お爺さんとの絆

犬(フリー写真)

向かいの家の犬が息を引き取った。

ちょうど飼い主だったお爺さんの一周忌の日だった。

お爺さんは犬の散歩の途中、曲がり角で倒れ込み、そのまま帰らぬ人となった。脳出血だったらしい。

それから一年。その犬は主の来ない庭で、何を思って生きて来たのだろう。

お爺さんの最初の命日に、お爺さんの息子が犬を散歩に連れて行った。

気を利かせたつもりだったのだろうか、お爺さんが亡くなってからは違う道順を辿るようになっていたのに、その日は、お爺さんと犬が十年以上ずっと辿っていた散歩道を歩かせた。

お爺さんが倒れた曲がり角を通った時、犬はそこで急に立ち止まり、座り込んだ。

暫くそのままで居させてやったが、流石にずっと座っている訳にもいかず、息子さんは犬を引っ張ろうとした。

けれどもその犬は、そのまま眠るように息を引き取っていた。

飼い主とペットには、少なからず不思議な縁と絆が宿る。

多分、その曲がり角で犬はお爺さんに再会できたのだと、僕は思うのだ。

カップル(フリー写真)

彼女の夢

若干長いんだけど、もう見えなくなった彼女の心霊的な話。 中学の頃は不良だった。 身も心も荒んでいて、周りは受験を意識していた中学3年生の夏。 他校でやらかしてしまい…

有名な家

もうかれこれ10年前の話。当時、まだ自分は9歳だった。 諸事情で祖母と二人暮らしをしていたが、小学生半ばの頃に母親とも一緒に暮らすことになった。 それまで祖母とは小さな漁師…

彼の予見

昔付き合っていた彼氏の話。 当時高校生だった私は、思春期にありがちな『情緒不安定』で、夜中に一人で泣く事が多かった。 当時はまだ携帯なんて高嶺の花で、ポケベルしかなかったん…

老夫婦(フリー写真)

祖父母の夢

盆に母屋の死んだじいちゃんの夢を見た。 母に言ったら、 「じいちゃん帰って来たんだね」 と言われた。 ※ それから10年。 10年も経ってから、 「実…

線路(フリー素材)

北陸の無人駅

昔、北陸の某所に出張に行った時の事。 ビジネスホテルを予約して、そのホテルを基点にお得意様を回る事にした。 最後の所で少し飲んで、その後ホテルに戻る事にした。 ※ ホテ…

木造校舎の教室(フリー写真)

赤い扉から聞こえる声

私が小学生の頃に体験した話。 一学期に一回、クラス内で模擬店をする時間があった。 小学生にとってはお店屋さんごっこをさせられる時間でしかなかったが、他クラスが勉強をしてい…

キャンプファイアー(フリー写真)

火の番

友人が何人かの仲間とキャンプに出掛けた時のことだ。 夜も更けて他の者は寝入ってしまい、火の側に居るのは彼一人だった。 欠伸を噛み殺しながら、 『そろそろ火の始末をして…

バー(フリー写真)

見えない常連さん

俺が昔、まだ神戸で雇われのバーテンダーだった頃の話。 その店は10階建てのビルの地下にあった。 地下にはうちの店しかないのだけど、階段の途中にセンサーが付いていて、人が階段…

ガラス窓(フリー写真)

ガラスに映る人

私はN県の出身で、私が住んでいる街には、地元では有名なカトリック系の女子大があります。 私の母はその大学の卒業生でもあり、その頃講師として働いていました。 当時中学生だった…

ちょっとだけ異空間に行った話

ドラッグか病気による幻覚扱いにされそうだけど、多分、ちょっとだけ異空間に行った話。 就活で疲れ果てて横浜地下鉄で眠り込んでしまった。 降りるのは仲町台。夕方だったのに、車掌…