おぶって来たご先祖様

公開日: 怖い話 | 田舎にまつわる怖い話

座敷(フリー素材)

ある女性歌手が幼少期、お盆の時期にお婆ちゃんの田舎で経験した話。

地方なので、家々の周りの畑や田んぼの中に先祖代々の墓があるような土地。

そこのお盆の風習で、親戚の中で一番年少の者が夜に提灯を持って一族の墓の前に行き、墓石に背を向けてしゃがみ、ご先祖様の霊を『おんぶ』してから家に連れて戻って来る儀式があるそうだ。

そして彼女がその役目の年の事。

蝋燭の火が点いた提灯だけを頼りに、恐さを我慢して家を出発。

しかしお墓の手前で火が消えてしまい、恐くなってそのまま引き返してしまった。

どうせ誰も見ていないからと、儀式通りにご先祖様をお連れした事にした。

そして仏壇の前に『おぶってきたご先祖様』を下ろす動作をして見せ、儀式は終了。

周りの大人達はご先祖様を囲んだ食事会の用意に取り掛かった。

しかし、仏壇の前に座っていたお婆ちゃんが「今年はご先祖様、帰って来ないね」と呟いたそうだ。

森(フリー写真)

色彩の失われた世界

俺がまだ子供の頃、家の近所には深い森があった。 森の入り口付近は畑と墓場が点在する場所で、畦道の脇にはクヌギやクリの木に混ざって、卒塔婆や苔むした無縁仏が乱雑に並んでいた。 …

夜の砂浜

夜の砂浜

昔、一人で海辺の町に旅行したことがある。 時期的に海水浴の季節も過ぎているため民宿には俺以外客は居らず、静かな晩だった。 俺は缶ビール片手に夜の浜辺に出て、道路と浜辺を繋ぐ…

もう一つの顔

学生時代の友人のM美の話をしようと思う。 その日、私はM美が一人暮らしをしているアパートへ遊びに行った。 私は絨毯に横になりながら、M美はベッドに腰掛けてのんびりくつろいで…

海(フリー写真)

海ボウズ

俺の爺ちゃんの話。 爺ちゃんは物心が付く頃には船に乗っていたという、生粋の漁師だった。 長年海で暮らしてきた爺ちゃんは、海の素晴らしさ、それと同じくらいの怖さを、よく寝物語…

家族っぽい何か

先週の事なんだけど、小三の俺の弟が体験した話。 弟はその日、学校が終わって一度家に帰ってから、仲の良い友達と一緒に近くの公園で遊ぶことにした。 夕方になってかくれんぼをして…

猿(フリー素材)

えんべさん

帰省した時、祖母に『コトリバコ』のような呪わしい因習話は無いかと聞いたところ、残念ながら無かったんだけど、伯父さんがそれ系の話を知っていたので書きます。 ※ 1980年代、伯父さん…

古民家の居間

孤独

中島らも氏のエッセイで読んだ話。 新聞の投書欄に送られて来た独居老人の手紙です。 『定年で会社を辞めてから随分経つが、ここのところ出先から帰ると居間に自分が居る、というこ…

ファミレスのバイト

ファミレスでの俺のシフトは、普段は週3日で17時~22時と日曜の昼間。 肝試し帰りの客の一人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いて行った後での出来事。 ※ マネージャー…

飢饉があった村(長編)

俺の実家、岩手県のとある地方なんだけどさ、毎年帰省するんだけどね。よく田舎って「本家」みたいなのがあるのは分かるかな? その一族の本家っていうかさ、要は親戚縁者を統括する家みたい…

鯉の池

けもの

俺のじいちゃん家は結構な田舎にあり、子供の頃はよく遊びに行っていた。 じいちゃんは地元の名士とでも言うのかな、土地を無駄に一杯持っていて、それの運用だけで結構稼いでいたらしい。 …