喋れない幼馴染

公開日: ほんのり怖い話 | 怖い話

少女

少し長くなりますが、実体験を書き込みます。

俺がまだ小学生の頃、家の隣に幼馴染A子がいた。A子は喋ることができなかった。

生まれつき声帯が悪かったらしい……。更に、ここでは細かく説明はしないけど、肺にも大きな欠陥があり、運動はもちろん普段の生活にも支障があった。

学校はA子やA子の母親の希望もあって普通の、俺と同じ小学校に行ったのだが、そこではお約束のいじめが待ち受けていた。

相手にしてみれば、仕返しもなければ本人の口から拒絶もされないから、やりやすかったのかもしれない。

俺はいじめから庇ったり、A子のフォローをしていた。……というか、俺とA子の母親に頼まれていた。

おかげで変人呼ばわりされるわ、A子と付き合っているとからかわれたりしたよ。

A子とは外で遊べない代わりに、TVゲームやトランプで遊んでいた。

その頃から「違和感」を感じていた。明らかに二人しかいないはずの部屋で誰かが居る気がした。

A子の母親もジュースを2つではなく間違えて3つ持って来たり……。

他にも、例えばゲームの桃鉄で遊ぶ時など、暗黙の了解で俺とA子、そしてCPUの3人でやっていた。

だけどそのCPUが妙に人間くさい動きをしていた。例えば最弱のCPUでも妙に強い上、普通使わないカードを使ったり(桃鉄を知らない人は解らないよね、ごめん)。

小さい時は意識していなかったし、中学生ぐらいになっても偶然と思っていた。

だけど夏休みにA子の家に泊まった時、明らかにおかしなことが起きた。

その時、A子と一つの布団で寝ていたのだけど……。

夜中に目が覚めた時、俺とA子の間に誰かが居る気配がした。寝ぼけていたのであまりよく見ようとしなかったけど。

そして、朝になって異変に気が付いた。一緒に寝た布団は……俺とA子でちょうどのサイズ。

間に誰かは入れない。

その時以来、いくら誘われても俺はA子の部屋に泊まることはなかった……チキンな俺。

色々なチャンスを無駄にした事は気にしない。ついでに言うとその時も何もしてないぞ。

厨二病が発症していた俺は「A子の病気はこの違和感のせいだ」とか「実はA子は星巫女の生まれ変わりで悪霊が狙っている」……とか言って後の黒歴史を生み出していた。

さて、高校に入る時には、A子は自宅に篭もるようになった。

と言ってもニートという訳ではなく、学校に行くだけの体調すら保てなかったのだけど。

そこで俺はパソコンのチャットやらメッセンジャーやらを教えた。

さすがにA子には刺激が強すぎる 2chを教えはしなかったが。

そうすれば喋ることのできないA子でも話ができたり、話し友達ができると思ったんだ。

それは大成功で、A子はかなり楽しんでいた。

もっとも、俺は異性としてA子を意識し始めていたため、ぎこちなくはなっていた。

せいぜい、メッセンジャーやチャットで話す程度だ。

特にメッセンジャーは便利で、シェイク機能(相手がシェイクボタンを押すとこちらのウィンドウを揺らしてチャイムが鳴る)は俺を呼ぶ合図でもあった。

そんなA子も、大学に上がる前に逝ってしまった。

風邪に伴う肺の病気の悪化とのこと。

俺はそれが信じられなくて、実際にベッドの上に居るA子を見ても、葬式へ行っても現実とは思えなかった。

いつものように高校から帰った俺と、馬鹿みたいな話ができるんじゃないかと思っていた。

このままじゃいけないと思い、俺は気持ちにケリをつけるため、久しぶりにA子の部屋に行った。

そこにあったのは、綺麗な部屋に俺のバイト代で買ってあげたPCと例の違和感。

A子は居ないはずなのに、誰かが居る感覚。

何かがおかしい……何気なく、本当に何気なくA子の机の引き出しを開けた。

そこにあったのは日記。多少の罪悪感を感じながらも読んで行き……俺は絶句した。

『今日も私と俺君とBちゃんと3人で遊んだ』

……俺はBちゃんなんて知らない。

『俺君はいつも夕方には帰っちゃう。C君はいつも遅くまであそんでくれる』

……A子の母親は夕方には友達を帰す。遅くまで居るはずがない。

『明日は俺君が家に泊まる日!Bちゃんも泊っていくのかな?』

あの時のことも書いてあった。

他にも架空と思われる名前の「友達」が何人もいた。俺は怖くなった。

違和感を作り出していたのは……A子なのか?

俺が見えていなかったのか。A子にしか見えなかったのか。

ただ、以前A子の母親はジュースを3つ持って来た……。

途中で気分が悪くなったので帰ることにした。帰る途中、歩いて十数秒の距離だが、突然頭痛も起きた。

俺の母親は「疲れているようだから寝なさい」と言い、強制的に寝かされた。

当然眠れる訳もなく……PCを半ば習慣的に起動した後に、ぼーっと考え事をしていた。

すると、突然メッセンジャーの書き込み音が。

書き込み相手は……A子。ありえない。

内容も見ずに俺はA子の家にダッシュした。

この間にも頭痛は酷くなるばかりだ。

Aの母親に伝えようにも上手く伝えられなかった俺は、咄嗟に「忘れ物をした」ということで部屋に入れてもらった。

……部屋は真っ暗。PCも動いていない。

A子の母親にお礼を言って、俺は自分の家に戻った。

そこでようやく内容を見ていない事を思い出し、それを見ようとパソコンの前に行こうとして……その間もまるで警告するかのように頭痛が酷くなる。

それでも、俺は見ることをやめようとはしなかった。

そこに書いてあったのは、意味のない文字の羅列。

それが何度も送られてきている。そして最後に……、

『一緒に行こうよ』

そこまで読んで頭痛が最高潮になった。それにアレが来ている。いつも感じていた違和感が…不意に。

その時、シェイクが起きた。

何度も、何度も、何度も……。俺はまずいと思って部屋から逃げようとした。

しかし、あまりの頭痛に体すら思うように動かず、そこで俺の意識は無くなった。

翌日気が付いた俺がパソコンを見ると、メッセージが消えていた。

勇気を出してA子の家に行ってみたが……日記が無くなっていた。

A子の母親にも聞いたが、知らないと言う。

……以上が、俺の体験した話です。

メッセージを送ったのがA子なのかBちゃんなのかC君なのか。

そもそも違和感の正体は何なのか。

A子の真意は……。

俺には分かりません。今思い出しても怖いです。

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