高過ぎる電気代

00

ある新婚夫婦がマイホームを購入するため不動産屋を訪ねた。

その夫婦は、少し古いが希望に合う物件を見つけることが出来た。

そこは古い和風屋敷の一軒家。値段の割には良い物件。

そこに暮らし始めて一年ほど経った頃、妻が電気代がおかしい事に気付く。

料金がやたら高いのだ。

季節は夏だったが、風通しも良い日本家屋の為にクーラー等も要らず、なおかつ自分自身もかなり気を付けて節電していたはずだった。

妻は電気会社に文句を言ったが、電気会社は「当社の計算に間違いは無い筈です」とつっぱね、埒が明かないため、後日職員が確認に来ることになった。

真夏の昼間に来た職員は、二人掛かりで汗だくになって全ての電線コードを調べるが、どこにも異常は見つからない。

そのため妻も渋々に納得し、職員も帰り支度を始めた。

その時、もう一人の職員が茶の間を通る一本のコードが途中で二つに分かれているのに気が付いた。

再び調べにかかった職員は、そのコードが茶の間の床下の続いているのを見て、妻の承諾を得て畳を引き剥がし、床下を確認した。

しかし、床下から伸びたコードは土中にまで続いており、異常を感じた職員達は仕方なく借りたシャベルで土を掘り起こし始めた。

「なんじゃこりゃ。土ん中に冷凍庫が埋まっとる!」

驚いた妻と職員達は、その古い冷凍庫を茶の間に引っぱり上げ、その扉を開けた。

冷凍庫の中には凍り付いた若い女性の裸の死体があった。

長く凍った髪の毛は内壁に張り付いてざんばらに広がっており、その眼は恨めしそうに見開かれていたそうだ。

もしあなたの家の電気代が高いようなら…。

関連記事

ラウンジ

踊り続けるアバター

PlayStation Homeを始めた頃の話。 あるお化け屋敷ラウンジに、いつログインしてもずっと踊り続けているアバターが2体いるんだ。仮に「ぶらきゅー」さんと「はぴぴ」さんと…

ごぜさんの鐘

辺り一面山だらけ、どこを見渡しても山ばかりという地方の出身です。 小さい頃からお世話になっていたお寺に「鐘」がありました。 「鐘」と書いたのには理由がありまして、それは布と…

公園のベンチ(フリー写真)

不可解な風景画

私の友人にM君という結構霊感のある者がいるのですが、そいつから聞いたとても不思議な話です。 僕たちの住んでいる駅前には大きな団地が並んでおり、M君は駅を利用する行き帰りは、いつも…

蔵(フリー写真)

犬神様の蔵

学生の時、友人と民宿に泊まった。 そこは古い民家のような所で、母屋の隣に大きな蔵があった。 民宿のおばあちゃんが言うには、その蔵には神様が祀ってあるから入るなとのこと。 …

肝試し

高2の夏休み。霊の存在を否定していた友達が、出ると評判の廃屋に1晩1人で泊まることに。 昼間、下見をしてあまりにも汚いので寝袋を用意。晩飯の後、廃屋の前で別れたのがそいつを見た最…

手伝うよ

私が通学する駅は自殺の多い駅だ。 そのせいか、電車の急停止が多い。 急停止が多いあまり、学校や会社に遅れても「電車が」「自殺があって」と言えば遅刻扱いにならず、受験は余った…

サンドイッチ

高校生の頃、俺のクラスにいつも虐められているオタク風のデブ男がいた。実を言うと俺も虐めていた1人だった。 そんなある日の昼休み。俺はあるプリントを5時限までにやらなくてはならず、…

崖

おいぼ岩

時刻は夜十時を幾分か過ぎた、とある冬の日のこと。 僕を含めて三人が乗った車は、真夜中の国道を平均時速80キロくらいで、潮の香りを辿りつつ海へと向かっていた。 僕が住む街から…

古民家(フリー写真)

幸恵

戦後すぐのお話。 哲夫という田舎の青年が、カメラマンになるために上京しました。 哲夫には幸恵という恋人が居ました。 幸恵は両親の反対を押し切り、哲夫と一緒に上京。貧し…

ドライブイン

異界のドライブイン ― 消えた車と巨大な蛆

ドライブのはじまり この話は、いわゆるオカルトや怪談に分類されるかどうか、少し微妙なところがあります。ですが、個人的には今でも忘れられない、非常に恐ろしい体験でした。 そ…