しゃべれるんだな
自宅のトイレに大きな窓がある。ちょうどトイレの床から1メートルくらいのところに。
トイレの臭いを換気する為に、いつも10センチほど開けっ放し。
まあ、自宅代わりに借りてるビルの5階だから良いんだけど。
3年前、真夜中に酔っ払って帰宅した俺はトイレで吐いていた。
俺は飲酒時にはすぐに気分が悪くなるが、酔っ払った事はない。
嘔吐も一段落して、俺は便座にもたれ掛かったまま、ふと窓を見上げた。
窓は開いていなかった。いや、隙間に変な白いモノが詰まっていただけだ。
よく見てみると、それはヒモ状に伸びた白く細い、ねじれた女だった。
それがひしゃげた顔して何かを喚いていた。
「ジ、ジジジ、ジジジ、ジッフフフ、ジジジジアアアア」
俺はそのまま後ろに倒れこみ、四つん這いのままトイレから脱出。
息を荒げたまま自分の部屋に逃げ込んで、テレビの音量を上げて友人に電話をかけまくった。
あれ以来、トイレの窓は防犯用のロックでしっかり固定して締め切ってるよ。
幽霊ってしゃべれるんだなって思った出来事だったよ。ちくしょう。