変り種の相棒

公開日: 心霊ちょっと良い話

ひよこ(フリー写真)

12年前、近所の社の祭でヒヨコを釣ったんだわ。体が歪んでいて、少し変わった形をしていた。

それでも懸命に俺の後を付いて来る姿がいじらしくて、散々甘やかし、可愛がって育てた。

俺が学校から帰って来るとすぐ膝の上に乗ってきてさ、うとうとし始めるんだよな。

でもな。寿命ってあるんだよな。どんなヤツにもさ。冷たくなって行くアイツを抱えて、すっげぇ泣いたよ。

でも月日が流れると忘れるんだよな。忙しさなんかに負けて。

その頃は仕事で散々悩んでいて、精神的に切羽詰まっていた。限界が来ていたんだと思う。

ある日、熱を出して寝込んでいたら、胸の上に軽い重みを感じてさ。それと同時に何かがぺったりと喉にへばり付くんだよ。

その瞬間、思い出せた。アイツの重みと鶏冠の感触。甘えるようにいつもそうやって俺の上に乗ってきていたヤツの重みだ。

涙が止まらなかった。そんなに心配をかけていたのかと思うと。

俺は思い切って転職した。今、別の会社で頑張っている。

多分、あれは幻覚だと思う。結構熱が高かったから。

それでも俺はもう忘れない。変り種の相棒の事だけは。

関連記事

古民家(フリー写真)

祖父母の人生

私のおじいちゃんとおばあちゃんの話。 この間、おばあちゃんの家に泊まった時にしてくれた話です。 ※ おばあちゃんは生まれつき目が悪かったんだけど、戦時中は9人居る兄弟の為に働…

父と娘

お馬の親子

父と妹の話です。 4年程前、父が肺がんで亡くなりました。 過労やストレスなどもあり、余命半年のところが2か月で亡くなりました。 父はとても子煩悩で、遅くできた末妹を…

金魚(フリー写真)

二匹の金魚

小学2年生の頃、学校から帰って来たら、飼っていた黒い金魚と赤い金魚が死んでいた。 家の中には誰も居らず、心おきなく号泣していたら、遠方に住んでいる叔父二人が突然うちにやって来た…

白猫(フリー写真)

先導する猫

小学生の頃、親戚の家に遊びに行ったら痩せてガリガリの子猫が庭にいた。 両親にせがんで家に連れて帰り、思い切り可愛がった。 猫は太って元気になり、小学生の私を途中まで迎えに来…

糸と縫い針(フリー写真)

祖母の糸切りばさみ

20年程前の話。田舎で祖母が亡くなった時のこと。 母方の実家は地元では名士で、医者でも教師でもないのに、祖父は周りから先生と呼ばれていた。 そういう人なので、あちこちに愛人…

猫(フリー写真)

親猫の導き

アパートで一人暮らしを始めた頃、アパート周辺を猫の親子がうろついていた。親猫と仔猫四匹。 私はどういう訳か親子に懐かれた。 アパートでは飼えないので下手に餌をやるのは避け…

赤ちゃんの手(フリー写真)

亡くなったはずの両親

私が12歳の時、両親が他界した。 私には三つ年下の弟が居たのだが、それぞれ別々の親戚に引き取られた。 一ヶ月も経たないうちに親戚の私に対する態度は冷たくなり、私は高校進学を…

河川敷

人形と祈り

私は東京で働き、家庭を持っていた。 しかし二年前、重い病を患い、入退院を繰り返す中で、ついに会社を解雇された。 それが主な原因となり、ほかにも様々な事情が重なって、妻とは…

犬(フリー画像)

愛犬との最期のお別れ

私が飼っていた犬(やむこ・あだ名)の話です。 中学生の頃、父の知り合いの家で生まれたのを見に行き、とても可愛かったので即連れて帰りました。 学校から帰ると毎日散歩に連れ出し…

田舎の線路

駅での再会

私が駅構内の喫煙スペースでタバコを吸っていたときのことです。この駅は田舎のため、喫煙スペースはホームの端に設置されたただの灰皿があるだけの簡素なものでした。 その日、小綺麗な老…