
ホラーゲームの金字塔とも言える『零』シリーズ。
その制作現場では、ゲーム内の恐怖を凌駕するような、実際の怪奇現象が数多く報告されていました。
そして、それらの出来事は“創作の代償”とも言うべき、生々しい現実だったのです。
ディレクター・柴田氏の信念:「お祓いはしない」
『零』シリーズのディレクターである柴田氏には、ある強い信念がありました。
「本当に恐いゲームを作るのなら、お祓いをしてはいけない」
そう語る彼は、開発中に起こる霊的現象すらも“素材”として受け入れる姿勢を持っていました。
お祓いを行えば、その恐怖すら逃してしまう。
つまり、霊的な“リアル”が失われてしまうと考えていたのです。
そのため、シリーズ初期の開発現場では、お祓いは一切行われませんでした。
『紅い蝶』開発時の裏話
『零〜紅い蝶〜』の開発中、筆者は有志を募り、こっそりお祓いを計画しました。
しかし、その動きはすぐに柴田氏に察知され、実行には至りませんでした。
案の定、開発現場では次々と霊現象が発生。
柴田氏はむしろその状況に満足し、「これは本物のホラーゲームだ」と満悦の表情を浮かべていたといいます。
初めてのお祓いとその“代償”――『刺青の聲』
ところが、シリーズ第3作『零〜刺青の聲〜』では、初めてお祓いが行われました。
理由は明確でした。
開発チームが日本各地の心霊スポットや廃屋、樹海などに取材に赴く中で、スタッフの身に“何か”が起こる可能性が現実味を帯びてきたのです。
「正月のヒット祈願も兼ねて」という名目で、しぶる柴田氏を無理やり同行させ、お祓いを実行。
しかし──結果は予想外の展開を迎えます。
お祓いの直後、柴田氏は体調を崩し、数日間寝込む事態に。
さらにはスタッフの間でも体調不良者が続出。
機材トラブルも多発し、まるで“お祓いによって何かが目覚めた”かのようでした。
『零』シリーズ別・実際に起こった怪奇現象の記録
以下は、シリーズ各作品の開発中に報告された実際の怪異リストです。
『零(zero)』
- 会社の蛍光灯が突然割れる
- 会議室のドアから覗く男の顔が目撃される
- 深夜に残業していたスタッフの髪が、何者かに引っ張られる
- 柴田ディレクターのカバンや部屋、PCのキーボードの上に、誰のものとも分からぬ長い髪の毛が現れる
『零〜紅い蝶〜』
- キャラのセリフに重なるように「オニイチャン…」という少女の声が混入
- 霊石ラジオの音声に、謎の男のうめき声が録音される
- 柴田氏の自宅に、白い着物の女が現れる
- 深夜、柴田氏が何者かに手を引かれる
- ファブリーズを撒くと、一時的に現象が止む(※スタッフの冗談半分の対処だったが、一定の効果があったとの証言あり)
『零〜刺青の聲〜』
- 深夜、外から柴田氏を呼ぶ女の声が聞こえる
- 日本庭園・お化け屋敷・樹海などへの取材中、不可解な現象が頻発
- アフレコ中、霊感を持つ声優が「誰かがドアを叩いている」「部屋を歩き回っている音がする」と証言
- 音響スタッフの自宅でガラスが割れ、破片がなぜか「掛け布団の下」から発見される
- 会社のトイレに、明らかに子どもの手形が現れる
- 誰もいないはずのトイレや部屋から、足音が聞こえる
- 柴田氏が新居に引っ越すも、「空間から伸びる腕」を目撃
- 鏡越しに赤い影が映る
恐怖の源は“創作”か、“実在”か
『零』シリーズは、単なるホラーゲームの枠を越え、現実世界にまでその影響を及ぼした稀有な作品と言えるかもしれません。
柴田氏の「恐怖を逃さない」という哲学は、まさに“命懸けの創作”として、開発チーム全体に宿っていました。
そしてその代償として、数々の不可解な現象が記録され、語り継がれています。
今、あなたがこのゲームを手に取るとき──
それは単なる「プレイ」ではなく、ひとつの“儀式”であるかもしれません。