鬼の面

公開日: 怖い話

婚約指輪(フリー写真)

私には15歳年の離れた兄が居ます。

私が10歳の年に、兄(当時25歳)がお見合いをしました。

ある程度話がまとまり、お嫁さんになるはずの方が家へ挨拶に来ました。

玄関で迎えた時には、綺麗なお姉さんだなという印象だったのですが…。

応接間で話をするうちに、少しずつ『鬼の面』のような表情に変って行ったのを覚えています。

その後、お姉さんは1、2週間に一度家へ遊びに来るようになりました。

しかし家に居る時間の長さに比例して、鬼の面のような表情が強くなって行くのです。

半年程経ったある日、応接間で談笑していたお姉さんは、鬼の面そのものの顔で中空を見つめながら、

「いつもいつもあんたのせいで嫌な思いをさせられる。もういい加減どこか行ってよ」

と大声で言った後、昏倒してしまいました。

救急車を呼んで病院に運び、少し落ち着いたお姉さんと家の両親が話をしていたのですが、お姉さんは

「家へ入る度に『般若の面』みたいなものが纏わり付いて来て堪らなかった」

と話していました。

程なくして、お姉さんの両親から縁談についてお断りの連絡が入りました。

それから20年。

兄は女性と付き合いはするのですが、結婚話がちらつくようになると霊的(そう勝手に決め付けていますが)な邪魔が入り、未だに結婚出来ていません。

関連記事

人形の夢

前月に学校を辞めたゼミの先輩が残して行った荷物がある、という話は久保から聞いた。 殆ど使われていない埃っぽい実験準備室の隅っこに置かれた更衣ロッカーの中。 汚れたつなぎや新…

一家が失踪した神隠し事件

平成14年9月7日、広島県世羅町京丸の「京丸ダム」の湖底に車が転落しているのを通行人が発見し、警察に通報した。 車内からは四人の遺体が見つかり、遺体は昨年6月4日から一家4人で行…

霊柩車

Kさんという若い女性が、両親そしておばあちゃんと一緒に住んでいました。 おばあちゃんは元々とても気だての良い人だったらしいのですが、数年前から寝たきりになり段々偏屈になってしまい…

カフェ(フリー写真)

死相の本

『死相の本』というものをご存知ですか? 自分は一度、見たことがあります。 広辞苑ぐらいの厚さで、果てしなく色々な方の生前の顔と死後の顔が並んでいるだけの本。 右ペー…

お屋敷(フリー写真)

お屋敷の物品回収

古い物を家主の居なくなった家から回収し、業者に売りに出す仕事をしています。 一般の人から依頼があって回収する事もあるし、解体業者からお呼びが掛かって現場へ出向く事もあります。 …

平和祈念像(フリー写真)

戦時中に子供が描いた絵

幼い頃、親の都合でドイツに移住した経験があります。 自然な流れで特別支援学級に入り、徐々にドイツ語を身に付けていきました。 同じクラスには、同様の環境にいたアラブ系の子が…

暗い部屋(フリー写真)

姉の霊

それは私がまだ中学生の時でした。 当時美術部だった私は、写生会に行った時に、顧問の若い女の先生と話をしていました。 その頃は霊が見えなかった私は、他人の心霊体験に興味津々で…

田舎の風景(フリー写真)

犬の幽霊

あれは小学6年生の頃、夏の盛りだった。 僕は母方の田舎に一人で泊まりに来ていた。 田舎のため夜はすることがなく、晩飯を食った後はとっとと寝るのが日課になっていた。 ※ …

深夜のコンビニ

この話は、ある男がコンビニで深夜のアルバイトをしていた頃に起きた体験談である。 そのコンビニは、深夜になるとほとんど客が来なくなる。 俺は共にバイトをしていた大学の先輩と、…

アパート(フリー写真)

出前のバイト

大学生の頃に体験した話。 俺は下宿近くにある定食屋で出前のアルバイトをしていた。 本業の片手間の出前サービスという感じで、電話応対や梱包、配達まで調理以外のをほぼ全てを俺…