ドアノブ

公開日: 心霊体験 | 本当にあった怖い話

doorknob

ドアノブという単語を見て嫌な体験を思い出した。

少し迷ったが書いてみようと思う。拙い文章だけど興味のある人は読んで欲しい。

以前、とある地方のアパートに住んでいた。霊感とかは自分では全くないと思うし、幽霊とか見た事はなかった。

自分の住んでいた部屋は、6畳と、4畳半の2部屋があって一階の端の部屋。それまでは本当にに何もなく、普通に暮らしてた。

でも、ある日から突然、おかしい事が起き始めた。

奇妙な音…、4畳半の部屋で寝ていると6畳の部屋でだれかがボソボソ喋っているような音がする。

最初は気にしなかった。というより、気味が悪くて考えないようにしてた。電気も点けっ放しで寝るようになった。

でもそれが、一週間、十日と続いてくると流石に気が参ってしまった。

ノイローゼになりそうだった。

仕事先から家には帰らず、同僚や上司の家に泊まり歩く日が続いた。

人には話せなかった。根性なし、度胸なしと言われるのが恥ずかしかったから。

5日ぐらい帰らなかった。でも流石に訳を隠して人の家に泊まる続けるのもそろそろ限界だった。

それで思い切って一人の同僚に訳を話した。不思議とすんなり信じてくれた。

多分、自分に気を遣ってくれたのだと思う。真面目にノイローゼ寸前だったから。

次の日は休日だったし、同僚も一緒に自分の家に来てくれる事になった。

同僚がドアを開けようとした。普通に中に入ろうとドアノブを回したんだと思う。

その瞬間、同僚が立ち止まった。

「今…向こうでノブ、誰か回したぞ…」

鳥肌が立った。同僚も身じろぎ一つせず立ちすくんでいる。

同僚が小さな悲鳴のようなものを立て、「バッ」という感じでノブから手を離した。

自分達が見たものは独りでにガチャガチャ音を立てるドアノブ。

明らかにドアの向こうには誰かがいて、自分達が部屋に入る事を拒んでいるような感じだった。

同僚と自分は、怖くなりそこを駆け足で逃げ出した。

しかし、冷静に考えると、もしかすると誰か中にいたんじゃないか…そんなことも思い、思い切って同僚と警察に行った。

何者かが部屋の中にいるようなんです。と言うとお巡りさんが2人、一緒に来てくれた。連絡も受けて、管理人さんも来てくれる事になった。

お巡りさんと一緒に自分の家まで行った。お巡りさんは中を見てきますので…と言うと家の中に入っていった。鍵は開けたままだった。

お巡りさんに部屋の中に入るよう言われて部屋に入った。

「盗まれたものは何か無いか?」「荒らされてはいないか?」 等の質問をされたが、部屋の様子は以前と変わらなかった。

お巡りさんは、「近頃この辺も物騒ですので、もし何かあったら構わずに通報してください」と言い残すと帰って行った。

それから少し遅れて管理人さんがやって来た。自分は単刀直入に訊いた。「この部屋で以前何か無かったのか?」と。

自分の体験した事も全て話した。

しかし、管理人さんは何も思いつかないと言う。

こういう仕事をしてればそういう怪談めいた話は聞くこともあるが、自分が見ているところにはそういう因縁めいた所は一つもないと言う。

私と同僚と管理人さん、3人で私の部屋の前の廊下でそんな話をしていると、またドアノブがガチャガチャ言い始めた。気が狂いそうになった。

その後、自分はすぐ引っ越した。業者に全部頼み、自分は引越しには立ち会ったが、部屋には一歩も入らなかった。

管理人さんに挨拶に行くと、御祓いを頼んだよと言っていた。

同僚は今でもドアノブを掴む事に何とも言えない恐怖を感じるそうだ。

自分も今になるとだいぶ落ち着いたと思うけれど、未だにドアノブを見る事が怖い。

ここにこうして書き込む事によって、自分の恐怖心は薄れるかと思ったが、かえって鮮明に思い出してしまった。

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