四国のホテル
怖くないかもしれないけど、俺が昔体験した話。
子供の頃、四国に家族旅行へ行った時、泊まっていたホテルで黒い着物姿の女に手招きされる夢を見た。
夢の中で、俺はふらふらと抵抗することなく女の居る場所へと近付いて行ったんだが、その途中でいきなり誰かに怒鳴られて、後ろから羽交い締めにされた。
必死で抜け出そうと暴れても、羽交い締めにしている誰かの力が強くて全然抜け出せないし、怖くなって泣いていたら、急に頬を叩かれたような衝撃があって、次の瞬間目が覚めた。
目を覚ましたら必死の形相で親父が俺を羽交い締めにしてるわ、何故か目の前にある窓が全開になってるわ、俺の直ぐ近くで姉と妹が泣いてるわで、訳が分からない状況だった。
何があったのか聞いてみたら、何でも寝てた俺が急に起きて窓に向かって歩いて行ったかと思うと、窓を開けて飛び降りようとしたらしく、慌てて止めようとしたら暴れるわ奇声を上げるわで大変だったらしい。
その時に泊まってた部屋はかなり上の階で窓の下はコンクリだったから、もし落ちていたら確実に死んでたと思う。
ちなみに、その後で親父がそれとなくホテルの人に聞いてみたけど、特に昔何かあった部屋とかではなかった。
結局、ただ単に俺が寝ぼけて馬鹿やっただけという笑い話にすることになった。