真っ白な女性

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

逆光を浴びた女性(フリー素材)

幼稚園ぐらいの頃、両親が出掛けて家に一人になった日があった。

昼寝をしていた俺は親が出掛けていたのを知らず、起きた時に誰も居ないものだから、怖くて泣きながら母を呼んでいた。

でも探しても当然どこにも居らず、諦めて居間で座って泣いていた。

その時、庭の道を女の人が歩いて行ったのが窓から見えた。

白い服を着ていて、顔も真っ白。

目も鼻も口も無いように見えたが、女性だというのは分かったので、てっきり母だと思った。

その人が通って行った後、すぐに窓を開けて「お母さん!」と叫んだけど誰も居なかった。

追い掛けて行って探しても、やはり誰も居なかった。

俺の家の庭はそんなに大きくはないので、隠れる所も無いはずなのに…。

俺はその後、二度も同じ女を見た。

二度目はまた一人で居る時。三度目は姉と一緒に居る時。

姉も同じ人を見たと言っていたので、俺の幻覚ではないだろう。

その後もまた、姉は一人で居る時に見たらしいので、その女は我が家に合計四回現れたことになる。

いつも同じ姿、つまり全身真っ白で、顔が分からない。追い掛けてもどこにも居ない。

そして女は、絶対に窓際の庭の道を西に向かって歩いて行く。

あれは何だったのだろう…。

関連記事

雪(フリー写真)

片道の足跡

北海道は札幌に有名な心霊スポットの滝がある。 夏場などは、夜中なのに必ずと言って良いほど駐車場に車が数台停めてあって、若い声がきゃーきゃー言っているような有名な場所。 ※ 当…

神社の鳥居(フリー写真)

隠しごと

人混みに紛れて妙なものが見えることに気付いたのは、去年の暮れからだ。 顔を両手で覆っている人間である。ちょうど赤ん坊をあやす時の格好だ。 駅の雑踏のように絶えず人が動いて…

女性のシルエット(フリー素材)

赤の他人

俺は物心付いた時から片親で、父親の詳細は判らないままだった。 俺は幼少期に母親から虐待を受けていて、いつも夕方の17時から夜の21時まで家の前でしゃがみ込み、母親が風呂に入って寝…

ひな祭り(フリー写真)

三つ折れ人形

私の実家に、着物の袖が少し焦げ、右の髪が少し短い、一体の日本人形があった。 桐塑で出来た顔には、ちゃんとガラスの目が嵌め込まれていた。 その上に、丁寧に胡粉の塗られた唇のぽ…

母を名乗る女の人

小学校に上がる前の、夏の終わりの頃の話。 私は田舎にある母方の祖父母の家で昼寝をしていた。 喉が渇いて目が覚めると、違和感を覚えた。何回も遊びに来ている家だけど、何かが違う…

赤い服の女の子

以前に書き込みした者ですが、もう一つ、二十年程前の話をします。 私はオカルト掲示板でもお馴染みの、例の生き人形の生放送を見ました。 スタジオがパニックになったなど詳細は覚…

父親の不思議な体験

うちの父親の話。幼少の頃から不思議な体験が多いらしい。 ※ 不思議な体験 - 其の一 60歳近いけど昔から魚釣りが趣味で、小さい頃に兄と幅50メートルくらいの川に釣りに出掛け…

オオカミ様の涙(宮大工6)

ある年の秋。 季節外れの台風により大きな被害が出た。 古くなった寺社は損害も多く、俺たちはてんてこ舞いで仕事に追われた。 その日も、疲れ果てた俺は家に入ると風呂にも入…

ベニヤを突き破って手首が……あれ!? 抜けなくなった…???

たぶん怖くないけど自分的には嫌だった話。 帰り道に、赤錆びて穴だらけのベニヤ張りの物置みたいな建物がある。周りに新築マンションが増えてるからかなり浮いた感じ。 で、ゆうべ遅…

2才児の直感

家の子は2才くらいまでは色々と見える子だった。 印象深いのは、20年ぶりくらいに中学の同級生が訪ねてきた時のこと。 その同級生は、昔は性悪で金の亡者だったが、金持ちと結婚し…