
これは、テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』で実際に取り上げられた話である。
依頼の内容は、「迷子のインコを保護したので、飼い主を探してほしい」というものだった。
保護されたインコは、「ピーコ」や「な○たピーコ」、「奈良市三条」などの言葉を話しており、担当探偵のたむらけんじ氏は、インコの手がかりをもとに動物病院や、周辺の中田姓・長田姓の家庭を訪ねて回った。
しかし、飼い主を特定することはできなかった。
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そして問題の場面が訪れる。
たむらけんじ氏が車内でインコの様子を撮影していた際、その映像の中に奇妙なつぶやきが録音されていたのである。
インコが話した内容は、次のようなものだった。
「ピーちゃん、ごめんね。ここは異世界かも。内職してたら急に誰もいなくなった。ピーちゃんだけでも逃げて。電話も繋がらない。私は出て行きます」
インコの声ははっきりとしたものではなく、あくまで聞き取りに頼る内容ではあったが、確かにこのような意味の言葉を繰り返していた。
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その後、番組内でも継続して捜索が行われたが、結局、インコの本来の飼い主は見つからなかった。
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もしかすると──。
本当の飼い主は、何らかの理由で異世界に迷い込み、いまだに帰ることができないのかもしれない。
インコだけが、この世界に取り残されたまま──。
そんな不思議な余韻を残す出来事だった。