リアルな夢
公開日: 不思議な体験 | 怖い話 | 死ぬ程洒落にならない怖い話
二年ほど前に遡ります。
私は父が経営する土建屋で事務をしています。
今は兄が実質の社長ですが、やはり父の威光には敵いません。
そんな父の趣味が発端と思われる出来事です…。
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父はどうやら自ら所有する山にログハウスを建てたいらしく、元々日曜大工が趣味であった父ですから、中古の重機を購入しダンプを友人の土建屋さんから借り入れ、本格的に基礎工事まで着手するようでした。
週に一度の休みを利用して、父はまめに通っていました。
着手してから、数ヵ月後。
父「○○(母の名前)、警察よんでけれ」
母「え、え、え? なしたの?」
父「骨出てきたから、警察に電話してけれじゃ」
母「ぇえぇ、殺人事件?」
父「いいがら、はやぐ」
(父は未だに携帯を持とうとしないので、わざわざ山から40分かけて自宅に。母は用心の為と携帯を持たせているのですが意味なしですよね)
警官が三名やって来まして、父はその現場を案内するため先導することに。
私も休みでしたから、興味本位で同行する事にしました。
現場に到着しますと、散乱している白骨が飴色に変色した骨が剥き出しになっていまして、足枷があり、それに鎖が繋がっているのも見えました。
素人目にも古い骨だということはすぐ分かりました。
事件性の有無などの確認のためなのか、父は細かい質問を随分受けていました。
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その後、検死官も到着しまして、とても古い骨であると言う事。事件にしてもとっくに時効を迎えているであろう事から、意外なことに…。
警察官「申し訳ないですが、そちらで処分願います」
私も一瞬呆気にとられましたが、父は元々豪胆で、
父「したら、こっちで坊さん呼んで供養してもらうわ」
と果物用の木箱に骨を入れ始め、その日はその骨を檀家の住職さんの所へ持ち込み、無縁仏として供養して頂くことにしました(その枷と鎖は、まだ寺にあるはずです)。
豪胆な父は、その後また現場へ戻り作業の続きをしようとしたので心配になり、父が帰宅するまで一緒にいました。
帰宅する時に、体が異常にだるかった事を覚えています。
父母と三人で、昼間の奇妙な事件について食卓を囲みながら話し、私は体がだるかった事もあり、入浴の後父母よりも先に寝ました。
その晩、夢を見ました…。
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夢の内容
なぜか私は、木製のリュックというか箱を背負い、石を運ばされています。
朝早くから日が沈むまでそれは続き、やっと開放されたと思えば、小さな掘立小屋のような所に押し込められ、寒さと飢えを感じながら床に着く。
そして夜中に口を押さえ付けられ、代わる代わる犯される…。
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朝起きると汗びっしょりで、『変な経験したから、あんな夢みたのかなあ』くらいに考えていました。
それからも、三日おきくらいに「同じ夢」を見ました。
一ヶ月ぐらいの間ですが。それから三ヶ月後、生理が二回も来ないので婦人科に行くことにしました。
医師「○○さん、妊娠の可能性があります」
私「え? どういう意味ですか?」
医師「詳しいことはこれからの検査が必要ですが」
私は当時、彼氏もいませんでしたし、妊娠なんてありえませんでした。
その事を医師に伝えますと、
医師「皮様嚢胞かもしれないので、後日またいらして下さい」
夢の事が何より怖かったですし、聞いたこともない病名でしたので不安で不安で、その日は会社でも仕事が手に付きませんでした。
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その日の夜、急に子宮の辺りに激痛が走り、動くこともままならなかったので、母に救急車を呼んでもらい昼間受診した病院へ向かいました。
ストレッチャーに乗せられ、車内で唸りながら病院に着くのを待ち、意識が遠くなりそうになった時…。
こう、子宮が蠢くような感覚と共に、何が出るような気がします。
また痙攣のような感じと一緒に、私の入り口から「赤みがかった半透明なゆでたまご」のようなものが5~6個ぼろぼろと出てきました。
病院に着く頃には痛みも和らいできましたが、まだ意識は朦朧としていました(その水風船のようなものは、救命士の方が医師に手渡してくれたようです)。
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翌日のお昼近くになってから私は意識を取り戻し、医師にあれはなんだったのかという質問をしますと、
医師「皮様嚢胞というより、胎児が分裂に失敗してあのような形になる事があります」
私「でも、本当に心当たりがありません」
医師「そう気に病まずに、嚢胞の一種かもしれませんし、後で悪性でないかどうかお知らせします」
結局、悪性ではないことが判りましたが、どうしてこうなったのか医師に尋ねても「よくわからない」といった返答しかありませんでした。
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そして、その一週間後。
またあのリアルな夢を見ます。
立て続けに三日間も。
医師には「特殊な体験の後の珍しい疾患を患った訳ですから、悪夢を見てもしょうがない」とだけ言われ、薬の処方を薦められました。
しかし、どうしてもそういう薬には抵抗があるため、なるべく考えないようにして生活を送ることにしました。
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そして三ヵ月後…。
また生理が止まり、婦人科に行きますと…。
医師「前回と同じ症状ですね」
私「…」
とにかく私は怖くて怖くて、すぐに摘出してもらうよう頼むことにしました。
でも、前回は上手く出てきたから良いものの、普通なら手術が必要ですし、「掻爬」もリスクが大きいので薦められないとの事。
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その一週間後、また前回のように痛み出し意識が朦朧とする中、「ソレ」を排出…。
気が狂いそうになりましたし、なぜこんな病気に罹ったのか理由も判らず、今でも私はこの病気に苦しめられています。
枷と鎖があった白骨は、お寺で供養したはずなのに…。
病気の発症と、妙な出来事が重なっただけかも知れませんが、今も時折あの「夢」を見ます。
そして、生理が今月も来ません…。