先輩、お願いしますよ

公開日: 心霊体験 | 笑える怪談

Employee-Locker(1)

何年も前の話だけど。

ある会社の社員寮に入っていたんだが、夏の終わり、その年の新規採用者のうち4人が海水浴に行き、2人が波に飲まれて死んでしまった。

正確に言うと、波に飲まれた後1人は3日後、1人は5日後に発見されたから、その時はまだ死んだとわからなかったんだけど、とにかくそいつらが行方不明になったと判った夜。

寮内では大騒ぎで、波に飲まれなかった2人も結局戻ってこなかった。

その日の夜、トイレにいきたくなって廊下を歩いていたところ 、突然Aから呼び止められた。

「先輩。ロッカーの上の棚、ヤバイんすよ。お願いしますよ」って。

はぁ? お前何言ってんの? って言ったら同じこと繰返して、

「じゃあ頼みます」

と部屋に入っていった。なんだ?寝ぼけてんのか?と思ってトイレにいった時、ふとAが今日波に飲まれた1人だと気がついた。

しばらくして二人の遺体があがったと連絡があり、葬式も上司が参加し、俺たちは二人の両親が荷物を取りにくるまでに、寮の部屋の荷物をまとめる役を頼まれた。

Aの荷物を整理しながら、ふとあの夜の言葉を思い出し、部屋のロッカーの上の棚をみてみたら、エロ本と、Aが外国人の女性とイチャイチャしてる写真が数枚出てきた。

Aには大学時代から付き合ってる彼女がいて、仕事に慣れたら結婚したいといっていたよな。

一度写真をみせてもらったけど、彼女は日本人だったし完全に別人じゃん。浮気?

でもこれを実家に送って欲しくなかったんだなと思い、もう一人の片付け役の目を盗んで、棚の上のものをこっそり隠して部屋に持って行き、数日後、エロ本はさり気なく自分のものとして捨て、念のため写真だけお寺に引き取ってもらった。

なんか、こうやって書くと全然怖くないな(笑)。

でも、Aが幽霊だとトイレで気づいたときはちょっと怖かったんだよ。

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