だ~れだ?
今から2年程前のことです。とあるアパートに彼女と同棲していました。
その日はバイトが早めに終わり、一人でテレビを見ながら彼女の帰りを待っていると、「だ~れだ?」という声と共に目隠しされました。
当然彼女だと思っていた俺は、「○美だろ~。お帰り…」と、彼女の手をどけながら後ろを振り向きました。
しかし、そこには誰もいなかったんです。
一瞬呆然となった後、俺の心臓は鼓動が聞こえるほど早まっていました。
おかしい…さっきの声は?
きっと幻聴だ…ドアが開く音はしなかったじゃないか…。
必死にそう思い込もうとする一方で、意地悪な考えが頭に響いていました。
手はどう説明する? 目隠しもされた…。その手を掴んでどけた…。感触もまだ残ってる…。
俺はもう恐怖で発狂寸前でした。
とにかくここを出なきゃと思い、勇気を振り絞り、立ち上がろうとしたその時。
金縛りに遭い、体が全く動かなくなってしまいました。心臓が張り裂けそうで、恐怖でパンクしそうでした。
その時、突然部屋中に若い男女と思われる笑い声が響き渡り、ふっと笑い声が止むと、耳をつんざくような恐ろしい叫び声が上がりました。
俺の意識があったのはそこまでで、気が付いたときは彼女に介抱されていました。
俺は彼女にそのことを話し、急いでその部屋を出て、その日は友達の家に泊めて貰いました。
翌日、大家にこの事を問い詰めると、以前この部屋にはシャブ中のカップルが住んでいて、男が女を殺し、自分も自殺したと教えてくれました。