夜勤のラジオから先輩の声が
東京の北、線路に挟まれた古い印刷工場。閉鎖が決まったその夜から、二十年壊れたままの夜勤のラジオが、深夜にだけ鳴るようになった。最後まで残された七十三歳の元活字工…
東京の北、線路に挟まれた古い印刷工場。閉鎖が決まったその夜から、二十年壊れたままの夜勤のラジオが、深夜にだけ鳴るようになった。最後まで残された七十三歳の元活字工…
母の入院で通い続けた病院。向かいの病室にいつも白いパジャマの老人がいた。ある日その部屋が空室になり看護師に確認すると、六年間一度も患者が入ったことはないと言われ…
数年前の春、北陸の小さな漁港で、霧の夜に音もなく港へ戻ってきた一隻の漁船を見た。船体に書かれていたのは、半世紀前に沈んだ船の名前だった――冷静に語られる、海辺の…
新幹線運休の振替で乗った夜行バスの最後列。消灯後、隣席に「酔ってしまって」と座ってきた女性。サービスエリアで降りた彼女は戻らず、運転手は最後列はあなた一人ですと…
帰省中に地元の図書館で蔵書整理のバイトを始めた。閉館後の静かな書棚を整理するうち、何冊もの古い本に同じ筆跡で書かれた名前を見つけた。貸し出し記録にも寄贈記録にも…
母の入院見舞いで帰省した北陸の町。シャッター街になった商店街の奥に、子供の頃に通った手芸店の灯りがまだ残っていた。そこにいたのは、五年前に亡くなったはずのおばあ…
転勤で引越した先の自治会に参加した私。公民館の一番奥の席に、毎回同じ老婦人が静かに座っていた。誰も彼女のことを話してくれない。その理由に気づいた時、背筋が冷えた…
山あいの集落を担当する郵便配達員が体験した話。行き止まりの農道の奥に、毎月荷物を無言で受け取る老婆がいた。ある日、玄関前に見知らぬ男の人影が消え、帰り道に思いも…
転職先のデスクの引き出しに残っていた一枚の付箋。「次の人へ」と書かれたその下には、五つの項目があった。最初は引き継ぎメモだと思っていたが、項目は次々と現実になっ…
雑誌の取材で山奥の限界集落を訪れたフリーランスの写真家が、一人暮らしの老人の家に泊まる。夕食に四人分の膳が並び、夜中には誰かと話す声が聞こえる。写真に写ったもの…
フリーランスの写真家が深夜の商店街で撮影中、閉まっているはずの店に灯りが見える。写真を確認するたびに、その灯りの中に何かが写り込んでいることに気づく。…
大学生がバイト先の古い図書館で体験した不思議な出来事。閉館後の閉架書庫で灯る読書灯と、誰もいないはずの場所に残される栞の謎。…
東北の地方都市への出張で泊まった古いビジネスホテル。三泊の間に廊下で、エレベーターで、そして三度目の夜に黒いコートの女性を見た。顔を一度も見ることなく過ごしたチ…
毎週水曜日、スーパーの冷凍コーナーで同じ棚を眺めているおばあさんがいた。声をかけた翌週、その商品は「存在しない」と言われて——じわじわと怖くなるほんのり怖い話。…
出張で初めて訪れた地方のビジネスホテル。部屋の全てに既視感を覚える中、ベッドサイドの隙間から見つけたメモには、自分の筆跡で警告が書かれていた。…
深夜一時を過ぎると必ず聞こえてくる廊下の足音。古いマンションに引っ越した男性が体験した、夜ごとの来訪者の正体とは。…