親友の加護

公開日: 心霊ちょっと良い話

女性の友情(フリー写真)

もう三年程前の話です。

友人が癌になり、全身に転移してしまい、死ぬ為に病院に入院する事になった。

当時そんな事は知らなかったのだけど、偶然寿退社して暇だった私は、毎日彼女の所にお見舞いに行っていた。

日に日に弱って行く彼女を見て『あ、ちょっとこれは危険だな』と思い、学生時代から仲の良い友人を誘い、十名くらいでお見舞いに行った。

意識は何とかあるものの、本当に厳しい状況で驚き、友人達も帰る途中で泣き出してしまった。

何故かその日は自宅に戻る気にならず、長い時間、彼女の元に一人で残っていた。

その日は何故か彼女の両親も旦那様も来なくて、時々意識が戻っては、私が居る事を確認して何か言っていた。

「結婚式までには必ず治して、ブーケ作るからね」

と言う言葉だけはキチンと聞こえた。

「わかったよ、頼むね。今度は彼も連れて来るから」

と言い残し、消灯時間になったので帰宅した。

次の日に彼女の家から電話があり、彼女の死を告げられた。

友人に連絡をして、友人一同で花を出す連絡をした。

そして病院から自宅へ戻る彼女を迎え、通夜葬式も彼女の両親や旦那様が近くに居てやってくれと言うので、その通りにした。

仕事をしていなかったので、三日間くらいずっと彼女の近くに居た。

お通夜の時、不覚にも寝てしまい、夢の中の彼女が出て来た。

花を眺めて嬉しそうにしている彼女だった。

『あ、生き返ったんだ、良かった~♪』などと思い話し掛けようとしたのだが、何故か話し掛けられず硬直状態。

その直後に目覚めた。

葬式も無事に終了し、旦那様と色々話をした。

彼女は自分が癌で永くない事を知っていた事とか、残される彼や子供の事の心配。

そして私の心配。結婚に対して非常に心配していたとか…。

そんな話をしていた矢先、何と婚約破棄をされてしまいました。

彼女の亡くなった悲しみと婚約破棄の悲しみで、おかしくなりそうでした。

その時から、毎晩のように彼女と亡くなった祖母が夢に出て来るようになりました。

彼女と祖母は顔見知りでも何でも無いのですが、何故か仲良しで、常に一緒に居ました。

祖母が、

「彼女の事は任せて」

と言っていて、何を任せるのか分からなかったのですが、彼女がその時

「このままじゃ、私あなたが心配だから。ここに居るから」

と言い、本当に一年くらい毎晩のように夢に出て来ました。

週に一度、彼女のお墓参りに行き、辛い事も楽しい事も報告していました。

婚約破棄の傷が癒えて来た頃、彼女の亡くなった病院で職員の募集があり、そのまま採用され、そこで働く事になりました。

彼女の亡くなった病棟ではないものの、何となく彼女がふと出て来そうで、真面目にやらねばと働いていました。

そんな日々が続いていたある日の事。

彼女が夢に出て来て、

「前の婚約者の彼をこのまま死の世界に連れて行ってあげる」

と怖い顔をして出て来ました。

私が泣き叫んで、

「やめて!」

と叫ぶと、彼女の顔が急に優しくなり、

「もう大丈夫だね」

と言いました。

そこに祖母も登場して、彼女と一緒に何処かへ行ってしまいました。

その日から夢にも出て来なくなってしまいました。

その夢の日から急に色々な事が起こりました。

この病院で働いている事を知った前の職場の上司が、

「戻って来て働いて欲しい」

との事。

条件も、前に働いていた時より良くなっていました。

病院を退職し、前の職場に戻る時には優しい彼も出来、何だか幸せいっぱいになっていました。

前の婚約者の彼は…それなりに楽しい人生を送っているとかいないとか。

今の彼と結婚話も出て来て、そろそろ…なんて事になっています。

辛い時期に支えてくれた彼女に感謝しています。

後日、彼女の両親から聞いた話ですが、毎日お見舞いに来てくれるのは私だけで、

「彼女は私の親友だから、絶対に幸せになってもらう」

と言っていたそうです。

そのお陰かどうかは不明ですが、今は幸せにやっています。

関連記事

消防車の玩具(フリー写真)

おもちゃの消防車

この話を知っている方も多いかと思いますが、投稿します。 これは毎日新聞の記者さんが実際に聞き、掲載したお話です。 ある日の雨の降る夜、会社から家路を急いでいたAさんが、田…

手を繋ぐ親子(フリー写真)

おとうさん、こっち!

お隣に、両者とも全盲のご夫婦が住んでいらっしゃいます。 この話は、ご主人から茶飲み話に伺ったものです。 ※ ご主人は16歳の時に、自転車事故で失明されたそうです。 当然…

道路

奇跡的な救い

昔、私は精神的に追い詰められていた時期があり、よく大型バイクをかっ飛ばしては危険を顧みずに走り回っていました。 ある日、私は渋滞している幹線道路をすり抜けて走っていました。道の…

トタンのアパート(フリー写真)

訳あり物件のおっちゃん

半年ほど前に体験した話。 今のアパートは所謂『出る』という噂のある訳あり物件。 だが私は自他共に認める0感体質、恐怖より破格の家賃に惹かれ、一年前に入居した。 ※ この…

旧い店舗(フリー写真)

長年の友への激励

米屋の店先で長椅子に座っていた米屋のじいさんが、ガックリ肩を落としたような格好でタバコを吸っていた。 すると「随分しょぼくれてんなぁー!ボケが始まっちまったかぁ? あぁ?」と大…

兄弟(フリー写真)

兄が進む道

私の兄は優秀な人間でしたが、引き篭もり癖がありました(引き篭もりという言葉が出来る前のことです)。 生真面目過ぎて世の中の不正が許せなかったり、自分が世界に理解してもらえないこと…

二人だけの水族館

俺はじいちゃんが大好きだった。 初孫だったこともあって、じいちゃんも凄く俺を大事にしてくれた。 俺はあまりおねだりが得意な方じゃなかったけど、色々な物を買ってくれた。 …

手を繋ぐ(フリー写真)

おじいちゃんの短歌

高校の時、大好きなおじいちゃんが亡くなった。 幼い頃からずっと可愛がってくれて、いつも一緒に居てくれたおじいちゃんだった。 足を悪くし、中学の頃に入院してから数ヶ月、一度も…

バー(フリー写真)

見えない常連さん

俺が昔、まだ神戸で雇われのバーテンダーだった頃の話。 その店は10階建てのビルの地下にあった。 地下にはうちの店しかないのだけど、階段の途中にセンサーが付いていて、人が階段…

古い箪笥(フリー写真)

鈴の音

小学生の頃、大好きだったばあちゃんが死んだ。 不思議と涙は出なかったのだけど、ばあちゃんが居ない部屋は何故か妙に広く感じ、静かだった。 火葬が済んだ後、俺は変な気配を感じる…