ハセベさん

公開日: ほんのり怖い話 | 不思議な体験

夜の病室

小学1年生の時に病気で入院し、夜中に病棟で毎晩のように泣いていた。

泣き始めるとすぐに看護婦さんが来てくれて、寝つくまで一緒に居てくれた。

ハセベさんという看護婦さんで、若くて可愛い人だった。

子供ながらに自分はその人の事を好いていた。

半年ほど入院生活が続いたが、毎晩のように僕は泣いてしまい、その度にハセベさんが駆け付けてくれた。

そして手術も無事に終えて退院の日、ハセベさんは居なかった。

母に頼んで「ハセベさんによろしくお伝えください」と、婦長さんに伝えてもらった。

高校生になり、その病院の内科へ行く機会があった。

ついでと思い小児科病棟に寄ると、当時の婦長さんはまだ現役だった。

当時の事を話しているとハセベさんの話になり、婦長が思い出したように話し始めた。

当時、ハセベさんという名前の看護婦さんは居なかったらしい。

はっきり名前も覚えていたし、漢字でも覚えているし、下の名前も覚えている。

僕が熱を出して泣きじゃくっていた日、部屋に現れ手を繋いでくれていた事も鮮明に覚えている。

特徴などを婦長に伝えたけれど、やはりそんな人は居なかったと言われた。

関連記事

アパートのドア(フリー写真)

異界の部屋

当時はアパートに住んでいて、その頃に体験した不思議な話。 母ちゃんに頼まれ、回覧板を他の部屋に渡しに行った。 さっさとドアのポストに回覧板を入れ、自分の部屋に帰って行った…

トンネル

地底と星からの訪問者

小学2年生の時の出来事です。山に囲まれた田舎で育った私は、ある日学校の帰り道で見知らぬおじさんとおばさんに声をかけられました。普段は知らない人にはついて行ってはいけないと教わっていま…

星空

夜の合宿地での不思議な出会い

私たちの高校には天文部という小さな部活がありました。 夏と言えば、ペルセウス座流星群を観測する合宿が恒例となっていました。 ある年、合宿地として選んだのは、都会の喧騒から…

蝋燭(フリー写真)

お地蔵さん

私の地元では年に2回「お地蔵さん」という行事と言うか、お寺のお参りイベントみたいものがあるんです。 あるお寺に行き、あの世で幸せにしていて欲しい亡くなった方の名前を読み上げて、…

電車

消えた息子と不可解な出来事

1987年3月15日、兵庫県丹波市で平穏な生活を送っていた西安義行さんは、高校時代の友人であるSさんとドライブに出かけることになった。彼らは京都・舞鶴を目指して出発しました。 …

夜の峠(フリー写真)

標識

9年前の12月23日に、東京から沼津までバイクで出掛けた。 夜の帰り道、1号から熱海方面に適当に下りようとする。 夜中の2時頃に前のブルーバードが曲がった南方向に行く細い…

赤い橋

赤い橋

俺が高校生だった頃の話。 両親が旅行に出かけて、俺は一人でお婆ちゃんの所に行ったんだ。 婆ちゃんはよく近所の孤児院でボランティアをしていて、俺もよく介護のボランティアをして…

交差点

時が止まった日

10年前、小学6年生だった頃の出来事。 学校から帰る途中、人々と車が突然止まり、時間が止まったような現象に遭遇。 突然、真っ黒な服を着た若い男女が現れ、声を揃えて「あ。」…

電車のホーム

死の影を背負う友人

私には昔からの友人がいて、彼は異常なほど頻繁に死体と遭遇します。中学時代、私たちが海で遊んでいるときに水死体を発見したのが最初です。その時点で彼はすでに5回も死体を見ていたと言ってい…

シロ

じいちゃんが亡くなって、じいちゃんの唯一の財産とも言える3つの山を5人の子供で分配するという話になった時のこと。 兄弟のうち4人は「山の一つには昔飼っていたシロという犬のお墓があ…