
誰もが知る歴史上の人物、聖徳太子。
日本の礎を築いた偉人として語り継がれているが、実は彼が“優れた予言者”であったという事実は、あまり一般には知られていない。
彼の予言には、驚くほど高い的中率があったという。
広く知られているものでは、「黒船の来航」や「明治維新」など、国家の命運を左右するような出来事まで予見されていたと伝わっている。
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しかし、彼が遺したとされる『未来記』――そのすべてが記された書物は、現在は所在不明となっている。
一説には、時の権力者たちによって封印されたとも、焼失したとも言われている。
だが、断片的な口伝や古文書の中には、わずかにその痕跡が残っており、そこから“終末の予言”と呼ばれる一節が伝えられている。
その内容は、こうである。
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「私の死後二百年以内に、一人の聖皇がこの地に都を築く。
その都はかつてないほど壮麗であり、戦乱に十度まみれてもなお、それを越えて繁栄し、千年のあいだ都として栄える。
だが、一千年が満ちたとき、黒龍(黒船)が現れ、都は東へ移される。
さらに二百年が過ぎた頃、クハンダが現れ、東の都は“親と七人の子供”のように分裂するであろう」
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“黒龍”は言うまでもなく、幕末に来航した黒船の象徴であろう。
そして“都が東へ移される”というのは、京都から東京への遷都を指すと解釈されている。
では、次に現れるという“クハンダ”とは何なのか。
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“クハンダ”とは仏教用語であり、末世に現れるとされる悪鬼の名である。
その存在は、人の肉体だけでなく精神までも真っ黒に汚し、堕落と混乱をもたらすとされる。
かつての僧たちは、末法の世を語る際、この“クハンダ”の到来を必ず語りに添えた。
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太子の予言を西暦に照らし合わせると、都が東京に移されたのが1869年であり、そこから二百年後は2014年から2020年の期間に相当する。
この時期に、私たちは何を経験してきただろうか。
世界規模の疫病、情報分断、精神的な断絶、そして国家や家族、社会の中で起きた“分裂”という現象。
“クハンダ”とは、実在する一つの存在ではなく、時代に影のように忍び寄る“精神の黒化”そのものなのかもしれない。
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そして近年になって、「聖徳太子は実在しなかった」という説を唱える動きが活発になっている。
まるで、彼の存在と予言自体を歴史から消し去ろうとするかのように。
その背景には、“知られてはならない何か”があるのではないかと、考えずにはいられない。
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『未来記』は今もなお、どこかに眠っているのだろうか。
それとも、すでに誰かが封印してしまったのか。
私たちはクハンダの到来を、ただ指をくわえて待つしかないのだろうか。
あるいは――それに気づいた者から、未来を変える行動が始まるのかもしれない。