霧島駅

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実際にその駅には降りていないし、一瞬の出来事だったから気の迷いかもしれないけど書いてみようと思う。

体験したのは一昨日の夜で、田舎の方に向かう列車の中だった。

田舎と言っても普段からそこに住んでおり、その時も都会から田舎に帰る…いわゆる帰宅の最中であった。

普段は余裕を持って21時頃には都会を出るのだけど、この時は友人と遅くまで飲んでおり、最終電車として田舎に向かった。

敢えて駅名を伏せても仕方ないから詳しく書くと、埼玉県にある飯能駅という駅発の電車で、出発時刻は23時過ぎぐらいだったと思う。

自分はその駅から終点にあたる西武秩父駅まで行かなければならなかったから、アルコールと眠気の両方と闘いながら、早く着かないかということだけを考えていた。

この始発駅から終点駅までが大凡一時間弱なんだけど、ちょうど半分ぐらい来たところでトンネルに入ったのね。

確かに田舎行きの電車だから終点に着くまでの間には何度か短いトンネルにも入るし、とても長いトンネルもあるのだけど、自分の中では妙な気持ちになったのよ。

「こんなところにトンネルあったけ?」と。

普段は特急に乗っる事が多いし、寝ている事も多いから記憶が曖昧なだけかな…と。

その時はそう自分に言い聞かせたけど、帰ってきて調べてみたら、あの辺りにはトンネルは無いようだった。

ちなみにトンネルの前の駅の名前は、東吾野駅。

自分の記憶によれば東吾野→吾野→西吾野と続いているはずだった。

もちろん、今調べてみてもそうだったのだけど…。

トンネルから出ると、辺りは霧一面で、この辺はこんなに霧が出るんだ…と感傷に浸っていたのを覚えている。

一昨日は朝も少し小雨が降っていたし、それなりな気温だったから、この時期はこうなりやすいのかな、運転士さん大変そうだなと思った。

トンネルを抜け、視界不明瞭なまま10分程度進んで行ってから徐々に変な気持ちになってきた。

というのも、この3つの駅はそれぞれ5分ずつ程の距離しか開いていない。

それなのにまだ駅に着かないのだ。

酔っ払っているし、寝ぼけてもいるから覚えてないのかなと思いつつも、この電車はかなり揺れるので、殆ど寝ていなかったはず。

また、この路線の電車は快速なども無いので、通過してしまったということもないはずだ…と、自問自答が始まった。

きさらぎ駅なんかも行ってみたいと思いつつも、そういう話を知っていただけあって凄く怖くなってきた。

怖くなってきたのも束の間、一瞬トンネルに入ったかと思うと、特にアナウンスもなく電車が停車した。

自分がこの路線の電車に乗っていて電車がトンネル近くで止まる理由は、線路の交換待ちか、もしくは事故かと思っていたのだけど…。

『ここで?』と疑問に思った。

そしたら更に驚くことにドアが開いたのだ。

絶句だった。

気持ち悪かったり、酔っぱらっていた気持ちは一瞬で冷めてしまった。

深夜だというのにほんのりオレンジ色に明るかったから、駅か何かかなと考えながらも、こんな経験初めてだったから、とにかく乗務員のアナウンスを待っていた。

だけどアナウンスも無く、ただただドアが開いたままだった。

誰かに話をしようにも、みんな寝ているからチキンな俺は話しかけることもできず、ただただ待っていた。

すると何事もなかったようにドアが閉まったので、驚いて窓から外を確認すると人影が2つ程あり、また、駅の看板がチラッと見えた。

記憶力も動体視力も良い方だと自負しているので、見間違いという事は無いと思う。

確かに「霧島」と書いてあった。左右の駅は吾野←→東吾野となっていたのは確かである。

ドアが閉まってから電車は発車し、トンネルに入った。

トンネルに入ったかと思うとまたすぐに出て、更に5分程走ったら吾野駅に停車した。

その時は普通にアナウンスがあったし、もちろんさっきの事についての説明は無かった。

吾野駅では何人か降りた。

その吾野駅では特に霧が出ておらず、頭の中は疑問符で一杯だった。

その後、20分ぐらいして終点の駅に着いた訳なんだけど、不思議な事にちゃんと定刻に到着したんだよね。

帰宅してからすぐにググったんだけど、霧島は鹿児島にしか無いし、行った事も無い。

無事に帰って来られたから良かったんだけど、またあの電車に乗るのが怖いなと思っている。

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