サンドイッチ

公開日: 洒落にならない怖い話

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高校生の頃、俺のクラスにいつも虐められているオタク風のデブ男がいた。実を言うと俺も虐めていた1人だった。

そんなある日の昼休み。俺はあるプリントを5時限までにやらなくてはならず、昼食を食べる間も惜しんで書き進めていた。

ふと気がつくと教室には4、5人の生徒がいるだけで、ほかの奴らは学食や屋上や中庭へ出ていた。

教室に残っていた生徒の1人が、その問題のデブな奴で、弁当をまるで隠すようにコソコソと食べていた。

それを見ていた俺は、急に腹が立ってきて、奴の席に近寄って

「○○くん、何をそんなにコソコソ食べてるのかな? 俺は忙しくて食事をする暇もないよ」

と言うと、奴はあわてて弁当に蓋をした。

「おいおい、何も隠す事はないだろ。俺は今日は弁当持ってないから、良かったら俺にも分けてくれないか?」

と俺は何気なく奴の弁当に手を出した。

すると、奴は弁当にサッと覆い被さって、俺を睨んできた。それを見た俺はカッとなって、

「おい、なんだよ、その態度は? だいたい人に見せられない弁当なら持ってくるなよ」

と言うと、奴はニヤリとこれまでに見せた事もないような笑みを浮かべて

「そんなに見たれば、みせてあげてもいいよ」

と言って弁当の蓋を開けた。

俺は奴の態度にわずかな不審を抱きながらも、弁当の中を見た。そこには何の変哲もないサンドイッチが入っていただけだった。

俺は安心して、

「なんだ、ただのサンドイッチじゃないか? 1つもらってもいいか?」

と返事も聞かずにサンドイッチを取って、奴がニヤニヤするのを横目に口にした。

すると、なんとも言えない味が口の中に広がり、俺はあわてて、トイレへ行き、口の中のものを吐き出した。なんと、俺の吐き出したものの中には、もぞもぞと動く蛆虫がいたのだ。

俺がギョっとなって立ち尽くしていると、後ろから奴が近づいてきて、

「ほかの人たちには言わないほうがいいよ。どうせいつものいじめだと思われるから」

と嬉しそうに言いやがった。

その後俺はショックでしばらく学校を休んだが、ようやく出てきた時には、奴は一身上の都合とやらで転校した後だった。

果たしてあのサンドイッチを奴が食べていたのか、それともいつもの虐めの仕返しだったのか、今だに判断がつかないでいる。

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