沈んだ村の渡し場
六年前の秋、記録的な渇水でダム湖の水位が二十メートル下がり、沈んだ村の旧道と渡し場の三十七段の石段が湖底から現れました。渇いた年を彫り継ぐ石の標柱、欄干に固結び…
六年前の秋、記録的な渇水でダム湖の水位が二十メートル下がり、沈んだ村の旧道と渡し場の三十七段の石段が湖底から現れました。渇いた年を彫り継ぐ石の標柱、欄干に固結び…
平成のはじめ、消えゆく山あいの集落で子守唄を集めていた学芸員が、霧降りの森の奥で出会った怖い話。還された子らの泣き声が霧のなかから人を招き、帰り道を惑わせる。土…
四十年戸籍を扱った私のもとへ、消えた集落『音無』から毎春、消印も住所もない出生届が届いた。百年以上前と同じ赤子の名、震える筆跡。誰が出すのか確かめに山奥へ分け入…
五年前の八月末、山梨の廃集落跡を一人で歩いていた私は、逆向きに立つ鳥居と低い石扉を見つけた。扉の奥から人声のような音が流れ、気づけば三時間四十五分が過ぎていた。…
三十年前の秋、出張先で車が止まり、夕暮れの農道を歩いていた。段々畑の人影は片足で腰をくねらせ、顔のないまま近づいてくる。老人が語った田の番の言い伝えと、三年後に…
長距離トラック運転手が深夜の峠でエンジントラブルに見舞われた夜、山の斜面に灯りを見つけた。暦は昭和三十八年を示し、老婆は「夜明け前に出ないと外には戻れない」と言…
お盆のソロツーリング二日目、熊本と宮崎の境の林道で俺はバイクを壊した。三時間歩いても神社に戻れず、辿り着いたのは五、六戸の峠の廃村。玄関にもたれて眠った夜、磨り…
怖い話。十年前に世話になった山あいの民宿を訪ねて車を走らせると、道標は「巨頭オ」という奇妙な文字に変わり、村は廃墟と化していました。巨大な頭を揺らす異形の群れに…
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