B君

公開日: 意味がわかると怖い話

マンション(フリー写真)

ある日の夕方の出来事。

僕が自分の部屋で本を読んでいると突然、窓を「バンバン!」と叩く音がした。

びっくりして振り返ると、友達のB君が興奮しながら窓を叩いていた。

「A君!開けて開けて!!」

僕が慌てて窓を開けると同時に、物凄い勢いでB君が話し出す。

「あのさ、ついさっきの話なんだけど!!」

「ちょ、ちょっとB君、その前にさ…」

「まあ、聞けって。さっき自転車乗ってたんだよ。河原を走ってて」

「…うん」

「暫く走ってて、何かおかしいなーと思って自転車降りたらさ…」

「どうしたの?」

「自転車のチェーンを掛けたままだったんだよ」

「え?」

「だから、チェーンが掛かっていて、タイヤが回らなかったの」

「…? それでどうやって走れるの?」

「解んないよ。その時までは走れたんだよ。でもさ、その後はだめだった」

「だめって?」

「チェーンが掛かってるって事に気付いたら、走れなくなっちゃった」

「そうなんだ…」

「無意識だから出来たのかなぁ…。あ、A君、さっき何か言いかけてなかった?」

「え!? …あ、うん…あのさ…」

「?」

「…ここ、5階なんだけど、B君どうやってそこに立ってるの?」

編注: 自転車のチェーンが掛かっている事に気付いた途端に走れなくなったB君が、5階の外に立っている事に気付いてしまった…。

関連記事

シェフは煮詰まっている

男は食事をするためにレストランに訪れていた。 男が頼んだのはシェフがその日その日で料理を決めるコース。 しかし、幾ら経っても料理は運ばれてこない。 業を煮やした男がウェイ…

姉のアトリエ

10年程前の話。 美術教師をしていた姉が、アトリエ用に2DKのボロアパートを借りた。 その部屋で暮らす訳でもなく、ただ絵を描く為だけに借りたアパート。 それだけで住ま…

交通事故で亡くなった家族

警官をしている友人が数年前に体験した話。 そいつは高速道路交通警察隊に勤めているんだけど、ある日他の課の課長から呼び出されたんだって。 内容を聞くと、一週間前にあった東北自…

三文字

俺は、某所のある古いアパートで一人暮らしをしている。このアパートは二階建てで、各階四号室までのごく普通のアパートだ。 ちなみに俺は104号室に住んでいる。ある日、いつものスーパー…

逃げなきゃ

深夜、2階の自室で眠っていた私は、階下の妙な物音に気付いてふと目が覚めた。 「玄関から誰か入って来た…?」 そう思った瞬間、バクバクと鼓動が早まった。 夕方見たニュー…

ひとつ作り話をするよ

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。 今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを…

黄色いパーカー

ある日、商店街の裏にある友人のアパートに行きました。 そのアパートの一階には共同トイレがあり、友人の部屋は一階の一番奥でした。 その後、友人の部屋で朝まで飲んでいたらトイレ…

深夜の高速道路

遺留の少年

警官をしている私の親友が、数年前に遭遇した不可思議な出来事を、私に打ち明けてきた。 彼は、東京都内の高速道路交通警察隊の一員として働いており、ある日突如、他の課の課長から緊急の…

かくれんぼ

昔、公園で友達とかくれんぼをした。 かなり広い公園で隠れるには困らないけど、問題は鬼になった時、ただでさえ広くて大変なのに友達4人とも隠れ上手。 鬼には絶対なりたくなかった…

廃墟

ロアニの家

子供の頃、近くに廃墟があった。 その家は川沿いにあって、庭には井戸もある。 しかも田舎だから灯りも少ないしで、夜になるととても不気味。 必然的にその家は、幽霊が出る家…