母の四十九日まで

公開日: 心霊ちょっと良い話

合格祈願の絵馬(フリー写真)

私が中学生の時の話です。

受験の真っ只中の時期に、母がくも膜下出血で入院。そのまま亡くなってしまいました。

その日の夜、

「最後に家族みんなで一緒に寝よう」

と姉が提案し、母を囲んで布団を敷き、思い出話をしていました。

夜が明ける少し前、父と母の寝室(仏間の隣にある)からゴトッと物音がしました。

結構大きな物音だったので、私が様子を見に寝室に行くと、箪笥の上に置いていたアルバムの入った箱が落ちていたらしい。

その中から写真が一枚飛び出していた。

ちょうど私達が思い出話しをしていた旅行先の写真。

裏を見ると、ママンの字で

『ありがとう。私は幸せものだわ』

と書かれていました。

私は泣きながら父と姉に報告。

「ちゃっかり会話に参加してたんだな。

でもこれ、いつ書いたんだ? つい最近写真を整理した時には書いてなかったんだが…」

と父がぽつりと言いました。

心霊じゃないかもだけど、今でも不思議で仕方がない体験です。

続きの投稿

この話にはまだ続きがあるんです。

母の火葬から四十九日の間、不思議なことが度々ありました。

火葬の前夜、父の喪服のネクタイが仕舞ってある箪笥が開いていたり(父がちょうど探していて見つからなかった)、

仏間に置いていた母の好物のお菓子が、家族・親戚一同手を付けていないのに封が開いて量がちょっと減っていたり、

私の高校受験当日には、母がいつ買ったのか合格祈願のお守りが居間の床に落ちていたり、

母が書き留めた料理のレシピノートが出てきたり…。

でも四十九日を過ぎてからは、ぱったり不思議な出来事は起こらなくなりました。

『ほら、ネクタイここにあるわよ!』

『お守り買ったんだから持って行って!』

『父さんのために美味い料理作りさいよ(笑)』

と、母の声が聞こえてきそうな出来事ばかりでした。

ママン、とても心配症だったから、最後まで私たち家族の面倒を見てくれたのかな。

心配させてしまってゴメンね…。゚(゚´Д`゚)゚。

関連記事

老夫婦(フリー写真)

祖父母の夢

盆に母屋の死んだじいちゃんの夢を見た。 母に言ったら、 「じいちゃん帰って来たんだね」 と言われた。 ※ それから10年。 10年も経ってから、 「実…

雪景色(フリー素材)

もどり雪

一月の終わり、山守りのハルさんは、山の見廻りを終えて山を下っていた。 左側の谷から、強烈な北風に舞い上がった粉雪が吹き付けてくる。 ちょっとした吹雪のような、『もどり雪』だ…

タヌキの神様

俺の姉貴は運が良い人間だ。 宝くじを買えば、ほぼ当たる。当たると言っても、3億円なんて夢のような当たり方ではないのが残念なところだ。 大抵 3,000円が当たる。何回当たっ…

女性の後ろ姿(フリー写真)

ドライブの夢

3年前に昔の彼女が死んだ。信号無視の車に轢かれ、打ち所が悪かったのだ。 当時は既に別れていたから、友人から聞き葬式には出席できた。 復縁して別れた彼女だったのだが、一回目…

ソファー(フリー写真)

人の想い

俺は出張マッサージを生業にしているのだけど、十何年か前、名前を言えば誰でも知っている会社の会長さんのお宅に仕事でお伺いした時の事。 いつものように呼び鈴を押して返事を待っていた…

バレンタインチョコ(フリー写真)

おさげの女の子

今から十年以上前、当時高校生だったおいら。 アメリカのバレンタインデーは、好意を持った相手に男女問わずプレゼントをするらしい。 その話を聞きかじり、 『よし!それな…

公園のブランコ(フリー写真)

友人を見守る人

これは俺が小学二年生の時の話です。怖くはないのですが、良ければ読んで下さい。 その日、自転車でブラブラしていた俺は、小さな公園があるのを発見した。 ブランコと滑り台、それと…

白無垢の花嫁

白無垢の花嫁さん

俺がまだ小学低学年の頃に体験した話。 俺の家は当時、夏になると田舎に帰っていたんだよね。 そんな時に必ず泊まる小さな民宿があるんだ。 各部屋の入り口はドアではなく襖…

神社の思い出

小学生の時、家の近くの神社でよく遊んでた。 ある日、いつも通り友達みんなで走り回ったりして遊んでいると、知らない子が混ざってた。 混ざってたというか、子供の頃は誰彼かまわず…

駅のホーム(フリー写真)

同い年の父

今まで誰に言っても信じてもらえなかった話だけど、俺は同い年(当時27歳)の親父と話をしたことがある。 親父は俺が4歳の時に死んだのだが…。 俺が東京から実家に帰る途中の田…