飛び降り

公開日: 心霊体験 | 怖い話

_1

大学時代の経験を一つ。

神奈川の、敷地だけは広い某大学でのこと。

講義を受けている時に、遠方の校舎の屋上から飛び降りる男を見た。

俺は窓からその光景を見ていたので、驚いて立ち上がったんだけど、声を上げようとしておかしなことに気づいた。

男が落ちた場所に死体が無い。

おかしいなと思ってもう一度屋上を見ると、また同じ男が屋上からダイブしていた。

だが地面に墜落する寸前に消えた。そして、また屋上から飛び降りる。

あとはもうエンドレスだった。

飛び降りては消え、飛び降りては消え、動画をループ再生してるみたいに延々それの繰り返し。

俺は「よく死者は死んだ時の状況を繰り返す」という話を思い出して、その男がこの世のものではないと悟った。

毎日毎日、朝も昼も夕方も、延々その自殺風景はループしていた。

さすがに何度も見てると慣れてしまうもので、俺は段々気にしなくなっていった。

もはや、その自殺風景が日常になってしまったんだ。

でも、ある日俺が食堂に向かうために友人と外を歩いてると、ふと真上から震えたような声がした。

「誰か止めて」

びっくりして上を見上げると、頭上数メートルくらいのところに、飛び降りてきた男の顔があったんだ。

一瞬で思い出したよ。俺が立っている場所が、男が墜落した場所だってこと。

気付いた時には遅かった。左肩に凄まじい衝撃を感じて、俺は気を失った。

起きた時には病院のベットで寝てた。幸い肩の脱臼と肘を骨折した程度で済んだ。

友人に聞いたところ、何もないのにいきなり俺が肩を沈ませて倒れたらしい。

頭から垂直に落ちてくる男の引き攣った半笑いみたいな顔と、肩に感じた髪の毛が擦れるような感触と衝撃を今でも覚えている。

去年、サークルの飲み会で久々に大学に行ったんだけど、男はまだ飛び降りを繰り返していたよ。

それ以来、自殺だけは絶対にしないと誓った。

病院の老婆

一年程前の話です。当時、私はとある病院で働いていました。 と言っても看護師ではなく、社会福祉士の資格を持っているので、リハビリ科の方でアセスメントやケアプランを作ったり、サービス…

浜辺(フリー写真)

小人の石

小学生の頃、俺の家族は青森の海沿いの田舎に住んでいた。 俺は幼い頃からよく浜で遊んでいたのだが、年末の1週間は夕方に浜で遊ぶのは禁止されていた。 だが小学3年生の大晦日、…

33年間

1783年(天明3年)、浅間山は大噴火した。 噴煙は、上空1万メートルにまで達し、その時に流れ出た溶岩流は、付近の村々をあっというまに覆い尽くし、約1200人もの命が失われた。 …

霊柩車

Kさんという若い女性が、両親そしておばあちゃんと一緒に住んでいました。 おばあちゃんは元々とても気だての良い人だったらしいのですが、数年前から寝たきりになり段々偏屈になってしまい…

ビジネスホテルの窓(フリー写真)

ビジネスホテルでの心霊体験

学生の頃、都内の某ビジネスホテルで警備のアルバイトをしていた。 従業員が仮眠を取る深夜0時から朝の5時まで、簡単なフロント業務と見回り。 あと門限過ぎに戻って来る泊り客に、…

イーッパイおばさん

うちのコンビニに週3回、毎朝5時過ぎにやってくる初老のおばさんがいる。 週3回全て俺が入ってる日、決まって俺が店内で一人で作業している時に来る。 雨の日でもズブ濡れになりな…

工場(フリー写真)

お婆さんと地蔵堂

茨城県の常磐自動車道の、とあるインターチェンジを降りてすぐの工業団地にあった工場での話。 その工場は夜勤者の交代が夜中の2時で行われていて、2時で交代して帰る途中の派遣社員が、…

髪寄りの法

祖父が子供の頃に体験した話。 祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。村の住人の殆どが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。 そんな村にも地主が存在しており…

てめぇじゃねぇ!

ある夜のことでした。 会社員のAさんは残業で遅くなったのでタクシーを拾いました。 タクシーの中では、運転手さんと色々な話で盛り上がっていました。 そして、タクシーは山…

アリス(フリーイラスト)

アリス症候群の恐怖

自分は小さい頃から「不思議の国のアリス症候群」の症状があった。 時々遠近感が曖昧になったり、周りの物が大きくなったり小さくなったりする感覚に陥る。 大抵の場合、じっとしてい…