切り取られたカレンダー

公開日: 意味がわかると怖い話

calender

久しぶりに実家に帰ると、亡くなった母を思い出す。母は認知症だった。身の回りの世話をつきっきりでしていた父を困らせてばかりいた姿が目に浮かぶ。

そして今は亡き母の書斎に入った時、私が母にプレゼントしたカレンダーが見つからないことに気がついた。

何の気無しにテーブルを漁ると、ハサミでバラバラにされた幾つかのカレンダーの切れ端が順序良く並んでいる事に気がついた。母はどんなに呆けていても、私からのプレゼントは大切にしてくれていたのに……ショックではあった。

私は感傷とともに並べられた日付を整理した。

4/4 4/4 4/10 6/11 3/1 6/12 5/6 7/2 6/7 6/17 4/10 4/14 5/16

私は一枚だけ向きが逆になっている6/17に気づき、他の日付と同じ向きに変えていると、1階の父が私を呼んだ。

今日から五年振りの父の手料理が食べられる。感傷を胸に押し込み、私は母の書斎を後にした。

 

【謎の解説】

数字を元素記号の周期、属として置き換える。
4/4 4/4 4/10 6/11 3/1 6/12 5/6 7/2 6/7 6/17 4/10 4/14 5/16
Ti Ti Ni Au Na Hg Mo Ra Re At Ni Ge Te
6/17は逆さま(At → Ta)にしローマ字読みする。

→ 「ちちにあうなHgもられたにげて」 → 父に会うな Hg(水銀)盛られた逃げて

関連記事

深夜の高速道路

遺留の少年

警官をしている私の親友が、数年前に遭遇した不可思議な出来事を、私に打ち明けてきた。 彼は、東京都内の高速道路交通警察隊の一員として働いており、ある日突如、他の課の課長から緊急の…

娘の目

最近の話なんだけど、電車での人身事故を目撃してしまった。 私と小学4年生になる娘と2人で家から2駅離れたショッピングモールで買い物をした帰り道でのこと。 私たちが駅のホーム…

逃げなきゃ

深夜、2階の自室で眠っていた私は、階下の妙な物音に気付いてふと目が覚めた。 「玄関から誰か入って来た…?」 そう思った瞬間、バクバクと鼓動が早まった。 夕方見たニュー…

空き家

子供の頃に住んでいた家は、現在住んでいるところから自転車でわずか5分程度。 近所に幼馴染みも沢山いたし、自分とはもう関係ない家だという認識があまりなかった。 自分たちが引っ…

三文字

俺は、某所のある古いアパートで一人暮らしをしている。このアパートは二階建てで、各階四号室までのごく普通のアパートだ。 ちなみに俺は104号室に住んでいる。ある日、いつものスーパー…

目が赤い人

ある地方の女子高生が東京の大学に進学が決まり、東京で一人暮らしをする事になりました。 とあるマンションで生活を始めているうちに、ある日部屋に小さな穴が空いているのに気付きました。…

トノサマバッタ

小学生の時、夏休みの宿題に昆虫採取をすることにした。まぁ、毎日アミ持って野山を駆け回って遊んでただけなんだけど、ある日すごいのを捕まえた。 体長 13.5cmのトノサマバッタ。 …

年齢当て

あと10分ほどで真夜中になるという時間帯に、私は特急電車に乗っていた。やがて、途中の駅で一人の男が乗り込んできた。 その男は、電車のドアが閉まると、突然我に返ったように乗客の顔を…

廃墟

ロアニの家

子供の頃、近くに廃墟があった。 その家は川沿いにあって、庭には井戸もある。 しかも田舎だから灯りも少ないしで、夜になるととても不気味。 必然的にその家は、幽霊が出る家…

ひとつ作り話をするよ

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。 今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを…