記憶にない女の子

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

教室(フリー写真)

このエピソードは、私の友人であるAさんが小学校6年生だった頃の出来事である。

ある休み時間、彼女は友人とトイレでおしゃべりをしていました。

すると、トイレの入り口が突然開かれ、一人の少女が入ってきました。

彼女たちはその少女を知っていました。

少女が追いかけられているのだと思い、彼女たちは掃除用具入れの扉を開け、

「早く、こっちへ」

と、少女を中に入れるよう促しました。

しかし追いかけている人物は現れず、少女が困っている状況に対処するため、彼女たちは少女をかくまうことに決めたのです。

すると、いたずら好きのAさんが少女が入っている用具入れの扉に足をかけ、少女が中から出られないようにしました。

用具入れの扉は、通路側に開けなければ開かないため、少女は内側から扉を開けることができませんでした。

彼女たちは少女のために平静を装い、扉を押さえることによって、彼女を守ろうとしました。

その後、少女が激しく扉を叩き始めました。

彼女たちは少女のために、さらに力を入れて扉を押さえ、彼女を守り続けました。

しかし、扉を叩く力は徐々に弱まり、ついには何の音もしなくなってしまいました。

それ以降、少女は出てくることはありませんでした。

周りの女の子たちも不安になり、Aさんに扉を開けるように目配せをしました。

仕方がなくAさんは少女に声をかけながら、用具入れの扉を開けましたが、中には誰もいませんでした。

少女は消えたのです。

この出来事は学校全体に広がり、同様の話も出回って、全校集会まで開催される事態に発展しました。

数十年経った今も、Aさんは

「確かに、あの子は知っている子だったけど、彼女の名前や学年、クラスがどうしても思い出せないの」

と言っています。

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