ドライブの夢

公開日: 心霊ちょっと良い話

女性の後ろ姿(フリー写真)

3年前に昔の彼女が死んだ。信号無視の車に轢かれ、打ち所が悪かったのだ。

当時は既に別れていたから、友人から聞き葬式には出席できた。

復縁して別れた彼女だったのだが、一回目の告白も、復縁しようと言い出したのも俺から。別れ話も2回とも俺からだった。

今思うと振り回してばかりで、俺は本当に駄目な男だったと思う。

当時は留年中だったし、2つ年上で社会人の彼女に嫉妬や妬みばかりだった。

俺が鬱っぽくなり、彼女の心配も邪魔になって別れた。

負い目から、別れた後は友人と遊ぶ時もかなり態度に出していた。餓鬼でした。

彼女の葬式前後の記憶はあまりないが、ある日、彼女の夢を見た。

ドライブがお互いの趣味だったためか、夢の中でもドライブしていた。

彼女が運転していて、他愛もない会話をしていた。

しかし会話の内容が、

「別れた後のあんたの態度、腹立ったわ」とか、

「別れ話の時のあの言葉、死ぬまで覚えてた」とかで、

俺が知らなかった彼女の心情だった。

笑いながら話す彼女に、俺は「わりぃわりぃ(笑)」と返事をしていた。

急に彼女が「あ、大事な事を言うよ」と言った。

「あんた、病院行きな。明日には行って。あと、あんた通ってる病院ヤブだから、○○病院ね」

ここで目が覚めた。

俺、腸に持病持ちなんだ。

いつもだったら定期検診以外はよほど悪くならないと病院には行かない。

しかし付き合っていた時、よく俺の体の心配していた彼女の言う事だから、指定された病院に検査目的程度に行ってみた。

すると腸にポリープが出来ていて、切除したら癌でした。

早期発見だったのが良かったのか、腸を少し切除したものの結果良好。

医者にも「進行する前で良かった。ポリープが定期検診の時に見つからなかったのが不思議だ」と言われた。

病院を変えて良かった…。

退院してから、また彼女とドライブする夢を見た。

「お前のおかげで助かった」と言うと、

「いつも言ってたでしょ、あそこヤブだって」とドヤ顔をされた。

何だか俺泣けてきて、付き合っていた時に嫉妬していた事とか、持病持ちで留年なんかする俺を好きだと言うお前を信じられんかったとか、振り回してごめん、それをお前が死ぬ前に言えんくてごめんって、泣きながら言った。

俺、餓鬼やった。お前いつも話聞いててくれたのにな、ごめん。

言いたかった事を言うと、彼女は車を停めて俺の方を向き、

「あんたが笑っててくれれば、それで私は幸せやったよ。私も支えれんくてごめんね」

と言った。

そこで目が覚めた。

それから彼女と会話する夢は見ない。

彼女が死んでから3年経つけど、この夢は忘れられないな。

今だにこの夢を思い出すと、泣けてくる。

俺は本当に駄目な男だな。

心霊とは違うかもしれませんが、俺が経験した話でした。

庭に咲く花(フリー写真)

光る玉

私の母は私を産む前に二度流産しており、三度目(私)の時も、何度か駄目になりかけていたそうです。 妊娠4ヶ月頃の時も、やはり体調を崩して流産しかけたらしいのですが、その時、庭で二人…

白い蝶(フリー写真)

真っ白な蝶々

私の母が亡くなってから、色々な出来事がありました。 最初は、母の葬儀が終わって夕方家に戻った時のことです。 玄関の黒いドアの真ん中に、真っ白な蝶々がぴったり止まっていまし…

犬(フリー画像)

愛犬との最期のお別れ

私が飼っていた犬(やむこ・あだ名)の話です。 中学生の頃、父の知り合いの家で生まれたのを見に行き、とても可愛かったので即連れて帰りました。 学校から帰ると毎日散歩に連れ出し…

坂道(フリー写真)

坂道と父

5年ほど前に父を亡くしました。 体を壊して働けなくなり、自棄になってアルコールやギャンブルに走って借金を作り、最後は 「飲んだら死ぬよ」 と医者に言われながらも、飲み…

病室(フリー素材)

優しい声

これは俺が中学生の時の体験です。 恐怖感はあまり無く、今でも思い出すと不思議な気持ちになります。 ※ 中学二年の二学期に急性盲腸炎で緊急入院しました。定期テストの前だったので…

綺麗な少女

夏が近くなると思い出すことがある。 中学生の時、ある夏の日のことだ。俺は不思議な体験をした。 夏休みを迎えて、同世代の多くは友達と遊んだり宿題をやったりしていただろう。 …

病院(フリー背景素材)

みほちゃん

看護学生の頃、友達と遊びに行った先で交通事故を目撃しました。 勉強中の身ではあったのですが、救急隊員が駆け付けるまでの間、友人の手も借りながら車に撥ねられた女の子の応急処置をしま…

雪景色(フリー素材)

もどり雪

一月の終わり、山守りのハルさんは、山の見廻りを終えて山を下っていた。 左側の谷から、強烈な北風に舞い上がった粉雪が吹き付けてくる。 ちょっとした吹雪のような、『もどり雪』だ…

父と娘

お馬の親子

父と妹の話です。 4年程前、父が肺がんで亡くなりました。 過労やストレスなどもあり、余命半年のところが2か月で亡くなりました。 父はとても子煩悩で、遅くできた末妹を…

小綺麗な老紳士

駅構内の喫煙スペースで私はタバコを吸っていました。 喫煙スペースと言っても田舎の駅なので、ホームの端っこにぽつんと灰皿が設置してあるだけの簡易的なものでした。 すると小綺麗…