黒い人影

公開日: 笑える怪談

a090411_113128

家に黒い人影のようなヤツが、どっかで拾ってきてしまったのか住み着いてしまった。

積み上げたものは倒すわ、ハンガーにかけてる洋服を落とすわ、勝手にトイレの扉あけたりとイタズラばっかりしてくるヤツで、 まあ大した害もないし大丈夫だろうと思っていたのだけども、一度包丁を動かされて手を切ってしまったことがあった。

それまではしょうもないことばかりするヤツだと思っていたのが、少しだけ恐怖を感じるようになった。
もしかしたらコイツは俺に油断させておいて殺す気なんじゃないかと警戒するようになった。

ある日俺は体調を崩して寝込んでしまった。
あまりのしんどさに熱を測ると40度近くあって、メールで誰か友達を呼び出そうにも、携帯はベッドから離れた場所にあって、もう起き上がる気力も無くて。
ふと足元に黒いアイツがいて。やっぱり殺す気だったのか、俺はコイツにとり憑かれて死ぬのかってぼんやり考えてた。

でもそんな考えはすぐにどっかに行った。

明らか黒いアイツ焦っていて、俺の様子を必死に伺っているのがなんとなく分かった。
「おまえじゃねえのかよwww」ってかすれた声でつっこんだ。空元気だったけど。
がこ、って音がした。何かが落ちた音だったから手を伸ばして必死に探った。

携帯だった。

俺はすぐに友達に電話をかける。
「助けてくれ」って言うつもりが声が枯れてでない。
友達はイタズラ電話してくんなよwって笑ってる。
どうしようってなってたときに

『うあ゙あ゙あ゙あ゙!!』

って声が俺の部屋全体に響いた。アイツの声だと思う。

その声にびびった友達が家までかけつけてくれて俺はなんとか助かった。

相変わらず黒いアイツはいるんだけど、今でも人がトイレ入ってると扉開けてきます。
いったい何がしたいのかわからん。

「一緒に寝るか」って一度誘ったけど、どっか消えた。
みかんは好きみたいだ。親戚から送ってもらったみかん箱付近によくいるから。

トイレの扉開けられて、しかも思いっきりトイレからでるときに扉閉められてはさまれた。
萌えとかじゃない痛い。すっげえ痛い。
っていうか視線をすごい感じる。今、これを書いている背中に、感じる。

まあ、仲は良いと思ってるよ。
リモコンなくなったと思ってあわあわしてると探してだしてくれるし。
喋ってくれないのは寂しいけど、こういうのって喋らないのが普通なんかなー?

関連記事

地獄のバス

小学校の修学旅行でのことだった。 我々は一路目的地を目指してバスに乗り込んだ。 席も隣同士だった。少しテンションの高すぎる彼に閉口しながらも、バスの旅は快調に進んで行った……

犬(フリーイラスト)

じじ犬との会話

ウチのじじ犬オンリーだけど、俺は夢で犬と会話できるっぽい。 じじ犬と同じ部屋で寝ていると、大抵じじ犬と喋っている気がする。 「若いの、女はまだ出来んのか?」 「うるさ…

峠(フリー写真)

夢の女と峠の女

俺は幽霊は見たことがないのだけど、夢とそれに関する不可思議な話。 中学3年生くらいの頃から、変な夢を見るようになった。 それは、ショートヘアで白いワンピースを着た二十代くら…

すごく地味な

中学生の頃、家が近いのでいつも学校から一緒に帰る友達がいた。 ちなみに自分女、友達はユキといって、幼馴染の女の子。 中学から家までは、大体歩いて30分ぐらいの距離だった。 …

捕まった口裂け女

1979年6月21日午前3時頃、「兵庫県姫路市野里の路上に、腰まで垂れる長い髪で、真っ赤な口が耳元まで裂け、白い長襦袢をまとって出刃包丁を持った女がいる」と姫路署にタクシー運転手から1…

おじいちゃん(フリーイラスト)

夢枕の爺ちゃん

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは入院中に二度も危篤状態になり、いつ逝ってもおかしくない状態だった。 二度目の危篤から生還した時に爺ちゃんに聞いたら、 「ここで死んでなる…

リン!リリン!

どこに書けばいいのか分からないけど、私的にオカルトかつ不可解だったのでここに。 大学に入ったお兄ちゃんが部屋の中で「リン!リリン!」と叫んでいることがあったんですよ。壁越しに丸聞…

絵皿

喋る絵皿

小さい頃、祖父が友人宅から鷹の絵の描かれた大きな絵皿を貰ってきた。 それは今でも和室に飾ってあって、特に怪奇現象を起こしたりはしていない。 祖父の友人は骨董商だった。 …

やんちゃな爺ちゃん

数年前、爺ちゃんが死んだ。 で、いざ墓を立てようとしたら、しゃれにならないくらいたくさんの手続きをしなくちゃならなかった。しかも、その手続きの日には必ずどしゃ降りの雨。墓が立った…

アイヤー!ホイヤー!

中学生の頃、良く家に遊びに来てた友達の口癖が「アイヤー!ホイヤー!」だったんだけど。 ある日、いつものようにそいつが家に遊びに来てたわけ。アイヤーホイヤー言いながら(笑) …