灯籠と火の玉

浮世絵のフリー素材

じいちゃんから聞いた話。

真夏の夕方、お使いの帰り道。お寺の片隅に人だかりが出来ているのを見つけた。

気になったじいちゃんは、人だかりが出来ている場所に行った。

人だかりが邪魔で何が起こっているのか判らないが、パァーンと乾いた音が何度も聞こえる。

じいちゃんはますます気になり、人だかりを掻き分けて一番前に行った。

そこには横倒しになった灯篭があった。

その灯篭の上に、大きな火の玉がユラユラ揺れている。

火の玉はユラユラ揺れながら、灯篭の先まで来ると一気に急降下した。

火の玉が灯篭の先にぶつかると、パァーンと乾いた音がした。

そして、またユラユラと舞い上がって行く。

大きな火の玉は、何度も同じ調子で灯篭の先にぶつかっていた。

灯篭の先には、既に大きなヒビが出来ている。

和尚さんは困った顔をしたまま立っていた。野次馬も檀家さんもオロオロするばかり。

じいちゃんは隣に居た野次馬のおじさんに尋ねた。

「あの火の玉、どうしたの?」

「うーん、火の玉の考えることなんて解らんよ」

野次馬のおじさんはため息混じりに答えた。

じいちゃんはお使いがあったので、早々にその場を退散した。だからその後、どうなったのかは判らない。

ただ今でも、そのお寺には大きなヒビの入った灯篭が一基、建っている。

関連記事

逃げられると思ったのか

勉強もできず、人とのコミュニケーションも下手。 こんな僕は、誰にも必要とされていないんだろう。 家では父のサンドバッグ。暴力はエスカレートして行く。 とても悲しかった…

昔の電話機(フリー画像)

申し申し

家は昔、質屋だった。と言ってもじいちゃんが17歳の頃までだから私は話でしか知らないのだけど、結構面白い話を聞けた。 田舎なのもあるけど、じいちゃんが小学生の頃は幽霊はもちろん神様…

前世を詳細に語る幼児

「前世」というものの概念すらないであろう幼い子が、突然それを語り始めて親を驚かせたという話が稀にある。 米国では今、オハイオ州の幼い男の子が自分の前世を語り、それが1993年に起…

未来から来た男

俺が小学校低学年の時、25年くらい前かな。 当時住んでたとこの近くに公園があった。 ある日、友達と遊んでて帰りが遅くなったとき、公園のところを通ったとき、20歳くらいの人に…

登山(フリー写真)

伸びた手

8年前の夏、北陸方面の岩峰に登った時の話。 本格登山ではなくロープウエーを使った軟弱登山だった。 本当は麓から登りたかったのだが、休みの関係でどうしようも無かった。 …

携帯電話(フリー素材)

携帯にまつわる話

俺の携帯の番号は「080-xxxx-xxxx」という『080』から始まる番号です。 でも、機種変してすぐは「090-xxxx-xxxx」だと思っていて、彼女にもその『090』から…

入れ替わった友人

怖くないけど、不思議な小ネタ。若しくは俺が病気なだけ。 俺は今仕事の都合で台湾に住んでる。宿代もかからず日本からも近いから、たまに友達が台湾に遊びに来る。そういう時の話。 …

満月(フリー写真)

姉の夢遊病

大叔母はその昔、夢遊病だったらしい。 もしくは狐憑きなのかも知れないが、取り敢えず夢遊病ということにして話を進める。 目が覚めると何故か川原に立っていたり、山の中にいたりと…

新聞受けから…

これは俺が2年前の6月14日に体験した本当の話です。俺が前住んでたアパートでの出来事。 その日、俺はバイトで疲れて熟睡していた。 「ガタガタッ」という異様な音で俺が目を覚ま…

ざわつき声の正体

高校を卒業し、進学して一人暮らしを始めたばかりの頃の話。 ある夜、部屋でゲームをしていると、下の方から大勢の人がざわざわと騒ぐような声が聞こえてきた。 俺は『下の階の人のと…