押入れの向こうの商店街
杉並区の古いアパートに引越した私は、押入れの奥に隠れた引き戸を見つけた。開けると昭和40年代の商店街が広がっていた。昭和42年の新聞の日付、駄菓子屋のおばさんの…
杉並区の古いアパートに引越した私は、押入れの奥に隠れた引き戸を見つけた。開けると昭和40年代の商店街が広がっていた。昭和42年の新聞の日付、駄菓子屋のおばさんの…
仕事帰りに立ち寄った山陰の温泉街。地図アプリが固まったまま迷い込んだ柳の路地の奥に、橘屋という古い旅館の提灯が揺れていた。翌朝目覚めると、私は車の中にいた。…
出張帰りに無人駅で押した駅スタンプには、なぜか四年半先、十二年先、二十年先の日付が刻まれていた。古びた台帳と紺色の作業着の老人が示した、数十年前から続く決まりと…
中古車に残されていたドライブレコーダーを再生してみた。録音されているのは、運転手のいない映像と、助手席だけから聞こえる女の声だった。…
残業帰り、いつものコンビニで買い物をして外に出たら、見知らぬ街になっていた。ドアは開かず、車も人もなく、細部がどこかちがう街を歩いた夜の話。…
閉店後の大型ショッピングモールで清掃パートをしていた私は、ある夜、三階の廊下で見知らぬ店舗と、あるはずのない窓と、白昼の景色を見た。同僚には十五分行方不明だった…
卒業旅行中に山中の霧で道に迷い、夏祭りの集落に迷い込んだ。誰も汗をかかず、全員が同じ笑顔。気がつくと十二日間の記憶が丸ごと消えていた。…
残業帰りの終電でうとうとした私が降りたのは、地図に存在しない駅だった。ホームには私以外に三人。全員が同じ方向を向いて立っていた。…
深夜の配送中、見覚えのない分岐に入った長距離トラック運転手。辿り着いた谷間の集落では時計が止まり、星のない空が広がっていた。県道に戻ると六時間が消えていた。…
帰省中に見つけた見知らぬ駅。そこでは誰もが同じ時刻にいた。…
雷雨の夜、フリーランス翻訳者の部屋に現れた青白い光。それは宇宙の記録庫への扉だった。アクァッホと名乗る情報生命体から語られる、太陽系の設計、火星文明の興亡、四つ…
帰省中の地方私鉄で居眠りをした俺が降り立った、地図にも時刻表にも載っていない駅の話…
出張からの帰路、深夜のタクシーで見知らぬ昭和の商店街に迷い込んだ。気づくと1時間半の時間が消えていて、謎のおっさんに『戻ったら来るな』と言われた……不思議な異世…
帰省した実家の裏山に踏み込んだら、地図にない古い集落と神社があった。廃村のはずなのに、洗濯物が干してあり、煙の匂いがした。拝殿の前に立つ何かを見た俺は、石段を上…
出張帰りに終電を逃した深夜の無人駅。待合室で出会った中年男性は、ありえないことを知っていた——時空のおっさんシリーズ最新話。…
帰省の夜行バスで目を覚ましたら、見知らぬバスターミナルにいた。誰もいない深夜の乗り場に、作業服の男が一人だけいた。「ここは少し早く着いてる」と男は言った。…
深夜に外の音が気になって非常階段に出たら、下に降りても降りても出口が見つからなかった。そこに現れた作業服の男が「ここは少し余分に続いてる」と言った。…
終電前の地下通路を歩いていたら、いつの間にか同じ場所をぐるぐると歩き続けていた。そこに現れた作業服の男が言った。「ここは少し、ずれてるんだよ」…
出張先で迷い込んだ地図に存在しない横丁。古い商店が並ぶ路地で、音のない人々に混じってラーメンを食べた。翌朝、その場所は二十年前に更地になっていたと聞かされる。…
深夜の山道を走るトラック運転手が、霧の中で見つけた古いドライブイン。店を出ると一時間以上の時間が消えていた。翌月同じ場所を訪れると、そこには建物の跡さえなかった…