去年、梅雨の終わり頃に白石川へ渓流釣りに行った時の事。

午前4時くらいに現地に到着して準備を終えました。

そして川に入ろうとした時に、川の方から子供の声が聞こえるのです。

薄明るくなりつつあるとは言え『午前4時に子供が川遊び？』と思い、

堰の上から覗いて見ると、海パン姿で子供が一人泳いでいました。

年頃は小学校の低学年くらいなのですが、

『何でこんな時間に？』と不思議に思い、暫く見ていました。

それから2、3分ほど経った頃だと思います。

その子が急に泳ぎを止め、すくっと立ち上がりこちらを見たのです。

いや、見たと言うより『向いた』と言った方が良いかもしれません。

何故かと言うと、その子の顔から胸にかけて、ざっくりと抉り取られていて、

目、口、鼻、という顔のパーツが無かったのです。

『うわっ！やばい！』と車に引き返し、すぐさまその場を立ち去ったのですが、

橋を渡る時に、恐いもの見たさであの場所を見たのです。

するとまだ居たのです。

体育座りして淋しそうにしている男の子が…。

何だか凄く可哀想になりました。

ずっと一人で泳いでいるのかな、と思いました。

自分の子供と年恰好が同じくらいだったためか、

涙が出そうなほど悲しい気持ちになった事を思い出します。