
人類史上、最も偉大な天才物理学者と称されるアルバート・アインシュタイン。
彼の導き出した相対性理論をはじめとする数々の研究成果は、今も世界中の科学者たちの道標となっている。
しかし、そのアインシュタインでさえ、晩年には長年の研究による疲弊と、精神的な苦悩に苛まれていた。
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彼の主治医でもあった心理カウンセラーと一緒に写った写真が現存しているが、その瞳には、かつての輝きはなかった。
なぜ彼は心を閉ざしてしまったのか。
それは、あまりにも天才であったがゆえに、人類の未来に待ち受ける複数の破滅的な光景を、あまりにも鮮明に見通してしまったからだと言われている。
その中で彼を最も絶望させたのは、ある一見すると些細にも思える現象だった。
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アインシュタインが生前に残した予言――
「もしミツバチが地上から姿を消せば、その4年後にはすべての動植物が絶滅するだろう。」
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ミツバチは、花の蜜を集め、巣に持ち帰り、仲間や幼虫に与えながら繁殖を続けてきた。
そして蜜を集める過程で花粉を運び、植物の受粉を助けてきた。
だが近年、アメリカ大陸ではミツバチが巣に戻るという本能を失い、個体数が減少し続けている。
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幸いにも、日本のミツバチは今のところ異常行動を示していない。
だが、もし彼らが消えればどうなるのか。
植物は枯れ、草食動物や昆虫は飢え、やがてそれらを食べる肉食動物も滅びる。
そして人類もまた、深刻な食糧危機に陥り、絶滅の道をたどるかもしれない。
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アインシュタインが見据えた未来は、決して遠い空想ではない。
今この瞬間も、私たちはその危機に向かって進んでいるのかもしれない。