍死だったと…(すみません。当時10歳くらいだったので覚えていないです)。

その時、大人達の間では『サ○○があるのでは?』と噂になっていました。

その後、警察も引っ込んでしまったこともあり、サ○○説が有力に。

20年前との事もあり、その出来事は私の妄想かなあと思っていました。

でもお盆に里帰りした時、その話題を母にしたところ、

「そーゆーこともあったねぇ」

と言っていたので、本当のことだったんだなあと納得しました。

補足

私が記したサ○○は、サ○カ+サ○チを合わせたようなものとお考え下さい(当時、大人達がそのように言っていたと記憶しています)。

サ○○についての考察

「サ○チ」というのは恐らく「避け地」かな。

別次元の集落かそこへの入り口というのが妥当か。

マヨイガみたいなもの。地元ではそれを「サ○○」と呼んでいるとか。

伏字にする理由が判らないけど、特定防止かな?

関連記事

異界への扉

建築法だか何だかで、5階以上の建物にはエレベーターを設置しないといかんらしい。 だから俺が前住んでいた高速沿いのマンションにも、当然ながらエレベーターが一つあった。 6階に…

ごうち(長編)

ある新興住宅地で起こった出来事です。 そこはバブル期初期に計画が出来、既存の鉄道路線に新駅を作り広大な農地を住宅地へと作り変えて、駅の近辺には高層マンションやショッピングモールな…

集落(フリー写真)

神隠しの真実

曾ばあちゃんは、中部地方の山の中の集落の出らしい。 子供の頃に両親が亡くなり、兄は奉公に出て、幼かった婆ちゃんは庄屋の家に引き取られた。 婆ちゃんは二歳年上の庄屋のお嬢さん…

無限ループするトンネルと祭り

休日の夕方に友人連れ3人で、温泉宿に向かう山道を車で走っていた。 車の持主が運転、もう一人は後部座席、俺が地図を見ていた。 地図上では一本道で、トンネルを3つ通らないといけ…

歪みが発生している場所

確か小学2年の頃の話。 クラスで仲の良い友人が、 「すごい場所があるんだよ!今日行こうぜ!」 と言うので付いて行った。 そいつは普段から「宇宙人を見た」などと言…

水溜り(フリー素材)

かえるのうた

ある年末の事です。会社の先輩からこんな誘いを受けました。 「年末年始は実家に帰るんだけど、良かったらうちで一緒に年越ししない? おもしろい行事があるのよ。一回見せてあげたいなあと…

養鶏場(フリー素材)

ヒギョウさま

今はもう廃業していますが、私の母方の実家は島根で養鶏場をしていました。 毎年夏休みになると、母親と姉、弟、私の4人で帰省していました。父は仕事が休めず、毎年家に残っていました。 …

裏山

危険な好奇心(中編)

山を降り、俺達は駅前の交番へ急いだ。 『このカメラに納められた写真を見せれば、五寸釘の女は捕まる。俺達は助かる』 その一心だけで走った。 途中でカメラ屋に寄り現像を依…

宇宙は数字でできている(長編)

不思議な体験をした。 簡単に説明すれば、幽体離脱をして宇宙を覗いたら、螺旋状に永遠に伸びる、うねうねとした膨大なカラフルな数字から成る道を高速スピードで飛んでいた。 あまり…

白い空間

誰もいない世界

私は2年前まで看護師をしていました。 今は派遣事務の仕事に就いていますが、我ながらよくあの殺人的なシフトをこなしていたなと感心します。17、8時間の拘束は当たり前の世界ですから。…