画鋲

img_5037

幼稚園の頃に画鋲を飲まされそうになった経験があります。

当時、私のいた幼稚園のサクラ組では「嘘はつかない」という簡単な法律があり、毎朝のHRでは「うーそついたら、針千本のーます♪」って歌っていました。

そんなある日、教育番組「ノッポさんのできるかな?」を見ながら、牛乳パックで動物を作る授業をすることが決まりました。

私はその手の授業が好きだったので、とても楽しみにしておりました。

保母「皆さーん、明日は牛乳パックを使って動物さんを作りますー。忘れずにお家から牛乳パックを持ってきてくださいねー」

一同「はーい」

うきうきと帰宅し母にその話をすると、「牛乳パックは開けたばかりだから駄目、丁度豆乳のパックが開いたからコレにしなさい、同じものだから大丈夫」とのこと。

次の日、私はそれを持って幼稚園に行きました。

そして授業が始まったのですが、よくよく考えれば豆乳のパックは形状も紙の厚さも牛乳パックとは違います。

テレビのノッポさんも豆乳パックでのキリンや象の作り方は教えてくれません。

困ってる俺を見た保母は、「A君!これ牛乳のパックじゃないでしょ!昨日皆で約束したのになんで違うものを持ってくるんですか!」と私を叱りました。

私が答えられずにいると、保母は不意に自分の机に行き、何かを持ってきました。

それは、画鋲のケースでした。

保母は薄笑いで私を睨み、皆に告げました。

「みなさーん、今日A君は嘘をつきましたー。牛乳パックを持ってくる約束をしたのに違う物を持ってきましたー。嘘をつくとどうなりますかー? 針千本ですねー?」

とんでもないことになりました…。

言葉も出ない私に、保母は画鋲のケースを突きつけ、「約束です。千個飲みなさい」

出来ない私。

「じゃあ千個はかわいそうだから、A君のために先生我慢しますー。百個でいいです」

泣き出す私。

保母はまだ許しません。無理矢理私に画鋲を一個持たせました。

私は画鋲を口に中に入れ、飲み込むフリをしておけばごまかせると考えました。

口に入れて奥歯で画鋲を噛んだまま、ごっくんのモーションをすれば、きっと保母さんは飲み込んだと思うはず。

これで切り抜けよう。そして、それを実行しました。

保母の冷血な態度は豹変し、びんたが飛んできました。

私は吹っ飛び、口の中から飛び出した画鋲と机の上の画鋲ケースが教室に散らばりました。

保母は少々焦っていましたが、すぐに冷血モードで私を睨みつけました。

画鋲を一個拾い私の鼻先に突き付け、「いい? コレは一個でも飲んだら死んじゃうお薬なの!死んじゃうのよ!!」

「皆さんもわかりましたね!嘘をついたらA君みたいになります。絶対に嘘は駄目なんです!!」

授業は中断、私は一人で床の画鋲を拾わされました。泣きながら。

周りの園児も楽しい工作の時間をつぶされ、冷ややかな態度で私を見ていました。

保母は私の拾い集めた画鋲を、どれが口に入ったか分からないからという理由で捨てました。

今になって考えると、あの保母はサドだと思う。私が口に入れた瞬間に我に返ったのかな。

余分な描写もあるかと思いますが勘弁。今でも私のトラウマです。

関連記事

トンじい

私の出身地は、古くから部落差別の残る地域でした。 当時、私は小学生でした。部落差別があると言っても、それは大人の世界での話で、幼い私には差別など解りませんでした。 子供同士…

学校(フリー背景素材)

お守りばばあ

俺が小学生だった頃、地元に有名な変人の婆さんが居た。渾名は『お守りばばあ』。 お守りばばあは、俺が通っていた小学校の正門前に、夕方頃になるといつも立っていた。 お守りばばあ…

ゆかりちゃん

ゆかりちゃんという女の子がいた。ゆかりちゃんは、お父さん、お母さんと3人で幸せに暮らしていた。 しかし、ゆかりちゃんが小学校5年生の時に、お父さんが事故で亡くなってしまった。 …

ハコマワシ(長編)

半年くらい前、怖い体験をした。心霊現象ではないが、かなり気持ち悪い体験だ。長くなると思うから適当に読み流してくれても構わない。 中学生だった頃、俺のクラスに霊感少女がいた。家が神…

女性

リゾートバイト(後編)

俺達は死んだように眠り、翌日、離塵さんの声で目を覚ました。 「皆さん、起きれますか?」 特別寝起きが悪い樹を、いつものように叩き起こし、俺達は離塵さんの前に3人正座した。 …

アパート

幻夢と現実の狭間で

20年以上前のことですが、聞いてください。友人が住む三畳一間の月3万円のアパートに遊びに行ったときのことです。冬の寒い日でしたが、狭い部屋で二人で飲んでいると、そこそこ快適でした。し…

面接

逆恨み

これは私の知り合いが体験した話です。 今から話す出来事の起きた町では当時、物騒なことに『連続放火事件』が発生していました。 死人は今のところなく、全てがぼやで済んでいたも…

山の小道

廃道の先に

20年程前に俺が体験した、今だに信じられない話を書こうと思います。 と言うのも、俺の周りには超常現象的なものに詳しい人物が全くいないので、今から書く実際に体験した出来事を一体どう…

かんひも

僕の母の実家は、長野の山奥にある。信州新町という町から奥に入って行った所なんですけど。僕がまだ小学校3年生くらいの頃だったかな? その夏休みに、母の実家へ遊びに行ったんですよ。そ…

エクスカリバー

エクスカリバー

ゲーム好きな人なら「エクスカリバー」という剣の名前を一度は聞いたことがあるんじゃないだろうか。 洞窟の奥深く、地面に刺さるその剣は、選ばれた勇者にしか抜くことのできない…みたいな…