イタコ

公開日: 怖い話 | 本当にあった怖い話

wallpaper300_640_1136

以前、北東北の寒村に行った際にお寺のご住職夫人から聞いた話。

恐山のような知名度はないんだけど、彼の地にも古くから土着のイタコがいたの。

今も出稼ぎがある地だから推して知るべしなんだけど、一時代前は栄養事情や保健衛生の悪さから盲になる子どもたちがいて、その子らの中から、素養を持った女子が生きる糧としてイタコの道を選んだらしい。

観光化されているわけじゃないから、彼女らが霊媒を行うのは山の中に拓かれた小さな霊場で、年に数日の大祭の時のみ。

地場の人には、歳事として深く根付いていたらしい。

今から十数年前、宜保愛子ブーム後期の頃かな、そのイタコがどこからか注目されて、外地から出張霊媒を行って欲しいという話が持ち込まれた。

言葉巧みなプロモーターにのせられたのか、何人ものイタコがそれを引き受けて、ゆかりのない土地で大祭でもないのに霊媒を行ってしまった…。

それが禁行であったことがわかるのは、その後のこと。

出張をおこなったイタコは、次々と病に臥して亡くなってしまう。ご住職夫人によれば「不思議なくらい、出張した人はみな」だったそう。

結局残ったイタコは、出張の騒ぎを静観していたかなりの高齢者、数人のみ。新たな成り手も得難くて、衰退の一途をたどっている…。

関連記事

相乗り

僕が小学の低学年の時に、親におつかいを頼まれました。 おつかいを済ませて、オートロック式の自宅マンションの暗証番号を押し扉を開けて、エレベーターホールに向かい、エレベーターが降り…

自動販売機

赤いランドセルの少女

私の大学は結構な田舎でして、羽根を伸ばす場所がこれと言ってありません。 そういう事情に加え、学生の多くが車を所有していることもあり、必然と連れ立ってドライブに行くことが遊びの一つ…

手(フリー写真)

死者の夢

俺の友人Aは、小さい頃から長い休みになると毎回父方の田舎に一人で帰省していた。 Aが中学2年生の時、数日前から体調を崩して寝込んでいた爺ちゃんが、Aと叔母さん(A父の姉)にこん…

繰り返す家族

小三のある男の子が体験した話だ。 男の子はその日、学校が終わって一旦帰宅してから、仲の良い友達と一緒に近くの公園で遊ぶことにした。 夕方になるまでかくれんぼをしていたら、珍…

教室(フリー写真)

余るプリント

この間久しぶりに会った、20年来の幼馴染から聞いた話。 幼馴染(A男)は、ある女子高で英語の教師を勤めていた。 Aはいつも英語を教えるクラスの生徒に配るプリントを校内のコ…

暗い夜道(フリー写真)

ヤモリ女

あれは大晦日のことでした。 深夜、煙草を買いに行こうと少し離れた場所にあるコンビニへ出向きました。 私の住んでいる所ははっきり言って田舎なのですが、昔は街道筋だったので、狭…

少女

喋れない幼馴染

少し長くなりますが、実体験を書き込みます。 俺がまだ小学生の頃、家の隣に幼馴染A子がいた。A子は喋ることができなかった。 生まれつき声帯が悪かったらしい……。更に、ここでは…

ユーカリの木(フリー写真)

当世話

俺の実家のある地区では『当世話(とうぜわ)』と呼ばれるシステムがあり、それに当たった家は一年間、地区の管理を任される。 今年はその当世話がうちで、祭事に使う御社の掃除を夏に一度し…

もう一つの顔

学生時代の友人のM美の話をしようと思う。 その日、私はM美が一人暮らしをしているアパートへ遊びに行った。 私は絨毯に横になりながら、M美はベッドに腰掛けてのんびりくつろいで…

三号室の住民

その店はある地方都市の風俗街の中にあったので、出勤前の風俗嬢や風俗店の従業員の客が多かった。 かなり人気のある店だったが、その理由は「出前」にあった。 店の辺りには風俗店の…