天候を操る力

雨(フリー素材)

小学生の頃だったか。

梅雨の時期のある日、親友の友人という微妙な関係の子の家に遊びに行った。その親友と一緒に。

そこで三人でゲームなどをして遊んでいたら、あっという間に帰る時間になった。

しかし運悪く外は雨。二人とも傘は持っていないし、雨は止みそうにない。

仕方がないから濡れて帰るかと親友と話し合っていると、

「ちょっと待ってて」

と親友の友人が言った。

何をするのかと思い、親友と二人でじっとそいつを見つめてると…。

そいつは目を閉じて、指鳴りをする形で手を自分の顔の前に持って行った。

2、3秒の間だったかそのまま静止した後、

「パキン!」

と指を弾いて、とても澄んだ音を鳴らした。

何やってんだこいつと思いながらふと外を見ると、何と雨が止んでいた。

呆気に取られた自分達に、そいつは

「ごめん。まだ10分くらいしか持たないんだ。早く帰った方がいいよ」

と照れながら言った。

呆然としながら親友と別れ帰宅した直後、また雨は降り始めた。

今でもそいつとは縁が続いているし仲も良いのだが、この話をすると縁が切れてしまいそうなので、話題に出すことはなるべく避けている。

不思議な体験は沢山ある方だが、覚えている限りこの記憶が一番古い。

関連記事

バンザイ

何年か前、仕事の関係でマレー方面へ行った時の話だ。 その日、仕事も一段落したので近くにある大きな公園で一休みをしていた。 公園と言っても遊具は無く、ただ異常に広い原っぱが広…

田舎の夜(フリー写真)

田舎の不思議な行事

これは今から約15年前、南伊豆の小さな村で私が実際に体験した、怖いと言うより少し不思議な話です。 小学3年生の夏。私たち家族(父・母・私)は、お盆休みを伊豆のK村という場所で過…

エスカレーターの中の母娘

とあるヨーロッパの国に留学してた時の話を。 まあ言葉もままならない頃、よく日本人の友達を家に呼んで飲んでたんだが。俺の家は屋根裏で、大き目の丸窓から地下鉄の出口が見える。 …

イケモ様

昔ばあちゃんの家に預けられてた時、後ろの大きな山にイモケ様って神様を祭る祠があった。 ばあちゃんの家の周りには遊ぶ所も無く、行く所も無かったから、その祠の近くにある池でよくじいち…

木造校舎

青い手首

ネタではありません。実際の体験談です。 世田谷区立某小学校での出来事。 ※ 入学して1年間は、戦前からある古い木造校舎で過ごしました。 2年生になった頃に木造校舎の建て…

ねぇ、どこ?

ある夜、ふと気配を感じて目が覚めた。天井近くに、白くぼんやり光るものが浮かんでいた。目を凝らして見てみると、白い顔をした女の頭だけが浮いていた。 驚いて体を起こそうとするが動かな…

田舎の風景(フリー写真)

掌を当てる儀式

この間、ずっと忘れていた事を思い出しました。 前後関係は全く判らないのですけど、子供の頃に住んでいた小さな町での記憶です。 他の五人くらいの子供と、どこかの家の壁にぎゅーっ…

山道

迷子の標識

9年前の12月23日、東京から沼津までバイクで旅に出た。 夜の帰り道、1号線から熱海方面に適当に折れようとした。深夜の2時頃、前を走るブルーバードが曲がった南方向に私もついてい…

四国のホテル

怖くないかもしれないけど、俺が昔体験した話。 子供の頃、四国に家族旅行へ行った時、泊まっていたホテルで黒い着物姿の女に手招きされる夢を見た。 夢の中で、俺はふらふらと抵抗す…

死臭

人間って、死が近づくと死臭がするよね。 介護の仕事をしていた時、亡くなるお年寄りは3、4日前から死臭を漂わせてた。 それも、その人の部屋の外まで臭うような、かなりハッキリした臭い…