ダイバー

Scuba-diving1

私はある南の海で仲間たちとスキューバダイビングを楽しんでいました。空は晴れ渡り、海の状態は非常に安定していて絶好のダイビング日和でした。

私は仲間のダイバーと二人で、あるダイビングスポットを潜りました。どんどんと深く潜って行ったのですが、ある地点で海底の異変に気づいたのです。

何かおかしい。

よくよく見ると、海底には一面に人間が生えていたのです。人間が。連れのダイバーを見ると、呆然として固まっています。海底から生えている人間の顔はどれも同じで、美しい少女でした。

どうしたらいいのかわからなくてしばらく眺めていると、連れのダイバーがすぐ側に来て、私の肩を叩き、ある方角を指差しました。その方角を見やると、ダイビングの装備をまったくしていない、至って普通の格好をした老人が鎌で少女たちを刈り取っているのです。

無表情だった少女は、刈り取られる瞬間、何ともいえない苦痛の表情を浮かべます。 海中でも叫び声が聞えてきそうな表情でした。しかし、その顔も、やがて切り取られた足下から広がる少女の血によって見えなくなってしまいます。

そうして老人は少しずつ私たちの方へ近づいてきました。やがて、私たちのすぐ側までやってきた老人は、完全に固まっている私たちの方へ顔を向け、にやりと笑い手にした鎌を差し出しました。まるで、

「お前たちもやってみるかい?」

とでも言わんばかりに。

次に気づいたとき、私たちは二人とも病院のベッドの上でした。

酸素がなくなる時分になっても上がってこない私たちを心配した仲間のダイバーが助けてくれたのです。そのダイバーはわれわれが見たようなものは見ていないといいます。

「海ではいろんな幻覚を見るものだ。それが海の怖さであり、素晴らしささ」

と、その年長のダイバーは私たちに諭すように言いました。

しかし私ははっきり言えます。あれは決して幻覚などではなかったと。

関連記事

紅葉狩り

俺が大学時代の20年以上前の話。友達がワンボックスの車を買って貰ったとかで、仲の良い女の子達も誘って紅葉狩りに行ったんだ。山奥で湖があって山道を歩くような所なんだけど、…

ヒサユキという男

この話は私にとって本当に怖ろしい体験で、その為に長い間精神を病んでいました。最近になってようやく落ち着いてきたので、自分の体験をまとめてみました。読み直してみると何だか…

夜の街灯(フリー写真)

迎えに来た叔母

20年近く前、まだ私が中学生だった頃の事です。当時、親戚のおばさんでTさんという方がいました。小さい頃は気さくでよく喋る方だったのですが、旦那さんが病気で亡くなってから…

都会の景色(フリー写真)

報道されない事件

新聞にも載らなかった話。とあるマンション(市内では自殺の名所で知られている)で女性の死体が見つかりました。仰向けに寝かされた状態。年齢は20代後半くらい。革のミニスカ-…

夕方の路地

道を教えて下さい

「道を教えて下さい」夕方の路地でそう話し掛けてきたのは背の高い女だった。足が異様に細く、バランスが取れないのかぷるぷると震えている。同じように手も木の枝のように…

お化け煙突

数年前の事ですが、私の職場にKさんという人が転勤してきました。Kさんは、私と同じ社員寮に住むことになったのですが、しばらくして、私と雑談している時に「寮の窓から見える高…

霊感テスト

自分自身に霊感が備わっていながら、それに気が付いていない人も意外と多い。あなたには霊感があるだろうか?今回はそんな霊感をチェックするための簡単なテストをご紹介しよう。は…

廃屋(フリー写真)

人形の右手

私が幼稚園児の頃の話。幼稚園の隣に木造二階建ての廃屋がありました。当時の私はその建物(隣接大学の旧校舎らしい)が何なのか判らず、ただ先生の「あそこで遊んではい…

田舎の家(フリー写真)

般若面の女

過去から現在まで続く、因果か何かの話。長いし読み辛いです。ふと思い出して混乱もしているので、整理のために書かせてください。 ※ 私が小学生一年生の夏、北海道の大パパ…

四国の夜空

四国八十八箇所逆打ちの旅

四国八十八箇所を逆に回る「逆打ち」をやると死者が蘇る。映画「死国」の影響で、逆打ちをそういう禁忌的なものと捉えている人も多いのではなかろうか?観光化が進み、今はもう殆ど…