父親の不思議な体験
うちの父親の話。幼少の頃から不思議な体験が多いらしい。
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不思議な体験 – 其の一
60歳近いけど昔から魚釣りが趣味で、小さい頃に兄と幅50メートルくらいの川に釣りに出掛けたらしい。
兄の竿に魚がヒットしたんだけど、やたらに引きが強い。
格闘し続けて頭が岸まで寄った時に、魚の体の全貌が見えるほど水面まで魚が上がってきた。
その魚を見ると、川幅が50メートルはあるのに魚はくの字に体を歪めていて、川幅より長い。
びっくりして糸を切ったそうだ。
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不思議な体験 – 其の二
父(私から見て祖父)と釣りに行った帰り、一本道なのになかなか家に着かない。
家まで徒歩20分くらいの距離なのに、2時間以上歩いても着かない。
当時は街頭もあまりなく暗い道だったので、周りの状況もあまり掴めない。
「おかしい」と父が言うと、祖父が「これがたぶんいかんのだ!」と魚籠の魚を全て捨てたそうだ。
そうしたら程なくして家に到着。
狐に化かされたと言っていた。
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不思議な体験 – 其の三
暗くなりかけた頃、釣りに行く途中の堤防を歩いていたら松の大木が倒れていた。
父は文句を言いながら苦労して自転車を持ち上げて通ったらしい。
小一時間ほどして全く釣れないので引き上げる事にした。
帰り道には大木は跡形も無くなっていたが、その後に何かぬるぬるしたものが広がっていたそうだ。
それを追っていくと川まで続いている。
「今思うと蛇が引きずった跡みたいだったなあ…」
と言っていた。
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不思議な体験 – 其の四
最新の話では川の上流まで鮎釣りに出かけた時、熱中し過ぎて気付けば夜の22時を回っていたらしい。
釣り道具を車へ積み込み帰ろうとしたところ、何やらごそごそ動く影が車の側に居る。
『動物かな、野生動物なら車のライトで逃げていくだろう』
と考えたらしく、車のライトを点灯したところ、動物ではなく草むしりをしているような動作をする人間だった。
しかも見た感じかなり高齢のお婆ちゃん。
『こんな夜に何をしてるんだろう』と思い、声を掛けようとして車の窓を開けたらしいんだ。
そしたら、振り返ったお婆ちゃんの顔に、ゴルフボールより少し大きい位の目玉が付いていたらしい。よく見るグロ画像みたいな感じで。
滅茶苦茶恐くなって車で逃げたみたい。
「他の車見るまで安心できなかったよ、あはは(笑)」と言っていた。